【83点】パネライ/ルミノール マリーナ 1950 3デイズ アッチャイオ-47mm

2016.02.04

パネライ製のナビゲーション計器の数々。当時、実際に使用されていた深度計とコンパス、そして、今回テストした現行のルミノール マリーナ 1950 3デイズ アッチャイオ-47mm。

見えなければならないが、見られてはならない
 今日もそうだが、特殊潜水部隊において当時、特に重要だった装備品が、リブリーザー(もしくはクローズド・サーキット・リブリーザー)と呼ばれる循環式酸素ボンベである。スポーツ潜水で使用される大きな空気ボンベとは異なり、リブリーザーは容量が小さく、気泡を出さないことから、兵士は敵に見つかることなく長時間、海中に滞在することができた。小さいとはいえ、2、3時間の潜水には十分な容量である。吐いた息に含まれる二酸化炭素が内蔵されたソーダ石灰で吸着される仕組みだが、リブリーザーには純粋な酸素が充填されているため、水深が深くなると酸素分圧が高くなり、酸素中毒を起こす危険がある。そのため、リブリーザーを用いて確実かつ安全に潜水できる深度は約6mまでとされている。だが、この程度の深さまで潜れるのであれば、特殊潜水部隊の任務はほぼすべて遂行することができる。なぜなら、彼らの目的は深く潜水することではなく、敵に発見されないように沿岸部の海中を長い距離にわたって進み、監視や橋の爆破、あるいは、陸に近づくことだからである。
 特殊潜水部隊の任務では方角を知ることも極めて重要である。そのためには、深度計、コンパス、沿岸海域の地形図、そしてもちろん、時計が必要となる。ヘーナー氏はこれらの装備品に加え、海岸測量機も前腕に巻きつけた。水陸両用作戦に備え、当時のコンバットスイマーたちはこれらの計器を使用して沿岸の地形を測量し、記録していたのである。武器や爆薬など、テストに必要のない装備品は今回、携行しなかった。