環境に配慮した時計製造のみならず、生態系そのものの保護にも取り組むショパール。さらに「アルパイン イーグル」は、メゾンを営むショイフレ家の3世代にわたる情熱が込められたコレクションだ。新作のクロノグラフを通してもその想いが伝わってくる。
インナーベゼルは目盛りの要所にオレンジ色を配してタキメーターの計測値を読み取りやすくするとともに、文字盤全体にダイナミックな印象をもたらしている。C.O.S.C.認定クロノメーターのフライバッククロノグラフ。自動巻き(Cal.Chopard 03.05-C)。45石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。ルーセントスティール™ケース(直径44mm、厚さ13.15mm)。100m防水。ショパールブティック限定。295万9000円(税込み)。
Edited & Text by Seiki Maeda
アルプスの大自然への想いを宿す
スイスの独立系ブランドの中でも自社ムーブメントの開発やエシカルな取り組みで名声を確立するメゾン、ショパール。そんなショパールの新たなアイコンである「アルパイン イーグル」コレクションは、メゾンを営むショイフレ家3世代の情熱から誕生した。
そのルーツは現在の共同社長カール-フリードリッヒ・ショイフレが、父で現会長のカール・ショイフレにステンレススティール製の腕時計を提案し、1980年に実現した、スイスの著名なウィンターリゾート地の名を冠した「サンモリッツ」だ。このモデルはケースとブレスレットが一体となり、ベゼルにビスをあしらった大胆かつスポーティーなデザインで瞬く間にメゾンのロングセラーになった。そして時は流れ、今度はカール-フリードリッヒ・ショイフレの息子であるカール-フリッツ・ショイフレが父のデスクに置かれていたこのサンモリッツを見かけ、その素晴らしさに感動し、リデザインを願い出たのだ。しかし、父はそのアイデアに興味を見せなかった。そのため、カール-フリッツはかつて父が祖父にサンモリッツの構想を持ちかけたように祖父に相談して父の説得を試みた。そうして4年以上の研究開発を経て、2019年にサンモリッツの新世代モデルとも言える「アルパイン イーグル」が誕生したのである。
「アルパイン イーグル XL クロノ」は、そんな家族の想いを紡いだコレクションの第2弾となるモデルだ。正確な作動や優れた操作性、エネルギー効率を追求して3つの特許を取得した完全自社開発製造のCal.CHOPARD 03.05-Cを搭載し、20年に登場した。C.O.S.C.認定クロノメーターの高精度を誇り、クロノグラフとしては一度の操作でリセットと再スタートが瞬時に行える高度なフライバック機能を備える。
そしてこの冬、文字盤に目が覚めるような鮮やかな新色、「マリタイムブルー」とアクティブな印象を与えるラバーストラップを採用した新作が加わった。これまでラインナップされてきたダイアルカラーの「アレッチブルー」や「ベルニナグレー」「ピッチブラック」と同様にアルプスの美しい景色を構成する自然な色彩に着想を得た新色は、アルプスの南斜面から見下ろす地中海の紺碧の海を連想させる。さらに金属製ブレスレットのデザイン要素を取り入れたラバーストラップもクロノグラフにさらにスポーティーな印象をもたらしている。しなやかな着け心地と防水性は実用面でも理想的な組み合わせと言えるだろう。
また、ショパールが共同開発したステンレススティールであるルーセントスティール™は、リサイクル率が発売当初の70%から80%以上に引き上げられたのも大きなポイントだ。リサイクル率を上げることは、CO2排出量の削減にもつながっている。このように環境に配慮したメゾンの取り組みがしっかりと新作にも取り入れられているのである。そして、その取り組みは時計製造以外においても行われているのをご存じだろうか?
ショパールはアルパイン イーグルの発表を機に非営利組織であるアルパイン・イーグル・ファウンデーションを共同設立している。つまり、アルプス山脈とそこで育まれる生命を守るために、人々の意識を高め、動かし、行動を起こすことを目的とした環境プロジェクトを推進しているのだ。サンモリッツの登場から約40年。ショイフレ家のアルプスを愛し続ける想いは、新作のクロノグラフはもちろん、コレクションすべてのモデルに注がれている。
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