【82点】カール F. ブヘラ ／ パトラビ エボテック デイデイト

着用テストでは問題なし

ＣＤＡＳは一度調整すると、専用に設計された工具を使用しないと後から操作することができない。ミヒャエル・ベルナシェク氏は、ＣＤＡＳ自体は良いアイデアとしながらも、こうしたシステムには弱点もあり得るという批判的なコメントを付け加えた。
「磁気帯びは今日、機械式時計にとって最も恐るべき敵です。脱進機のすぐ近くに配置された多くのスティール部品は、磁気を集める貯蔵庫のように作用し、脱進機に持続的に影響を与えかねません」

だが、我々のテストウォッチの場合はいつもと同じように、電子歩度測定機でテストを行う前に脱磁処理を施していたため、こうした影響は見られず、フル巻き上げ時も24時間後も、香箱に新たなエネルギーをチャージしなくても満足のいく精度を見せてくれた。“文字盤下”の姿勢で観察されたマイナス値のみが、全体的にプラス傾向の良好な精度に影を落とす唯一の要素であった。

着用テストでは不安要素がまったく見当たらず、デスクワークしか行わない日が数日間続いたとしても、パトラビ エボテック デイデイトが止まることはないと実感できた。１日に数秒というプラス傾向なら、十分に満足できる精度ではないだろうか。また、着用テストでは、時計として果たすべき役割はすべて果たされていることも証明された。無反射コーティングが施されたサファイアクリスタルの恩恵により、時刻は常にはっきりと読み取ることができ、針の先端で覆われない限り、ビッグデイト表示と曜日表示の視認性も良好だ。厚みのあるラバーベゼルを備えたケースは、すべての点において秀逸な作り込みである。その手触りの良さこそが、カール Ｆ.ブヘラの時計を手にする大きな喜びのひとつでもある。ケースとストラップを指でなぞってみれば、加工精度がいかに高いかを感じることができる。

カール Ｆ.ブヘラは、初代マニュファクチュールキャリバーを世に送り出すことによって、伝統的な手法に則らずとも新型ムーブメントを生み出せることを実証してみせた。伝統に裏付けられた脱進機と調速機構に、斬新な設計とペリフェラルローターを組み合わせたムーブメントは、次世代モデルの開発に大きな期待を持たせてくれる。選り抜かれたウォッチコレクションに加えるアイテムとしても、また実際に身に着けるためであっても、他を凌駕するワンランク上の腕時計を探すなら、パトラビ エボテック デイデイトはそれらにふさわしいモデルと言っても良いだろう。

技術仕様
カール F. ブヘラ／パトラビ エボテック デイデイト

＊価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。

精度安定試験 （日差　秒／日、振り角）

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