極めて精度が高い。1秒未満という平均日差は、
クロノグラフを作動させても変わらない。
1960年代の有名なモデルネームが、ポルトギーゼでよみがえった。IWCはヨット・クラブによって、海をテーマとするポルトギーゼ・ファミリーのスポー ティーな性格を強化した。そして、自社製クロノグラフムーブメントが、ついにポルトギーゼ・コレクションにも搭載された。トランスパレントバックからは、 衝撃を吸収する曲がりくねったローターブリッジを確認することができる。
海をテーマとしたデザイン
係船柱(訳注:船をつないでおくために桟橋や波止場などに設置された杭)を想起させるリュウズガードとプッシュボタンは、海を意識した新しいデザインだ。また、白い目盛りと赤いクロノグラフ秒針というスポーティーなカラーリングや、ポルトギーゼでは今まで使用されたことのない夜光塗料も、新しい要素である。ヨットとヨットハーバーを思わせる風貌は、全体的に調和が取れた説得力のあるデザインだ。ただし、3時位置に配された日付表示窓はインデックスにかなり近接しているため、最適なポジションとは言い難い。
これとは異なり、作り込みのクリーンなケースは十分に納得させられる仕上がりだ。上に向かって広がるようなベゼルを上から取り付けたケースは、サテン仕上げの側面とポリッシュ仕上げの上面のコンビネーションが美麗である。45・4mmというケース径の恩恵により、直径が40mmを超える巨大なサイズの文字盤が実現した。文字盤上では、白い夜光塗料を塗布したシルバーカラーの時・分針と黒文字盤の明確なコントラストによって、卓越した視認性が確保されている。インダイアルに描かれた繊細な線と文字も、視認性を損なうことはない。暗所では、時・分針と小さなアワーインデックスが発光する。12時はインデックスが2本になっているので、時計の向きを確認するのも簡単だ。ただ、ゆっくりと切り替わる日付表示だけが、唯一残念な点である。午後11時を過ぎるとディスクが動くのがはっきりと認識できてしまう。
IWCが完全自社開発し、2007年に発表したクロノグラフキャリバー89360がポルトギーゼのラインに搭載されるのは、ヨット・クラブが初めてである。キャリバー89360には他のクロノグラフムーブメントとは一線を画する利点がある。時積算計と分積算計が12時位置のインダイアルに同軸積算計としてまとめられているのだ。さらに、30分ではなく60分のミニッツカウンターが搭載されているため、あたかも第2タイムゾーンの時刻を読み取るように、計測時間を容易に把握できる。これは、計測時間が長い場合に特に有益な機能である。