ムーブメント、選ぶべきは薄型か? 厚型か? メリット、デメリットで考える

2021.06.05

厚い時計(ムーブメント)のメリットとデメリット

厚型時計の基準

“厚型時計”というジャンルは存在しないが、薄型との比較用にあえて定義した。一般的に、自動巻きクロノグラフの場合、ケース厚が15mm、3針自動巻きの場合は13mmを超えると「厚い」と言える。ムーブメントの場合は、それぞれ7mm、5mm以上である。

パネライCal.9100
パネライ Cal.9100
パネライにとって、自社開発によるクロノグラフ付き自動巻きムーブメントはこのCal.9100が初となる。クロノグラフは垂直クラッチ式で、フライバック機能付き。搭載機種は「ルミノール 1950 スリーデイズ クロノ フライバック オートマティック チェラミカ–44mm」など。

メリットとデメリットを考える

メリット : 磁気帯びしにくい、ショックに強い
デメリット : 装着感が悪い

厚い時計(ムーブメント)は、薄型ほど装着感は良くない。しかし磁気帯びしにくく、ショックに強いため、実用性に優れる。そのため、各社は新しい基幹ムーブメントの厚みを増やそうと試みている。また厚い時計でも、重心が低く、ブレスレットが重いものの中には、装着感に優れるものがある。


厚型ムーブメントの設計年とスペック

・ETA7750
初出1973年。現在も広く使われる自動巻きクロノグラフムーブメント。厚さ7.9mm。ほぼ完全なコピーとして、セリタのSW500が存在する。

・IWC Cal.80110
初出2005年。3針自動巻き。厚さ7.23mm。輪列の基本設計をETA7750から転用している。厚みのある理由は、重いローターをショックアブソーバーで支えているため。

・ロレックス Cal.3135
初出1980年代後半。3針自動巻き。厚さ5.37mm。シンプルな自動巻きとしてはかなり分厚いが、ショックに強く、耐久性も高い。

・パネライ Cal.9100
初出2015年。自動巻きクロノグラフムーブメント。厚さ8.15mm。厚みの理由は、同軸積算計と重厚なフライバック機能を加えたため。


世代交替が進む最新ムーブメント事情

https://www.webchronos.net/features/42508/