実際にwena wristを装着用
では実際にwena wristを装備し、着用してみよう。ステンレススティールケースのレジェンドダイバーに重量75.8gのwena wristという組み合わせはトータル152.8gとお世辞にも軽いとは言えない。しかしながらこのセットを腕に乗せしっかりと装着すると、手のひらに乗せたときに感じられた重さはほとんど気にならなくなってしまった。この感覚は以前、前述の「おもいでの時計店」へ取材に行ってwena wristを着けてみた時にも感じている。おそらく、時計全体の重さがバランス良く腕の上で分散されているのだろう。デジタルデバイスのパーツを1カ所にまとめず、ブレスレットの複数のコマに分けたことが功を奏したのかもしれない。
クラスプ側面にあるボタンを約3秒押すことでwena wristは通電する。なお、基本的にwena wrist側での操作は全てこのボタンを押すことで行うことになる。といっても電源のオン・オフと3つのモード切り替え&確認、バッテリー残量の確認と設定の初期化だけなので操作は至って簡潔だ。細かい設定などはペアリングをしたスマートフォンを用いることになる。ちなみに3つのモードとは、以下の3点を指す。
・通常モード:電子マネー機能、活動ログ、通知機能の全てを利用可能
・単体モード:スマートフォンとの連携をしないモード。電子マネー機能、活動ログのみが利用可能
・おやすみモード:省電力モード。電子マネー機能のみ利用可能
これらのどのモードを選択しているのかは、クラスプに埋め込まれたLEDの色で確認することができる。
スマートフォンとBluetooth
通電後、スマートフォンとBluetoothを介して接続すれば、いよいよレジェンドダイバーがwena wristの力を借りてスマートウォッチへと変身する時がきた。真っ先にそれを実感できたのは通知機能だ。スマートフォンとのペアリング中であれば、着信の際にバイブレーションによってそれを教えてくれる。また設定をすればTwitterやLINEといったSNS、ドメインごとのメールはもちろんのこと、ヤフオク!のような各種アプリからも通知があったことを知らせてくれる。ただし、着信の際のバイブレーションが着信中ずっと振動を続けるのに対して、その他のアプリ通知はどれも振動が1回で終了してしまうため、通知するアプリはしっかりと選別した方がいいだろう。通知設定アプリの数が多くなればなるほど、wena wristの振動回数も増え、そのバイブレーションが本当に必要な通知なのかさえ分からなくなってしまうからだ。次に恩恵にあずかったのが活動ログである。これは主に歩数を測る、端的に言うと万歩計機能だ。しかしながら、事前にスマートフォン側のアプリに体重と身長を設定することで歩数からその人の消費カロリーや移動距離を割り出し、教えてくれる。
最も感動した電子マネー機能
SUS316L製。リチウムイオン電池駆動。連続動作時間約1週間。ラグ幅22mm。IPX5/IPX7の防水性。重量75.8g。Bluetooth4.1 Low Energy準拠。対応OSはiOS 8.0以上、Android 5.0以上。上記ロゴのおサイフケータイ®対応サービスが利用可能。通知機能と活動ログ機能も搭載。2万9880円(税別)。※ヘッドは別売り。
そして今回のインプレッションで最も感動したのが電子マネー機能だ。wena wristはFeliCaが搭載されているため、同規格に対応している「楽天Edy」や「iD」、「dポイント」などのおサイフケータイ®対応サービスが利用可能となっている。スマートフォン上からクレジットカード、もしくはコンビニのレジなどで一定の金額をチャージしておけば、支払いの際は読み取り機に手をかざすだけで簡単に決済ができるのだ。iPhoneのApple Payをはじめ、いまや普段持ち歩く腕時計以外のデバイスにも同様の機能を持つものは多いが、その大半は使用時に鞄やポケットなどから取り出したり、取り出した後に電源を入れたりといった動作が必要だ。対して常に腕とともに外に出ており、使用にあたって特別な儀式が何ひとつ要らないという大きな強みをwena wristは持っている。これは腕時計に決済機能を付帯させたもののみに与えられた特権なのだ。
そして上記で述べたwena wristの全ての機能は、その使用履歴をアプリによってさかのぼることができる。1日の歩数からTwitterのリツイートされた回数、コンビニの買い物で使った金額などが一目瞭然だ。1週間の終わりに振り返ることで、自分の怠惰な生活習慣を見直す良いきっかけにもなる……かもしれない。
似たような機能を持ったスマートウォッチは世の中にいくつもあるだろう。また装着感の向上のため、ブレスレットのコマはもっと薄くするべきであり、wena wrist側での情報表示量があまりにも少ないため、スマートフォンがないとなかなか扱いづらいという弱点はある。しかし、一番大切なことはこれらスマートウォッチの機能をラグ幅さえ合えば機械式、クォーツ式を問わずどんな時計でも享受できるという点である。また、wena wristはまだ製品化の第1号であるため改善の余地は大きいはずだ。以後確実に増えるであろうスマートウォッチと機械式時計の共存という我々にとっても見過ごせない可能性を秘めているwena wristが、今後もっと改良されることを願うばかりだ。