スタンダードの殻を破る 新時代のGSデザイン

2018.06.07

新領域を拓く「グランドセイコーブルー」

 グランドセイコーの強みといえば、鮮やかな“色”である。
毎年のように色で試みを続けてきたが、今年はクリアな色を与えるのが難しいセラミックス素材に、「グランドセイコーブルー」を与えることに成功した。
深みのある、そして鮮やかな発色をもたらしたのは、1年にも及ぶ入念なリサーチであった。

スポーツコレクション キャリバー9S 20周年記念限定モデル SBGJ229

SBGJ229
スポーツコレクション キャリバー9S 20周年記念限定モデル SBGJ229
セラミックス×Tiの外装を持つグランドセイコーの新作。加えて、インデックスやGMT針、文字盤もブルーに揃えられた。手法を変えることで、多彩なブルーを盛り込んだ試みだ。自動巻き(Cal.9S86)。37石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約55時間。セラミックス×Ti(直径46.4mm)。10気圧防水。世界限定350本。155万円。6月9日発売予定。


Cal.9S86
本作には、さまざまな手法でブルーが与えられた。インデックスはスパッタリング、GMT針は青焼き、文字盤はラッカー仕上げ、そして円形のローターは陽極酸化処理。ここまで色の表現に挑んだモデルは、グランドセイコーでも初だろう。

 スポーツコレクションに新しく加わったのが、「グランドセイコーブルー」を強調した「SBGJ229」だ。ブライトチタンのケースに、セラミックス製の外郭をかぶせる構成は、既存のモデルに同じ。両者にわずかな隙間を持たせることで、ショックに強く、仮に割れても部分交換だけで済む。従来のセラミックスの色は黒。しかし、今年はグランドセイコーブルーが採用された。

 デザインを担当した久保進一郎氏はこう説明する。
「セラミックス素材は、基本的に調色が難しく、微妙な色も出しにくい。そこで、色の掛け合わせを微調整して色を完成させました」

 もっとも、その手間のかけようはいかにもグランドセイコーだ。
「彩度と明度でグラフを作り、色を詰めていきました。ですが、セラミックスは、例えば午前中と午後の光でも色が変わって見えてしまう。最終的に残ったのは3~4種類。どの状態でも美しいと感じられる色を決めるには1年ほどかかりました」

 青へのこだわりは他にもある。インデックスはスパッタリング処理によるブルー。一方のGMT針は、セイコーお得意の本物の青焼き針だ。普通、両者の色は決して揃わないが、セイコーはそのふたつを揃えてみせた。併せて文字盤も青。ブルーにブルーを重ねるとインデックスは埋没してしまうが、文字盤にプレスで模様を付けることで、インデックスと針を目立たせた。

 微妙なチューニングがもたらした鮮やかなブルー。この色味こそ、実際に目にすることをお勧めしたい。その鮮やかさは、他社のセラミックケースと比べても際立っている。