Gr.3.1
単独調整型12時間主時針/カレンダー連動+ベゼル固定=2カ国表示
“操作禁止時間帯”を無効にするカレンダー連動タイプ
時分針と同軸上に12時間副時針、スモールセコンドの同軸上に24時間副時針を有する。前者を時針、後者をスモールセコンドと同期させることができるため、第2時間帯の表示を必要としない時は普通の3針時計としても使用することが可能だ。手巻き(Cal.P.2002)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約192時間。SS(直径44mm)。10気圧防水。137万円。問オフィチーネ パネライ TEL:0120-18-7110
12時間表示針の単独調整機能がもたらした最も大きな利点は、カレンダー表示との連動である。日付を跨ぐような時間帯の調整では、針の位置に合わせてカレンダー表示も順逆両方向に動く。日付を跨ぐ針位置調整にカレンダーが連動するということは、24時間表示針単独調整タイプとは異なり、〝操作禁止時間帯〞も存在しないということだ。このメリットは大きく、近年のマニュファクチュールムーブメントがこの方式をこぞって採用するのも納得だ。唯一の弱点を挙げるならば、カレンダーの早送り機構が省略されたことくらいだろう。
パネライのP.2000系GMTは、センターに24時間副時針を持たず(GMT針として用いる副時針も12時間表示)、インダイアル上のAM/PM表示を24時間副時針とする変わり種。センターの12時間副時針と、9時位置の24時間副時針は完全な連動型で、通常の時針に単独調整機構を設けている。このため、仮に24時間表示の回転ベゼルを追加しても第3時間帯の表示はできず、実質的には〝回転ベゼルなし〞で運用することに特化した専用設計機となっている。
こうしたカレンダー連動機で少しだけ注意したい点は、12時間針を単独調整する際の順逆両方向ともに、カレンダーが完全に切り替わるまで時針の動きを止めないことだ。ちなみにこのP.2000系GMTの場合では、順送りの際は23時からカレンダーが動き始め、0時には完全に日付が切り替わる。しかし逆戻しの場合では、0時からカレンダーが前日に戻り始め、23時ではまだ中間位置。動き終わりは22時の位置だった。逆戻し方向で23時に合わせる場合は、少し多めに針を動かして、戻す方がよい。
GMT Watches Guide[Gr.3.1]
ブライトチタンとセラミックスの組み合わせ。後者が使用の際に傷が付つきやすい箇所に配されているため、高級機ながら実用時計としての実力も高い。自動巻き(Cal.9S86)。37 石。3 万6000 振動/ 時。パワーリザーブ約55時間。セラミックス×ブライトチタン(直径46.4mm)。10気圧防水。140万円。問セイコーウオッチお客様相談室☎0120-061-012
アラーム機能を持つGMTウォッチ。2時位置のリュウズは時刻合わせと12時間主時針の単独調整用、4時位置のリュウズは3時位置のアラーム時間設定用。アラームのオン/オフは8時位置のプッシャーで切り替える。自動巻き(Cal.1240H)。36石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KRG(直径40.3mm)。3気圧防水。357万円。問ブランパン ブティック銀座☎03-6254-7233
自社開発クロノグラフにGMT機構を追加した意欲作。24時間副時針が時針と分針の間にセットされているが、これは第2時間帯をベゼルから読み取りやすくするための試みだ。自動巻き(Cal.ホイヤー02)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。SS(直径45mm)。100m防水。65万円。問LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー☎03-5635-7054
時分針と24時間副時針の根元を黒く塗り、針の蓄光部分のみを浮かび上がらせているように見せる「ファントム」効果が楽しめるブラックダイアルモデル。蓄光塗料にはクロマライト ディスプレイが使用される。自動巻き(Cal.3187)。31石。2 万8800 振動/時。パワーリザーブ約48時間。SS(直径42mm)。100防水。コレクター私物。
ダミエ・パターンをギヨシェにしてダイアル中央に取り入れた。腕との接触面に向かって広がっていくケースデザインは、重心が下がるため装着感に優れる。自動巻き。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SS(直径41.5mm)。50m防水。59万8000円(ラバーストラップ)。問ルイ・ヴィトン クライアントサービスTEL:0120-00-1854
同社の場合、エボーシュを用いたGMT時計は24時間副時針が、自社製のCal.B04搭載機では12時間主時針が単独調整可能。ベゼルは回転計算尺で、24時間表示がダイアル上に描かれる。自動巻き(Cal.B04)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS(直径48mm)。3気圧防水。110万円。問ブライトリング・ジャパン☎03-3436-0011
ランドマスター誕生25周年を記念して開発された新型ムーブメントを搭載する。回転ベゼルに刻まれるのは同シリーズ伝統の方位目盛りで、24時間表示は見返しに記される。自動巻き(Cal.6R64)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。T(i 直径46.8mm)。20気圧防水。20万円。問セイコーウオッチお客様相談室☎0120-061-012
Gr.3.2
単独調整型12時間主時針/カレンダー連動+両方向回転ベゼル=3カ国表示
GMTに求められる全スペックを盛り込んだ現時点での完成形
SSモデルとしては13年振りに赤青ベゼルが復活。酸化アルミニウムをベースにしたセラミックスに、酸化クロムと酸化マグネシウム、レアアース系酸化物を混合し、赤青カラーをセラクロムベゼルで再現した。ムーブメントはパワーリザーブを約70時間に延ばした新型、Cal.3285を搭載。自動巻き(Cal.3285)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS(直径40mm)。100m防水。コレクター私物。
現時点におけるGMTウォッチの完成形が、最後に紹介するこのタイプ。すなわち、12時間針(=通常の時針)の単独調整+カレンダー連動型ムーブメントに、24時間表示の回転ベゼルを組み合わせる3カ国表示タイプだ。すでに述べたように、このタイプはロレックスが1982年に先鞭をつけ、「GMTマスターⅡ」として送り出したモデルに端を発している。しかし機構的に完成されてゆくのは2005年に登場した31系GMT(キャリバー3186)以降と本誌では見ており、さらに言えば、完全な熟成にはさらに2年程度を要したのではないかと思われる。ロレックスは18年にGMT機のベースムーブメントとして、パワーリザーブを約70時間にまで延長した新型の32系を投入しており、その完成度は一段と高まっている。
12時間針とカレンダーの連動に関して言えば、順送り方向の調整では、ロレックスらしく0時ちょうどにジャストチェンジ。逆戻しの場合は、0時位置では変化は起こらず、23時からカレンダーが戻り始め、完全に前日へと切り替わるのは21時位置だった。安全性に配慮してマージンを大きく取った設計なのだろうが、前日への調整時は少しだけ針を多めに動かした方がよさそうだ。
1955年にロレックスが〝発明〞し、完熟へと導いたGMTウォッチ。しかし、その機構が本当に安定してきたのは、先にも述べたように2005〜07年頃だと本誌は確信している。近年、改めて百花繚乱の様相を呈しているGMTウォッチだが、本当の熟成進化が始まったのはここ10年あまりの話なのである。新たな進化への緒に就いたGMTウォッチ。その動向には改めて注意を向けておきたい。
GMT Watches Guide[Gr.3.2]
ふたつの24時間ベゼルのうち、インナーが可動式、外周が固定式のため、第2時間帯および第3時間帯の両方を副時針が指し示した数字から読み取れる。主時針はリュウズで、インナーベゼルは10時位置のプッシャーで単独調整可能。自動巻き(Cal.CFB 1901.1)。39石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SS(直径47.4mm)。100m防水。157万円。問ブヘラジャパン☎03-6226-4650
24時間式の両方向回転ベゼルを有したGMTウォッチながら、600mもの防水性能とヘリウムエスケープバルブという、ダイバー用途としても非常に高いスペックを誇る同作。さらに1万5000ガウス以上の高耐磁性能までを持つ。自動巻き(Cal.8906)。38石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS(直径43.5mm)。600m防水。84万円。問オメガお客様センター☎03-5952-4400
マホガニーレッドのダイアルを持つ限定モデル。インデックスだけでなく、回転ベゼルにもルミブライトが施される。写真のブレスレットのほかに、強化シリコンストラップも付属する。自動巻きスプリングドライブ(Cal.9R66)。30石。パワーリザーブ約72時間。SS(直径44mm)。20気圧防水。世界限定600本。64万円。問セイコーウオッチお客様相談室☎0120-061-012
自社開発のCal.MT5652を搭載する。バーガンディとブルーに彩られた両方向回転ベゼルは、48ノッチで1周する。写真のブレスレットのほか、レザーストラップとファブリックストラップが用意され、どれも1950年代テイストのデザインとの相性が良い。自動巻き(Cal.MT5652)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS(直径41mm)。200m防水。コレクター私物。