選考委員による選定モデルの詳細
菅原 茂(68歳) 時計ジャーナリスト
「現代的なセンスで勝負する」
専業ブランドのような歴史や伝統がそもそもない。だからこそ新しい発想や新鮮なデザインが生まれる。今やムーブメントでも躍進し、専業ブランドとの垣根も超えてきた。
1 カルティエ/サントス デュモン
2 ブルガリ/オクト ローマ ワールドタイマー
3 エルメス/スリム ドゥ エルメス マニュファクチュール
4 モンブラン/モンブラン ヘリテイジ
モノプッシャー クロノグラフ
5 ルイ・ヴィトン/タンブール カーブ GMT フライング トゥールビヨン
6 シャネル/ムッシュー ドゥ シャネル スーパーレッジェーラ
7 ハリー・ウィンストン/HW エメラルド コレクション全般
8 トム フォード/オーシャンプラスチック タイムピース
9 グッチ/グリップ コレクション全般
篠田哲生(46) ウォッチディレクター
「餅は餅屋。でも料理上手なら話は別」
時計はブランドの物語も含めて選びたい主義なので、どうしても時計専業ブランドを選ぶことが多い。でも非専業だからこその着眼点や表現を加えたブランドが増えており、そちらに心が引かれ始めているのも事実である。もちろん、有名であればどこでもいいわけじゃない。他業種で培った職人技が入っているなら、むしろ専業よりも魅力的な時計になるのではないだろうか。
1 ルイ・ヴィトン/エスカル ワールドタイム ミニッツリピーター
2 ヴァン クリーフ&アーペル/ミッドナイト イン パリ ウォッチ
3 カルティエ/タンク アシメトリック
4 ハリー・ウィンストン/HW エメラルド 33mm
5 モンブラン/スター レガシー ニコラ・リューセック クロノグラフ
6 ピアジェ/アルティプラノ スケルトン
7 ショパール/L.U.C ヘリテージ グラン クリュ
8 ブルガリ/オクト ローマ コレクション全般
9 エルメス/アルソー コレクション全般
10 トム フォード/N.001
安藤夏樹(46歳) 編集者
「新たな価値観は、ときに非専業から生まれる」
非専業ブランドの時計の歴史は浅い。それゆえ、伝統に過度にとらわれることがない自由さがある。ファッション的、プロダクトデザイン的アプローチは、ときに時計業界の動向を左右するほどのインパクトを持つ。逆を言えば、専業を真似したモデルには面白さを感じない。すでに専業に引けを取らない技術力を持つブランドも多いが、非専業ブランドにはいつまでも挑戦者であり続けてほしい。
1 シャネル/J12 パラドックス
2 ブルガリ/オクト フィニッシモ コレクション全般
3 グッチ/グッチ 25H コレクション全般
4 ルイ・ヴィトン/エスカル オトマティク タイムゾーン
5 エルメス/スリム ドゥ エルメス コレクション全般
6 ヴァン クリーフ&アーペル/ピエール アーペル ユール ディシ エ ユール ダイヨール
7 ラルフローレン/スティラップ ラージモデル
8 トム フォード/オーシャンプラスチック タイムピース
9 ビクトリノックス/イノックス コレクション全般
10 イッセイ ミヤケ/TO コレクション全般
髙木教雄(59歳) ライター
「非専業だからと決して侮るなかれ」
ジュエラーを兼ねる時計ブランドは多く、非専業との線引きに少し悩んだが、創業時を基準とした。これら10ブランドの中にはマニュファクチュールがいくつもあり、スイス時計産業へ積極的に資本投資しているブランドもある。時計ファンからは非専業だからと敬遠されがちだが、純粋に時計だけを評価すれば専業にも決して引けを取らず、オリジナリティーに富む。創造性の豊かさが、彼らの強みだ。
1 カルティエ/タンク ルイ カルティエ
2 シャネル/J12 コレクション全般
3 ブルガリ/オクト フィニッシモ
4 ヴァン クリーフ&アーペル/ピエール アーペル ユール ディシ エ ユール ダイヨール
5 ルイ・ヴィトン/タンブール スピンタイム
6 ハリー・ウィンストン/HW オーシャン・バイレトログラード
7 モンブラン/モンブラン ヘリテイジ ピタゴール スモールセコンド リミテッドエディション 148
8 エルメス/エルメスH08
9 グッチ/グッチ 25H オートマチック
10 トム フォード/オーシャンプラスチック タイムピース
名畑政治(62歳) 時計ライター
「結局、シンプルでリーズナブルなモデルになった」
専業ブランド以外の時計には、普段それほど注意を払っていないので、おすすめと言われても簡単には出て来ず、やっと4モデルを選んだ。そのうちふたつは旧モデルを所有しているブランド。よく出来たモデルでも定番化は難しいから、良いと思ったらすぐに入手しないと後悔する。例によってすべて同列、順位なし。
・イッセイ ミヤケ/TO NY0N001
・フィリップ・スタルク/Ph5039
・無印良品/ウォール クロック シルバー
・ブラウン/BN0171BKBKG
広田雅将(48歳)『クロノス日本版』編集長兼アートソルジャー
「実は、最も面白いのがこのジャンルかも?」
今や、稀少さや価格ばかりが注目される時計市場。その中にあって独自の路線を歩むのが、いわゆる非時計専業メーカーだ。かつては“ガワ時計”などと揶揄されたが、質感を高めた結果、唯一無二の立場を築いた。シャネルに加えてブルガリを含めたかったが、この2ブランドは別格。続くのはルイ・ヴィトンとエルメスか。
1 エルメス/エルメス H08
2 シャネル/ムッシュー ドゥ シャネル コレクション全般
3 ライカWatch/ライカL1/L2
4 ラルフ ローレン/スティラップ コレクション全般
5 ティファニー/イースト ウエスト コレクション全般
6 ルイ・ヴィトン/タンブール コレクション全般
7 グッチ/グリップ ゴールドモデル
8 ディオール/ディオール グラン ソワール コレクション全般
9 ジョージ ジェンセン/ヴィヴィアンナ
10 タサキ/バランス コレクション全般
ランキングの集計ルール
●選考委員は、各号のテーマに沿った腕時計を10本選び、順位をつける。
●選考委員ひとりあたりの所持ポイントを110点とし、これを1位20点、2位18点…… 10位2点として選考モデルに振り分ける。
●選考された時計が順位無しの場合は、所持ポイントを10等分して、各モデルに11点を与える(選考本数が10本に満たない場合でも、1モデルあたり11点とする)。
●獲得点数が同点となった場合は、選考者数の多いモデル、その中で選考順位の高いモデルの順で優位とする。
●最低有効得票数を2票とする。
https://www.webchronos.net/features/79306/
https://www.webchronos.net/features/37036/
https://www.webchronos.net/features/76031/