新型スーパーオーシャンIIは、正真正銘“ブライトリング産”だ。ケース、ムーブメント、
ストラップ、そしてバックルが、ブランド特有の高い加工品質を証明している。
ストラップ自体は地味だが丈夫である。約4mmとかなり厚く、重厚なタイムピースによく似合い、快適な装着感にも貢献している。わずかなマイナス点を挙げるとすれば、堂々たるケースの厚さが15mmもあるために頭でっかちに見え、手首の上で不安定に揺れることだ。
良好な装着感と同様、操作性もレベルが高い。大きなねじ込み式リュウズは扱いやすく、解除時はベゼルとリュウズプロテクターがほとんど邪魔にならない。2段ある引き出しポジションへの噛み合いも良好だ。巻き真は非常に堅牢な作りで、引き出した状態でもぐらつくことがない。ストップセコンドと日付早送り調整機能は、ベースとなるETAの量産キャリバー2824なら当然搭載されている機能である。縁の刻み目が深いベゼルは、グローブを着用したままの操作が可能で、1回転120刻みでクリーンに噛み合う。
スポーティーな顔
スーパーオーシャンIIの文字盤は、ケースやストラップと同様、スポーティーな印象に仕上がっている。新しい要素がふんだんに盛り込まれているにもかかわらず、“ブライトリング産”であることはひと目で認識することができる。6時、9時、12時の3カ所に配された特大インデックス、幅の広い針、イタリック体の巨大なアラビア数字インデックス、そして何よりもこれらのコンビネーションは、新世代を示唆するよりダイナミックなデザインの要素である。ただ、幅の広いベゼルに囲まれてすでに圧迫感のある文字盤は、表示エレメントが大きくなったこともあって非常に混雑した印象だ。日付窓の位置はよい。外周いっぱいまで寄せた日付窓は、適切なサイズの恩恵により、アワーインデックスにうまく溶け込んでいる。だが、日付の数字が細く、とりわけ10日から19日までは10の位の数字が窓枠ぎりぎりに位置するため、読み取りには少々骨が折れる。
分針が文字盤リングのミニッツインデックスに届いていないものの、時刻の視認性は概して良好である。夜間、強烈に発光する様には感銘を覚えるほどで、秒針の先端に至るまで強い輝きが長時間持続する。ダイバーベゼルには蓄光塗料が使用されていないので、ダイバーは光が降りそそぐ水面近くにしかいられない。従って、ダイバーにとって輝度の高い秒針の利用価値は、暗所で時計が作動しているか確認できることぐらいだろう。しかし、日常で使用する分には、高輝度の蓄光塗料が塗布された秒針は頼もしい存在である。特に夜間、サイドテーブルに置いた時計がまだ動いているかどうかをチェックするのに便利である。
“正確に作動する”ことこそ、この時計の大きな武器のひとつである。電子歩度測定器による検査では、テストウォッチの平均日差はプラス1・8秒/日と、ごくわずかなプラス値が観察され、姿勢差による最大日差も2秒と少なかった。テンプの振り角も水平・垂直両姿勢ともあまり変わらず、極めて安定していた。どこかの姿勢でマイナス値が出るというリスクを冒したくなければ、この上なく優秀な微調整と言えよう。着用テストも、歩度測定器による結果を裏付けてくれた。時計は毎日同じように、2秒ずつ進んでいった。つまり、この時計のオーナーが約束の時間よりも1分早く待ち合わせ場所に到着するまで、1カ月はかかる計算になる。