ENAMEL DIAL
コンプリケーションのような高度な複雑機構に関するものだけでなく、ブレゲは美観の演出においても特別なサヴォアフェールの持ち主である。〝ブレゲ数字〟と称される独特な書体のアラビア数字をあしらった、伝統的なエナメルダイアルはそのひとつ。高温で炉焼きする〝グラン・フー〟エナメルのダイアルに最近加わったのは、ブレゲを象徴する革新的なブルーだ。
クラシック トゥールビヨン エクストラフラット オートマティック 5367
ブレゲのグランドコンプリケーションでは初めて“グラン・フー”エナメルのダイアルを採用する稀少モデル。極めて古典的な表情とは対照的に、搭載ムーブメントはブレゲの革新的な技術を満載した超薄型の自動巻きムーブメントCal.581。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。18KPG(直径41mm)。3気圧防水。1597万円。
ブレゲのグランドコンプリケーションでは初めて“グラン・フー”エナメルのダイアルを採用する稀少モデル。極めて古典的な表情とは対照的に、搭載ムーブメントはブレゲの革新的な技術を満載した超薄型の自動巻きムーブメントCal.581。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。18KPG(直径41mm)。3気圧防水。1597万円。
アブラアン-ルイ・ブレゲの時代も現代も、一部を除いて大半のモデルのダイアルは、ギヨシェ彫りで模様を施したタイプか、エナメルを焼成して仕上げたタイプのいずれかであり、そこに見て取れるのは一目でわかるアイコニックなスタイルだ。エナメルダイアルは現在のブレゲのコレクションにおいて数は決して多くはないが、アブラアン-ルイ・ブレゲが懐中時計に用いた典型的なデザインコードが再現され、高温の炉で焼成する昔ながらの〝グラン・フー〞手法で作り出されている点は注目に値する。
クラシック 5177 グラン・フー ブルーエナメル
「ブレゲ・ブルー」と命名された独特の青を“グラン・フー”エナメルで作り出した最新作。懐中時計時代と同様、アラビア数字、星、ダイヤモンド、百合のモチーフ、ブレゲの銘などをシルバー色で彩り、エナメルのブルーと美しい対比をなす。自動巻き(Cal.777Q)。26石。2万8800振動/時。18KWG(直径38mm)。3気圧防水。257万円。
「ブレゲ・ブルー」と命名された独特の青を“グラン・フー”エナメルで作り出した最新作。懐中時計時代と同様、アラビア数字、星、ダイヤモンド、百合のモチーフ、ブレゲの銘などをシルバー色で彩り、エナメルのブルーと美しい対比をなす。自動巻き(Cal.777Q)。26石。2万8800振動/時。18KWG(直径38mm)。3気圧防水。257万円。
これに対して、一見伝統的だが、実は革新的なのが「クラシック 5177」である。ブルーのブレゲ針に通じる色彩を〝グラン・フー〞エナメルで作り出しているからだ。エナメル独特の美しい質感で今までにない濃いブルーを実現するのは容易ではなかっただろう。この微妙な色を正確に出すために、ブレゲは顔料の開発に広範な研究を行った。その秘術とも言えるテクニックも新たなサヴォアフェールとして受け継がれていくはずだ。
「クラシック5177」が搭載するCal.777Qに組み込まれているシリコン製アンクル。シリコン素材による脱進調速機がブレゲの標準仕様になりつつある。
微細なパウダー状に砕いた釉薬を金属プレートの上に施し、炉で熱して表面にガラス質を焼成するエナメルダイアルの基本的な製法は、懐中時計時代と変わらない。とくに約800℃の高温で焼成する技法を“グラン・フー”と呼ぶが、炉で焼く時間やエナメルの発色、さらなる重ね塗りや研磨などはすべて専門職人の熟練の技が頼り。ブレゲはそのサヴォアフェールを有する数少ないメーカーである。