チューダーは、チャリティーオークションの「オンリーウォッチ2023」向けに、「プリンス クロノグラフ ワン」を製作した。ユニークピースである本作は、1976年の同社初自動巻きクロノグラフ、通称「ビッグブロック」の復刻モデルである。ケニッシ社によるプロトタイプムーブメントを搭載する。
クラシカルな外装に最新のプロトタイプムーブメントを搭載
腕時計のチャリティーオークションである「オンリーウォッチ」。11月の開催を控え、ブランド各社からは、このオークションのためのユニークピースが続々と発表された。チューダーがオンリーウォッチ2023に出品するのは、1976年に登場した同社初の自動巻きクロノグラフ、通称「ビッグブロック」の復刻モデルだ。
ビッグブロックの名は、自動巻き機構を備えたクロノグラフムーブメントを収めるために、厚みを増したケース形状に由来する。日本のファンの間では、“カマボコ”として親しまれ根強い人気を誇っており、「プリンス クロノグラフ ワン」と名付けられた今回の復刻モデルでも、その特徴的なケース形状がしっかりと受け継がれている。
ケース素材は18Kイエローゴールドだ。タキメーターが配されたアウターベゼルとダイアルにはブラックが採用され、力強いカラーリングに仕上がっている。
1970年代当時のチューダーらしさを強く感じさせるのが、縦3つ目のインダイアル配置だろう。当時はバルジュー製のCal.7750を採用していたが、現行のチューダーでは、「ヘリテージ クロノ」が「Cal.2892A2」にモジュールを追加した横ふたつ目、「ブラックベイ クロノ」では、ブライトリング製のCal.01をベースとした横ふたつ目であるため、改めて本作を見ると新鮮な印象がある。
縦3つ目のレイアウトなのは、本作に搭載されたムーブメントCal.MT59XXが、ケニッシによって新規に製作された自動巻きクロノグラフムーブメントであるからだ。型番末尾の“XX”が、プロトタイプ仕様であることを示している。
約70時間のパワーリザーブと、両持ち式のテンプ受けやシリコン製ヒゲゼンマイを採用し、安定した駆動を実現させているほか、クロノグラフの制御にはコラムホイールを用いている。
本作はあくまでもオンリーウォッチ向けのユニークピースであるため、なかなかお目にかかることは難しいだろう。しかし、チューダーが本作を通して改めて見せつけた、過去の名作への敬意と飽くなき探究心は、市販品にも受け継がれている。いつかCal.MT59XXに正式な型番が与えられ、日の目を見ることを楽しみにしたい。
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