サクソニアのおすすめ
ランゲ1とともに人気が高い「サクソニア」。スタンダードモデルがシンプルな3針モデルであるために、複雑機構のイメージを持ちにくいかもしれない。
ここでは、ムーブメントにフォーカスした設計を特徴とするサクソニア・ファミリーから、4コレクションを紹介しよう。
サクソニア
「サクソニア」は、ランゲ1とともに1994年リリースのクラシックな名機であり、定番といえる人気を誇るモデルだ。
手巻き(Cal.L941.1)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約45時間。18Kピンクゴールド(直径35mm、厚さ7.3mm)。30m防水。アリゲーターベルト。174万円。
サクソニア(Saxonia)はザクセン州(Saxony)に由来するネーミングであり、ランゲ1が「ランゲの復活」を象徴するコレクションとすれば、サクソニアは「ザクセン高級腕時計」を象徴するコレクションだ。
時分針にバーインデックス、6時方向のスモールセコンドというシンプルなダイアルであり、文字盤装飾の洗練された造形美が際立つ。
ケースはコンパクトなサイズ感であり、女性の手首にもフィットするユニセックスなランゲウォッチとしての人気も高い。
サクソニア・アウトサイズデイト
「サクソニア・アウトサイズデイト」は、12時方向にアウトサイズデイトを配したサクソニアだ。カラーリングに合わせて、アウトサイズデイトの表示色は通常とは反転色となっている。
自動巻き(Cal.L086.8)。40石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。18Kホワイトゴールド(直径38.5mm、厚さ9.6mm)。30m防水。アリゲーターベルト。298万円。
搭載するCal.L086.8は自動巻き式であり、高効率なボールベアリング式センターローターを採用することで最大72時間のパワーリザーブを得る。
ダトグラフ・アップ/ダウン
「ダトグラフ」の初出は1999年であり、6時方向の「アップ/ダウン パワーリザーブ表示」を配したコレクションが「ダトグラフ・アップ/ダウン」だ。
手巻き(Cal.L951.6)。46石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約60時間。プラチナ(直径41mm、厚さ13.1mm)。30m防水。アリゲーターベルト。991万円。
フライバック・クロノグラフと、分積算計を瞬間的に1分送る「プレシジョン・ジャンピング・ミニッツカウンター」を搭載したコンプリケーションである。
Cal.L951.6は背面のプレートを極限までそぎ落としており、複雑かつ立体的な構造を一望できる。機能と性能はもちろん、審美性にも優れた傑作である。
ダブルスプリット
2004年が初出の「ダブルスプリット」は、2本のクロノグラフ針と2本のラトラパンテ針を搭載した、A.ランゲ&ゾーネだけが製造できる超複雑クロノグラフである。
手巻き(Cal.001.1)。40石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約36時間。18Kピンクゴールド(直径43.2mm、厚さ15.3mm)。30m防水。アリゲーターベルト。生産終了。
計時をスタートさせると、秒針と30分積算計のラトラパンテ針の下にクロノグラフ針が張り付いた状態で動き、最初のタイム測定ではラトラパンテ針だけが止まりクロノグラフ針は計時を続ける。
また、ラトラパンテ針を瞬時にクロノグラフ針に同期させることも可能だ。これらを組み合わせて、2者間のタイム比較や複数回のラップタイムを何度でも繰り返し計測でき、そのなかの最小値と最大値を求めることができる。
トリプルスプリット
2018年に発表された「トリプルスプリット」は 最長12時間まで、2つのイベントのタイムを比較して計測できる世界初の機械式スプリットセコンド・クロノグラフだ。
手巻き(Cal.L132.1)。46石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約55時間。18Kホワイトゴールド(直径43.2mm、厚さ15.6mm)。30m防水。アリゲーターベルト。1719万円。世界限定100本。
2004年に発表された「ダブルスプリット」は2本のクロノグラフ針と2本のラトラパンテ針を備え、2者間のタイム計測や複数回のラップ計測などができた。
「トリプルスプリット」では、さらにダイヤルの上部にラトラパント時積算計を配置することで最大12時間の計測比較を可能としている。
このために新開発された自社製キャリバー「Cal.L132.1」は部品点数を大幅に増やしながらも「ダブルスプリット」と同じサイズを実現。しかし、その機構の複雑さはシースルーバックから垣間見ることができます。
1815のおすすめ
「1815」は、A.ランゲ&ゾーネの創業者、アドルフ・ランゲ生誕の年である1815年からとったネーミングだ。
ランゲ一族が育て上げたA.ランゲ&ゾーネからの、創業者に向けたオマージュである。ここでは、1815ファミリーのコレクション4種を紹介する。
1815
ベーシックな「1815」は、ブルースティールの時分秒針、アラビアインデックス、レイルウェイ・ミニッツサークルといった、A.ランゲ&ゾーネ最初期のデザインを現代に蘇らせたコレクションだ。
手巻き(Cal.L051.1)。23石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約55時間。18Kピンクゴールド(直径38.5mm、厚さ8.8mm)。30m防水。アリゲーターベルト。254万円。
洋銀製の3/4プレートや、ブルースクリューによるビス留めゴールドシャトン、エングレービング装飾を施したテンプ受けなど、A.ランゲ&ゾーネの伝統たるムーブメントのデザインコードもエレガントに表現されている。
1815 トゥールビヨン “ハンドヴェルクスクンスト”
「1815 トゥールビヨン “ハンドヴェルクスクンスト“」は、60秒で1回転するトゥールビヨンに秒針を直結させている。
手巻き(Cal.L102.1)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。18Kピンクゴールド(直径39.5mm、厚さ11.1mm)。30m防水。アリゲーターベルト。生産終了。
これは単なる秒針ではなく、任意のタイミングで秒針をストップさせるストップセコンド機構と、リュウズを引くと秒針を瞬時にゼロ位置に戻す「ゼロリセット機構」を同時に実現したもの。
ケースだけでなくダイアルもピンクゴールド製である。ダイアルはブラックロジウム加工を施したうえで、トランブラージュ彫りにより懐中時計のような粒状感を持たせている。
1815 ラトラパント・パーペチュアルカレンダー
「1815 ラトラパント・パーペチュアルカレンダー」は、ダブルラトラパンテ機構とムーンフェイズ表示付き永久カレンダーを搭載したコンプリケーションだ。
手巻き(Cal.L101.1)。43石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。18Kピンクゴールド(直径41.9mm、厚さ14.7mm)。30m防水。アリゲーターベルト。2248万円。
複雑なムーブメントだが、受けは最小限であり、トランスパレントバックからは一種の建造物のような内部機構が一望できる。
ダイアルは4つのインダイアルを配置し、完全な対称性を持つ。数学的な美しさを持つ、A.ランゲ&ゾーネの真骨頂が堪能できる名作だ。
グランド・コンプリケーション
「グランド・コンプリケーション」は、A.ランゲ&ゾーネ史上最も複雑なコンプリケーションであり、また比肩するモデルが見当たらないほどに審美性を追求したムーブメントを持つ傑作である。
手巻き(Cal.L1902)。67石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約30時間。18Kピンクゴールド(直径50mm、厚さ20.3mm)。30m防水。アリゲーターベルト。生産終了。
「フドロワイヤント(1/8秒計)」付きダブルラトラパンテ・クロノグラフと、ムーンフェイズ表示付き永久カレンダーを搭載する。
さらに、グランドソヌリとプチソヌリで現在時刻を音声表示する「ミニッツリピーター」まで搭載した超複雑機構だ。
ここまで複雑であるにもかかわらず、視界をさえぎるプレートがあまりに少ない。あらゆる機構の駆動が一望でき、ゴングの振動すら堪能できる。
A.ランゲ&ゾーネの魅力を知ろう
A.ランゲ&ゾーネの腕時計は、どれほど複雑なムーブメントを搭載しても芸術的なまでにエレガントなのが特徴だ。
ザクセン高級腕時計の旗手は、伝統工芸に根差したマイスターの技術と、数学的な美しさの追求により、腕時計を芸術作品へと昇華させる。
腕時計を通してA.ランゲ&ゾーネの歴史と思想に触れることで、機械式時計の魅力をより深く体験できる。
Contact info: A.ランゲ&ゾーネ Tel.03-4461-8080