既存のETAムーブメントをベースに、機能性を向上させた新型キャリバーC07.111を搭載。
この時計はリュウズとケースとの間がぴっちりとして非常に狭いので、リュウズを引き出すにはいくぶん力が必要だ。だが、それさえ突破できたら、するすると回せるので時間合わせも日付修正も簡単に行える。日付のディスクは後戻りできず、前にしか進ませることができないのだが、何度も押し続けて修正しなければならないボタンタイプなどに比べると快適だ。そして、この時計を日中腕に巻き、1日の終わりを迎える時も、安全ロック付きフォールディングバックルのサイドボタンをすんなり押せるので、面倒なく外せる。
着けている間も、腕上にあるのを忘れてしまいそうなほどに心地よい。この時計はステンレススティールモデルの場合、重量は155グラムと軽い。ブレスレットも腕回りにしなやかに沿う。ひとつだけ難を言うならば、コマとコマの間に結構隙間があり、毛を挟みやすいことだろうか。
しかし、このラグジュアリー オートマティックは、外側から見て分からないところにこそ、より大きな魅力が潜んでいる。ケース裏のトランスパレントバックの内側に鎮座するのは、新開発のETA製ムーブメントC07.111。この自動巻きキャリバーは、ティソだけでなく、今後、スウォッチ グループ内の他ブランドにも使われる予定だ。ティソでは、このムーブメントで約80時間のロングパワーリザーブを提示している。これは、キャリバー2824‐2をベースに、香箱と脱進機に手を加えて出来上がったものだ。調整方法は、緩急針を取り払って偏心スクリュー付きテンワを使用したフリースプラング式に変更された。よりエレガントな仕上がりとなるものの、その分手間も掛かる。ベースキャリバーの2824︲2は、持続時間が約38時間だが、ロングパワーリザーブを達成するにあたって、香箱真をスリム化する方法がとられた。香箱真が細くなって、より長い主ゼンマイを抱えることができたため、持続時間が向上したのだ。それに際し、振動数は2万8800振動/時から2万1600振動/時に下げられている。
では、その性能はどうだろうか。今回のテストでは、歩度測定機にかけたところ、ゼンマイがフルに巻き上がった状態だと、姿勢差は平均0.3秒。振り角も実に安定していた。ところが最大姿勢差は9秒と、大きく出ていたのはマイナスポイントと言えるだろう。