RICHARD MILLE
ヴォーシェ製薄型キャリバーのリシャール・ミル的解釈
優れた装着感を持つ薄型時計。そのメリットを強調したのが、リシャール・ミルの新作「RM033」だ。極薄のマイクロローターと大きく湾曲したチタンケースの
組み合わせは、この薄型時計にいっそうのフィット感をもたらした。加えて、搭載するCal.RMXP1は極薄自動巻きとは思えないほどの耐衝撃性を持つ。類を見ない個性を持つRM033。スポーツシーンには向かないものの、極薄のユーティリティーウォッチとしては、唯一無二の存在である。
直径45.7mmに対し、厚さは6.3 mmしかない。併せて、大きく湾曲したケースバックとラグ、そして、軽量なチタンケースにより、装着感はすこぶる良好だ。個人的には、リシャール・ミルのコレクションで最も好ましい1本。自動巻き(Cal.RMXP1)。Ti。30m 防水。682 万5000円。
新型の自動巻きムーブメント。Cal.PF700に同じく、巻き上げローターは比重の大きいプラチナ製。両持ちのテンプ受けとフリースプラングにより、優れた耐衝撃性を備える。地板はタイタリット処理を施したチタン製。ムーブメント径33mm、厚さ2.6mm。他のスペックはPF700に同じ。
男性用の自動巻きに、ヴォーシェマニュファクチュール フルリエのエボーシュを採用するのがリシャール・ミルである。そんな同社が、新しいキャリバーVMF5300に注目したのは当然だろう。今年発表されたRM033は、同機をモディファイした薄型のキャリバーRMXP1を搭載する。
スケルトン加工とPVD処理が施されたブリッジに、ロジウムメッキされた輪列。こういったモディファイは、既存のヴォーシェ製ムーブメントにほぼ準ずる。しかし、ムーブメントが薄型であることを考慮してか、スケルトン加工はごく軽い。特に剛性を落とさないため、地板はほとんど肉抜きされていない。加えて、チタン製の地板にはタイタリット(エレクトロ・プラズマ酸化)処理が施された。これも剛性を確保するためだろう。VMF5300から3㎜地板を延ばしたのも、耐衝撃性を考慮したためと思われる。ムーブメントは機留めネジで固定されるが、文字盤側では文字盤を重ね、カーボンファイバー製の見返しで支えている。つまり、地板の延長は、ムーブメントを見返しで支えるためと考えていい。柔軟性のあるカーボン製の見返しは、多少でも衝撃を吸収するだろう。
VMF5300がベースとはいえ、リシャール・ミルが載せるものはパルミジャーニ・フルリエと同等の仕様を備えている。事実、テンプは緩急針のないフリースプラングを採用し、サテン仕上げが施された歯車の質も、パルミジャーニ・フルリエに同じだ。かなり高額だが、より使える良質な極薄時計を探しているユーザーにとって、RM033はよい選択肢となろう。ただし、テンワの慣性モーメントが4.8㎎・㎠と小さいため、スポーツシーンに向かないことだけはあらかじめ強調しておきたい。
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