ブレゲの主要コレクション
ブレゲの現行コレクションは、アブラアン-ルイ・ブレゲへのオマージュともいえる時計が多い。ブレゲは、時を超えて人々に機械式時計の魅力を伝え続けているのだ。
トラディション
「トラディション」は、アブラアン-ルイ・ブレゲが開発した複雑機構の数々を忠実に再現するハイエンドコレクションである。ケースはブレゲが製作した一本針の懐中時計「スースクリプション」がモチーフだ。
トランスパレントの風防からはムーブメントを鑑賞することができ、ブレゲの類まれな才能と功績に想いを馳せることができる。
露わなムーブメントと対照的に、小型のダイアルからは繊細なギヨシェの美しさが漂う。
クラシック
「クラシック」は、アブラアン-ルイ・ブレゲが求めた「理想的な時計」をモチーフにしたコレクションだ。ラインナップからはブレゲが書き残した設計図をそのまま、現代に蘇らせたような印象を受ける。
丸みを帯びた真円と直線で構成されたケースとラグ、ブレゲ針とブレゲ文字という、ブレゲ特有のシンプルかつエレガントな美観が際立つ。
視認性の高さ、精度への追求など実用へのアプローチも忘れていない。時計の理想の形が具現したモデルといえるだろう。
マリーン
「マリーン」は、アブラアン-ルイ・ブレゲがデザインしたフランス海軍の「マリーン・クロノグラフ」をモチーフにしたコレクションだ。
このため、立体的なローマン・インデックスやラバーストラップといった実用性を加味した、スポーツ性能の高いモデルが多い。
海軍将校向けのデザインともいえるような、グランドコンプリケーションや貴石を配したラグジュアリーな時計、またレディスモデルも多数ラインナップすることも特徴だ。
タイプトゥエンティ
「タイプトゥエンティ」は、1950年代にフランス海軍航空部隊向けにデザインされた軍用時計をモチーフとするコレクションである。
ハードな使用を目的としているため、蓄光加工が施されたインデックスと針を用い、クロノグラフ、デイアンドナイト・インジケーター、12時間積算計といった機能を搭載しているのが特徴だ。
ラグジュアリーなスポーツ時計として信頼性の高いコレクションである。
ブレゲの話題のモデルを押さえよう
ブレゲの現行コレクションから、アブラアン-ルイ・ブレゲをルーツとする傑作2本、その末裔ルイ-シャルル・ブレゲの作品をベースにした1本を紹介しよう。
クラシック 5177 グラン・フー・ブルーエナメル (5177BB/2Y/9V6)
「クラシック 5177 グラン・フー・ブルーエナメル」はブルーエナメルダイアルを採用したモデルだ。
インデックスには星をあしらい、繊細なブレゲ針は夜の静寂に浮かぶ月を思わせる。ブレゲ数字がこれほど神秘的に映えるモデルは珍しい。
無駄のない装飾にコインエッジ仕上げのプラチナケース、滑らかにダイアル上を回転するブレゲ秒針、どれをとってもこの傑作が湛える美しさに不可欠であったといえるだろう。
マリーン 5517(5517BB/Y2/5ZU)
「マリーン 5517」は、スポーティーウォッチとしての快適な使用感と息を飲むような美しさをあわせ持つマリーンだ。
自動巻き中3針の「マリーン 5517」は、新しいコレクションの中で機能的には最もシンプルなモデル。デザインも、第2世代「マリーン 5817」より一段とシンプルになった。アラームGMTやクロノグラフのような機能面での特徴に代わり、5517で際立つのは、ブレゲが導入した〝新生マリーン〟のデザインコードだ。ケースやダイアルはもとより、ディテールにまで行き渡る新鮮なデザインがニュールックを演出する。そこには都会的なラグジュアリーウォッチのセンスさえ漂う。
タイプトゥエンティ アエロナバル (3800ST/92/9W6)
「タイプトゥエンティ アエロナバル 3800ST/92/9W6」は、海軍航空部隊を意味するアエロナバルの名を冠するパイロットウォッチである。
アブラアン-ルイ・ブレゲの子孫ルイ-シャルル・ブレゲは、航空機メーカーを営んだ。1930年代にパリとニューヨーク間で初の無着陸飛行を達成したブレゲXIXは、同社の名機である。
この経歴により、軍から要請を受けて製作された時計「タイプXX」は、こちらも名作として民間でも大いに歓迎された。これを踏襲するのがアエロナバルである。
飛行中でも容易に計測可能なフライバック式クロノグラフを搭載し、高い夜行性能に加えて100m防水と高いスペックを有する。ブラックダイアルで引き締まったフェイスも、スポーティーな印象を高めている。
タイプ XXI 3810
「タイプ XXI」は、2004年に発表された、「タイプ XX」の第5世代モデル。ブレゲが1950年代にフランス海軍航空部隊(アエロナバル・フランセーズ)のために開発した「タイプ XX」からインスピレーションを得て誕生した。
ブレゲの時計を入手するには
ブレゲ時計の傑作の数々は、光源との位置関係をさまざまに変えて直に見ることをおすすめする。ギヨシェやコインエッジの美しさ、なぜそのデザインなのかという意味に気付くだろう。ブレゲ時計を入手する方法について解説する。
カタログやマガジンに目を通そう
ブレゲでは、公式サイトからカタログが無料で請求できる。個人情報を登録すればPDF版でも閲覧可能だ。
これに加え、ブレゲのオリジナルマガジン「LE QUAI DE L’HORLOGE」(ケ・ド・ロルロージュ)も請求できる。見開きカラーページで時計の紹介などを読むことができ、なんとこれも無料だ。
ケ・ド・ロルロージュはシテ島の地域名であり、アブラアン-ルイ・ブレゲが時計工房を開いたブレゲ始まりの地の名称である。
国内の正規販売店に足を運ぶ
日本国内のブティック(直営店)は、銀座と日本橋三越本店、伊勢丹新宿店の3店舗、いずれも東京都内だ。
ブティックより取り扱い点数は少なくなるが、正規販売店は全国の百貨店などに27店舗(2020年1月現在)ある。公式サイトから情報を確認しよう。
なお、ブレゲはリストに含まれていない店舗に時計を卸していない。まず店舗の情報を確認してから足を運ぼう。
使用時のケアとメンテナンス
ブレゲは、機械式時計の名機を作る時計メゾンだ。その時計は自動巻きか手巻きのいずれかであり、時計によって正しい取り扱い方法に違いがある。
日常的に注意すべき点
自動巻き時計は、装着している限りゼンマイが巻き上げられ動力を確保できるが、手巻き式時計の場合、毎日、自分でゼンマイを巻き上げる必要がある。このとき、限界を超えて巻き上げようとすると破損の恐れがあるので、注意が必要だ。
その他の注意事項も含め、ブレゲの公式サイトから取り扱いの詳細情報が確認できる。
取り扱い説明書を紛失した場合は商品ページか、カスタマーサービスのページから取り扱い説明書をダウンロードしよう。
メンテや修理はサービスセンターへ
ブレゲでは、時計の点検は3〜4年周期で行うことを推奨している。メンテナンスや修理の場合は、ブレゲ ブティック銀座か、同ビル内にある東京カスタマーサービスに出向く。時計と保証書もお忘れなく。
ほかのブティックや正規販売店を窓口として依頼することもできる。もし、正規サービス以外の方法で修理を試みた場合、その後はサポート対象外となることもあるため、正規サービスの利用を前提に考えよう。
時代を超えて息づく機能美を感じ取る
ブレゲの時計は、あえて表明する必要がないほどに充実した歴史に裏付けられた、確かな機能美を備えている。
アブラアン-ルイ・ブレゲの複雑機構における功績があまりに突出して偉大であるため、コンプリケーテッド・ウォッチのイメージが強くなるかもしれない。
しかし、創業時代から続くシンプルなエレガンスや、高度なデザイン性も、ブレゲの本質を表現する一面なのだ。
幅広いラインナップからブレゲを知ってほしい。
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