高精度なムーンフェイズはどんな時、必要になるだろうか? 例えば、永久カレンダーを考えてみよう。永久カレンダーで問題になるのは2月末の扱いだ。つまり、その年が閏年であるか否か。そして、現在、一般的に使用されているグレゴリオ暦においては、閏年には次の3つのルールが適用される。①西暦が4で割り切れる年は閏年。②西暦が100で割り切れる年は閏年ではない。③その場合でも、西暦年が400で割り切れたら閏年である。この法則にのっとれば、次に問題になる年は2100年だ。この年は、4で割り切れるが、100でも割り切れる。だが、400では割り切れないので、閏年ではない。つまり、たとえ永久カレンダーを決して止めないで大切に使用していたとしても、今から85年後の2月末には、手動で日付表示を修正しなければならないのだ。
つまり、永久カレンダーとはいっても、決して万能ではない。だが、逆の言い方をすれば、せっかく永久カレンダーを持っているのならば、日付表示を手動で変更しなければならない2100年までは、できるだけカレンダーを調整したくない。たとえそれが、ムーンフェイズ表示であっても。こう考えるのが永久カレンダーを持つ者の特権ではないだろうか? だからこそ、高精度ムーンフェイズは、永久カレンダーとセットになってこそ、初めてその価値が一層高まるのだ。
だが、ここで紹介する「エンデバー・ムーン」(旧モーザー・パーペチュアルムーン)は、一般のムーンフェイズとはひと味違った個性を持つ。端的に表現すれば、分単位の精度で月齢を読み取り、設定し、しかも予測が可能というものだ。「高精度ムーンフェイズ」を謳う際に引き合いに出される1日分の誤差が発生するまでの期間は、1027.30年後と、とうとう1000年単位のオーダーへと突入した。