世界の海に希望を届ける「レース・フォー・ウォーター・オデッセイ号」はブレゲと共に
ブレゲは今年のバーゼルワールド2018で、スイスの環境保全団体レース・フォー・ウォーター財団とのパートナーシップ締結を発表した。海洋の環境保全とプラスティックごみによる汚染問題について人々の関心を高めるために活動を続ける同財団のサポートを正式表明。2017年から2021年までの5年間、世界各地を巡るミッションに携わるクルーが着けるのは、「マリーン」のスペシャル・エディションだ。
ブレゲがサポートする海洋保全とエネルギー革命
今回の「マリーン」コレクションによって、海との深い関係をあらためて表明したブレゲ。歴史をさかのぼれば、冒頭で紹介したように、フランス海軍省御用達時計師になり、精巧なマリン・クロノメーターを製作して航海に寄与したブレゲだが、現代のブレゲは人類にとって重要な海洋の環境保全にコミットする。この分野でのユニークな活動で脚光を浴びるスイスの環境保全団体レース・フォー・ウォーターへのサポートだ。
「19世紀、海上での船の航行に中心的な役割を果たしていたのは時間計測でした。ブレゲは、私たちの共通の未来に欠かせない重要な役割を担う『オデッセイ』プロジェクトを支援することによって、その伝統を守り続けていきたい」と、ブレゲを率いるマーク・A・ハイエックはバーゼルワールドで述べた。
海洋の環境保全とプラスティックごみによる汚染問題について人々の関心を高めるための活動を続けるレース・フォー・ウォーターは、化石燃料にいっさい頼らず、太陽光、水素、風をミックスして得たクリーンエネルギーのみで動く特別な船で世界の海を航行。2017年から始まり2021年まで続く「オデッセイ」プロジェクトでは、世界の35カ所に寄港しながら、科学者や政策決定者などと学識を分かち合う機会を設け、未来を担う若い世代に向けての啓蒙活動を積極的に展開していく予定だ。
レース・フォー・ウォーターは、寄港先で世界の島々を汚染するプラスティックごみをエネルギーに変換する革新的な手法があり、それが実際に可能なことを具体的に提示していくという。今や海に放出される廃棄プラスティックは膨大な量に達する。放置すれば厄介なごみのままだが、それらを有効活用してエネルギーを作り出すことができれば、汚染で最も影響を受けている人々にとっての収入源にもなり、化石燃料に頼らずに、クリーンエネルギーへの転換を促進できるという未来像を描いている。それは経済や環境、社会的利益に関して今最も注目されるサステナビリティ、つまり持続可能な循環型エコ社会を人々に訴えることにもなり、これからの人類にとって非常に有意義な活動である。
ブレゲはまた、サポートの一環として、世界を巡回するミッションに携わるクルーたちが着ける特別仕様のモデルを作った。「マリーン 5517」のチタンケースモデルに、オデッセイ号をクル・ド・パリ模様で描いたブルーダイアルをセットした〝レース・フォー・ウォーター〟 スペシャル・エディションだ。
レース・フォー・ウォーターが現在継続中の「2017-2021 オデッセイ」プロジェクトにおいて去る6月、オデッセイ号は南米チリの風光明媚なヴァルパライソに寄港した。現地では850人以上ものビジターが乗船し、大盛況となったという。同じくチリでは8月にロビンソン・クルーソー島、9月にイースター島を巡り、次の寄港地へと舵を切る。ブレゲと共に、その成果を見守りたい。
「5517」をアレンジした特別モデル。ソーラーパネルを敷き詰めたオデッセイ号の俯瞰図を“クル・ド・パリ”スタイルのギヨシェ彫りで描いたブルーダイアルが印象的だ。自動巻き(Cal.777A)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。シリコン製ヒゲゼンマイと脱進機搭載。Ti(直径40mm)。10気圧防水。非売品。
【ブレゲ新生マリーンが拡張する 〝エレガンス スポーティー〟の 版図】前編