万年筆を筆頭とする筆記具ブランドから、時計、レザーグッズなどを提供する総合的なラグジュアリーライフスタイルブランドへと変貌を遂げるモンブラン。どのような戦略によって、モンブランは急速にブランドイメージの刷新を図ろうとしているのだろうか。モンブラン ジャパンのCEOを務めるマキシム・アラール氏に話を聞いた。
「モンブランはドイツのハンブルク(筆記具)、スイスのル・ロックル(時計)、イタリアのフィレンツェ(レザーグッズ)にそれぞれ、専門工房を置いています。ノウハウの継承と優れたデザイナーや職人の確保などといった要素を鑑みると、各々のベストプレイスに工房を置くというのは当然の成り行きとなります。また、フィレンツェの工房が開設されて20年が経過していることからも分かるとおり、モンブランの商品が筆記具、時計、レザーグッズの3本柱で長らく構成されていることをまずは理解していただくことが重要です」
では、本質的なブランドイメージの刷新へと舵を大きく切ったのは、いつ頃からなのだろうか?
「約4年前からです。現在はリシュモン グループのボードメンバーに就いている前CEOのジェローム・ランベールが着任して以降ですね」
確かに、ランベール氏がモンブランの最高経営責任者になってから、モンブランは商品構成の刷新、具体的にいうとよりモダンなイメージへとデザインを進化させた。その端的な例が、時計でいえば「モンブラン 1858」コレクションの投入であり、筆記具でいえばマーク・ニューソンにデザインを依頼した「モンブラン M」の発表だろう。しかし、古典に現代的なエッセンスを注入するのは、どこのブランドでも常套手段として頻繁に取り入れられている。モンブランがよりモダン、つまりより若く幅広い世代へ向けての起爆剤として用いたのが、デジタルテクノロジーであった。