編集部の気ままにインプレッション「モンブラン 4810 オルビス テラルム」

2019.07.22

操作説明ほとんどなしは使い勝手が良い証拠?

スイスでは3月の最終日曜日からDST期間に突入。深夜2時になったら、時針を1時間進めておく。オルビス テラルムの場合はタイムゾーンに一切触らず、リュウズを1段引きにして、時針を1時間進めるだけでOKだ。

 日本を出発してちょうど一週間が経過した3月25日 土曜日。昼間はバーゼルでブース取材、夜はホテルに戻って校了作業という荒行をこなし、やっと仮釈放を迎えた朝……。ああ、スイスの空が黄色く見える……。もう完全に腕に馴染んできた今回のパートナー「モンブラン 4810 オルビス テラルム」を着けてメッセに到着すると、あれ? 昨日まではなかったインフォメーションボードが……。

 明日は3月の最終日曜日。スイスでは日付が変わった深夜2時から、DST(デイライト・セービング・タイム/サマータイムのこと)が実施される。深夜2時になったら、1時間だけ時針を進めて午前3時に変更しなくてはならない。これをキチンとやっておかないと、明日のスケジュールは全部1時間遅刻になってしまう。ちなみに間違って針を1時間戻しちゃって、キッチリ2時間遅刻してきたジャーナリストさんをひとり知っているけどね……。

 iPhoneとか、電波時計的な機能がついたデバイスでは、深夜1時59分頃からにらめっこしていると、深夜2時になるはずの瞬間に、自動的に深夜3時を表示してくれる。それはそれで見ていて楽しいんだけど、筆者はさっさとオルビス テラルムを再調整して寝ちゃいます! タイムゾーンはハンブルグ時間(=スイス時間)にセットしたままなので、今回はプッシャーを使わないで、リュウズ操作で。

バーゼル期間中、ほぼ毎日食べてたソーセージスタンドの昼食も今日で最後。帰国したらプッシャーを押して日本時間へ(帰国時はプラス8時間になるから、8回押すだけ)。おっと、DSTで進めた1時間分を戻しておくのも忘れずに!
モンブラン 4810 オルビス テラルム

モンブラン 4810 オルビス テラルム
自動巻き(Cal.MB 29.20)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SS(直径43mm、厚さ11.87mm)。5気圧防水。69万4000円(税別)

 最初の時刻合わせと同じように、リュウズを1段引きにして、時針と24時間表示リングだけを1時間進める。はい、これだけでDSTにセット完了! この段階ではまだ深夜2時になっていないから、1時間進んだ状態になっているけど、寝て起きたらばっちりiPhoneと同じ時刻を指しているはず。(なんだ、この本末転倒な感じは……?)

 DSTに設定している際に注意しておきたいのは、日本時間には1時間のズレが生じていること。昨日までは2時位置の「TOKYO」ポジションで日本時間が分かったけれど、DSTの期間中は時差マイナス7時間になるから、実際には表示より1時間のズレがでてしまう。これはすべてのルイ・コティエ式ワールドタイマーに共通する弱点だけど、日本に住んでいる以上は致し方なしだろう。

 総論的にまとめれば、モンブランのオルビス テラルムは、かなり使いやすいワールドタイマーだったと言える。セリタベースの自動巻き+モジュールという基本構成からくるボリューム感も、程よく手首側に湾曲させたショートラグと、ガッシリとしたストラップのおかげで、キレイに腕周りをホールドしてくれていた。最初は腰高感がちょっと気になると思ったけど、ストラップがすぐに馴染んでくれたから問題なし。それ以上に、厚みを増している最大の原因である、上下2層の世界地図がかなり使いやすいのだから、差し引きしてもお釣りがくるだろう。最近では、ルイ・コティエ様式のワールドタイマーにセンターセコンドを備えたモデルもあるけど、オルビス テラルムは正統派の“秒針なし”で大正解だと思う。いたずらに機能を増やさず、視認性と操作性を優先させた利点が、ほとんど操作説明なしで最後まで来ちゃった今回のインプレに集約されているのではないだろうか? (←言い訳じゃないんですよ、決して!)

 

 品薄状態がずっと続いている人気機種だと以前にも書いたけど、その理由が少し分かったような気がする。見た目の派手さ以上に、使いやすさのほうが際立つユーザーフレンドリーなモデルだ。

Contact info: モンブラン コンタクトセンターTel.0120-39-4810