スピードマスター ムーンウォッチ “ダークサイド・オブ・ザ・ムーン”
ケースに加え、ベゼル、文字盤に至るまで、主要な外装パーツにセラミックスを採用したオメガ初のモデル。ただし、リュウズはステンレススティールにセラミックスを被せたもの。高い外装加工技術の賜物だ。自動巻き(Cal.9300)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。セラミックス(直径44.25mm)。50m防水。110万2500円。
ケースに加え、ベゼル、文字盤に至るまで、主要な外装パーツにセラミックスを採用したオメガ初のモデル。ただし、リュウズはステンレススティールにセラミックスを被せたもの。高い外装加工技術の賜物だ。自動巻き(Cal.9300)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。セラミックス(直径44.25mm)。50m防水。110万2500円。
これは、私がオメガに入社して以来、ずっと作りたいと思っていた時計です」。オメガのプロダクト開発担当副社長のジャン-クロード・モナション氏は、2013年のバーゼルワールドで興奮を抑えながら、こう切り出した。
「私がオメガに入社したのは1997年ですが、その時からずっと〝黒い時計〟をオメガのコレクションに加えたかったのです。しかし、どうやって理想的な〝黒〟を実現するのか、それが問題でした」
一般的に、ケースをブラックに着色する手法としては、PVD(物理的蒸着)加工やDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)加工でケース表面に黒い皮膜を化学的に被せるという方法が考えられる。
「〝黒い時計〟を実現するために、いろいろ試してみました。しかし、PVDもダメ、DLCもやはりダメでした」
いずれも化学的な処理を金属の表面に施すものだが、皮膜が薄いために十分な耐久性が得られず、容易にコーティングがはがれてしまうことが最大の問題であったという。そこで、モナション氏は発想を転換することで、問題を解決しようとした。つまり、表面の皮膜がはがれるのが問題ならば、決してはがれない素材を使用すればいいのではないか? その結果、たどり着いた素材がセラミックスであった。
「どうせセラミックスをケースに採用するなら、まだどの会社もやっていないことにチャレンジしようと考えました。そこで、インナーケースやスペーサーを持たないセラミックスだけで出来た〝完全なセラミックケース〟を目指したのです」