現代的にアップデートされたジャガー・ルクルト 「ポラリス・クロノグラフ」の魅力

FEATUREWatchTime
2019.12.28

ムーブメント

 この時点で「では、リセットや巻き上げなしで、どれくらいこの時計は駆動するのか?」といった疑問が湧く。そこでムーブメントの話である。ジャガー・ルクルトの自社製自動巻きキャリバー751Hは、4か所をビス留めしたサファイアクリスタル製ケースバックから鑑賞できる。37石を含む262パーツで構成され、振動数は毎時2万8800振動、クロノグラフは垂直クラッチを採用したコラムホイール機構搭載である。JLロゴが型抜きされたローターは、双方向巻き上げにより65時間のパワーリザーブを実現する。これが先の質問の答えだ。また、このローターは魅力的なアンスラサイトカラーにコーティングされているのみならず、コート・ド・ジュネーブ仕上げが施されている。この仕上げはブリッジや地板にも施されているうえに、エッジはしっかりと面取りされ、クラシカルに青焼きされたネジが配されているのも分かる。

ポラリス・クロノグラフ

ジャガー・ルクルトの自社製キャリバー751Hは、ケースバックから鑑賞できる。

ポラリス・クロノグラフ

巻き上げローターは、アンスラサイトカラーにコーティング。

ポラリス・クロノグラフ

クロノグラフにはコラムホイール機構を搭載。

ストラップとスクラブ

「ジャガー・ルクルト ポラリス・クロノグラフ」はヴィンテージスポーツウォッチの進化系だが、スポーティなスタイルにも、程よい「経年変化」を楽しむうえでも最適なストラップが付属している。ダークブラウンのカーフレザーに同色のステッチが施されたストラップはパティーナ仕上げによって時の経過を感じさせる美しい光沢を放ち、しかも、しなやかですぐに腕に馴染むので心地よい装着感が得られる。安全性に配慮したダブルフォールディングのステンレススティール製スクラブは、優雅なサテンとポリッシュ仕上げの組み合わせにロゴがレリーフで配され、時計をしっかりと手首に収める。この他にもステンレススティール製ブレスレットがラインナップされており、こちらも魅力的ではあるのだが、どうにもヴィンテージ・テイストを上手く演出し切れていないように感じるのだ。

ポラリス・クロノグラフ

ブランカーフレザーのストラップにはパティーナ仕上げが施されている。

「ジャガー・ルクルト ポラリス・クロノグラフ」は、当時の雰囲気を取り入れたヴィンテージピースだと思わせようとしているだろうか? いや、そうではないだろう。では、このタイムピースはスポーティな要素を備えながらも、モダンでラグジュアリーなジャガー・ルクルトの時計だと直感的に分かるだろうか? おそらく、間違いないだろう。目を奪われるブルー文字盤と緻密な仕上げは、賞賛を得るだろうか? それは、確実だ。9500ドル(税別104万円)という価格は妥当であろうか? もちろん、その答えを導き出すには、さまざまな検証が必要だ。しかし、私はその価格が妥当であると確信している。