時計のGMT機能とは
国によってタイムゾーンが異なり、海外とやり取りをする際には時差を意識することになるだろう。2カ国、あるいは3カ国のタイムゾーンを同時表示する「GMT機能」について紹介しよう。
異なる時間帯を表示できる機能
時計におけるGMT機能とは、「ローカルタイム(現地時間)」と「ホームタイム(GMT)」のふたつのタイムゾーンを同時表示できることを指す。
基本的な時計機能に加え、GMT用の時針(GMT針)と24時間表示の回転ベゼルを搭載し、GMTとローカルタイムを同時に表示するモデルが一般的だ。
モデルによっては3つの時間帯を表示できるものもあり、任意の3都市の時間を見比べるという使い方も可能である。
ロレックスが世界で初めて採用
世界初のGMT機能を搭載した腕時計は、1955年に発売されたロレックスの「オイスター パーペチュアル GMTマスター」Ref.6542だ。
GMTマスターは、パン・アメリカン航空の要望を受けて、大陸間のフライト中に異なる時間帯を表示する腕時計として製作された。99年頃に販売終了となるまでのロングセラーウォッチである。
82年に発売された「GMTマスター II」は、初代GMTマスターのデザインと設計思想を受け継ぎ、2019年にも新モデルが発売されている。
GMT機能の使い方
GMTウォッチは、タグ・ホイヤーやモンブラン、オリスなど、さまざまなブランドから発売されている。
GMT機能の使い方はモデルによって異なり、プッシャーやコレクターを組み合わせて操作するものも存在する。
ここでは、最も基本的なリュウズ1段引き/2段引きで調整するものを想定し、GMT機能の使い方を見ていこう。
時針について
一般的なGMTウォッチは、12時間表示の時分針・秒針に加え、分針ほどの長さの「GMT針」を搭載している。GMT針は回転ベゼルに合わせて24時間で1周するため、昼夜を区別することができる。
基本的には、目視で昼夜が判断できるローカルタイムには12時間表示の時針を合わせ、時差があって昼夜が判断しにくいホームタイムにGMT針を合わせる。
イギリスをホームタイムとする人が日本に渡航する場合、日本時間をローカルタイムに、本拠地のイギリスのGMT(UTC+0)にGMT針を合わせるかたちだ。この場合は、JSTがUTC+9のため、時針がGMT針の9時間後を指すように調整する。
なお、3月最終日曜日1時から10月最終日曜日1時までの期間は夏時間なので、この期間内ではBST(UTC+1)に合わせ、GMT針は8時間前に設定するようにしてほしい。
GMT機能の基本操作
リュウズのみで操作するGMTウォッチは、リュウズを1段階引くと短針が単独で調整でき、24時間分(2回転分)回すと日付が1日替わる。
リュウズを2段階引いた状態では、時分針とGMT針が連動して動く、時間合わせのモードである。GMT針は単独での調整は不可能だ。このため、ホームタイムを設定するGMT針を中心に時間合わせを行うことが基本となる。
また、回転ベゼルを回すと、第3の時間を把握することも可能である。時刻を知りたいなら、第3の時間にGMT針が合うように24時間表示の回転ベゼルを調整すれば、同時に3つのタイムゾーンを表示できる。
ニューヨーク時間での例
ニューヨーク時間はUTC-5、日本時間はUTC+9、時差は−14時間である。日付変更線(1日の始まり)はUTC+0から見て地球の裏側、UTC+12あたりにある。つまり、日本から見たニューヨークは14時間前、となるわけだ。
ESTをローカルタイムに、JSTをホームタイムに設定する場合、時針をESTに、GMT針をJSTに調整しよう。この際、GMT針を動かさず、回転ベゼルでJSTに合わせておけば、帰国した際に逆の操作をするだけで済むからだ。
もし、分針やGMT針を含めて調整する場合、手順は以下の通りである。
- 2段引きでGMT針と分針を24時に合わせる
- 1段引きで時針を24時に合わせ、同期完了
- 2段引きでJSTに合わせる
- 1段引きでESTに合わせる
GMT機能を活用しよう
海外旅行をしたり、2カ国間で連絡を取り合ったりする際には、ひとつのタイムゾーン表示しかできないウォッチでは都合が悪いケースがある。
GMT機能を搭載した腕時計ではふたつのタイムゾーンを一覧でき、使いこなせば3つのタイムゾーンを瞬時に把握することも可能だ。海外とのやり取りがある人は、GMT機能を活用して有意義な時間を過ごすことができるだろう。
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