ヴァシュロン・コンスタンタンが“超複雑腕時計”の王座を奪還

2017.02.03

創業260周年の最後を飾った“世界一複雑な時計”、Ref.57260の製作で培われた技術を盛り込み、23もの複雑機構を搭載した腕時計。2005年のトゥール・ド・リルに続き、現時点における“世界で最も多くの複雑機構を搭載するグランド・コンプリケーション腕時計”となった。手巻き(Cal.3600)。18KWG(直径45.0mm、厚さ13.6mm)。3気圧防水。世界限定1本。参考商品。

平均太陽時、真太陽時、恒星時の3つを表示する天体時計である本機で驚くべきは、そのコンパクトさだろう。6つの香箱とバイオフレックス合金製の主ゼンマイを備え、約3週間のロングパワーリザーブを実現しながら、ムーブメントの厚さはわずか8.7mmに過ぎない。また、地球が太陽の周りを一周する回帰年=365.2421898日をシミュレートした“回帰輪列”を組み込んだことで「連続作動均時差表示」を実現した。これは通常の均時差誤差表示とは異なり、真太陽時そのものを表示する機能である。均時差誤差がゼロの日は、真太陽時針(時針+分針)の動きも1日で24時間だが、これに均時差誤差を織り込んで、1日の運針量が23時間44分〜24時間14分の間で変化するのだ。もっと具体的に言えば、“平均太陽時用の分針”と“真太陽時用の分針”の運針量を変化させているため、2本の分針が示す時刻の差が、その日の“均時差誤差”ということになるわけだ。

白紙の状態から開発に約5年。そのうちの約2年を、専任のマスターウォッチメーカーが設計に費やしたという。完成した本機は、“世界で最も複雑な腕時計”という栄冠を、再びヴァシュロン・コンスタンタンにもたらすことになった。同社ビスポーク工房の「レ・キャビノティエ」を取り仕切る、ドミニク・ベルナスは次のように語っている。