マリーンのおすすめ
1815年、アブラアン-ルイ・ブレゲはルイ18世よりフランス海軍のマリン・クロノメーター製作者に任命された。
これは当時の時計師にとって最高峰の栄誉のひとつであり、これに対して現代のブレゲがオマージュを捧げて製作したのが「マリーン」コレクションだ。
高い防水性能や特徴的なデザインを持つコレクションのなかから、複雑機構を搭載した3モデルを紹介しよう。
マリーン トゥールビオン エクアシオン マルシャント 5887
「トゥールビヨン」「永久カレンダー」、真太陽時を表示する「イクエーション・オブ・タイム」を搭載した、卓越したコンプリケーションである。
トゥールビヨンは60秒で1回転するため秒針としても機能。また、ダイアル8時位置にはパワーリザーブ・インジケーターも装備する。
日付は中央のレトログラード針で表示し、永久カレンダーや均時差の修正はひとつのリュウズと正面から見えない4つのプッシュボタンで操作する。
波紋様のギヨシェ文字盤やアンカー型針といったデザインも魅力だが、特筆すべきはムーブメント背面に彫られたフランス王国海軍戦艦ロワイヤル・ルイの艦影だ。
技術的に非常に高度なCal.581DPEを搭載しながらも、伝統的かつエレガントなデザインを採用する姿勢が実にブレゲらしい。
マリーン アラーム ミュージカル 5547
自動巻き(Cal.519F/1)。36石。2万8800振動/時。パワーリザーブ45時間。Ti(直径40mm)。50m。337万円(税別)。
アラームはワイヤー状のゴングを叩いて音を響かせる仕組みで、4時側のリュウズで任意の時刻に設定できる。
設定時刻は3時位置のインダイアルに表示され、8時側のプッシュボタンでオンにすると、12時位置の窓にアラームマークを表示するようになっている。
時刻表示とアラームのパワーリザーブは異なるゼンマイで管理され、アラームのパワーリザーブは9時〜12時位置のインジケーターで確認できる。
マリーン5857
自動巻き(Cal.517F)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ72時間。18KRG(42mm)。100m防水。388万円(税別)。
「マリーン アラーム ミュージカル 5547」は、機械式のアラームと、9時位置のサブダイアルで第2時間帯を表示するGMT機能を搭載したコンプリケーションだ。
「マリーン 5857」は、6時位置のインダイアルにより第2時間帯を表示するGMT機能を備えたモデル。カレンダー表示はローカルタイムに連動して切り替わるようになっている。
2時位置には24時間表示のデイアンドナイト・インジケーターを装備。インジケーターの上下半分でギヨシェを彫り分けることで昼夜を直感的に確認できるのも心憎い配慮だ。
ケースはローズゴールドとステンレススティールの2種類をラインナップし、どちらも気品漂うデザインだが、10気圧防水、最大72時間のパワーリザーブを実現するなど、実用性も高い。
ヘリテージのおすすめ
「ヘリテージ」は20世紀初頭に生まれた古典的な樽型のケースを採用したコレクション。
しかも、ヘリテージでは奥行き方向にも湾曲させることでケースが持ち上がったようなフォルムを描く「トノーカンブレ型」を採用。そんな、クラシカルで優美な佇まいが印象的なコレクションから3つのモデルを紹介する。
ヘリテージ 5410
「ヘリテージ 5410」は、シルバーカラーに仕上げた18Kゴールドのダイアルに4種類のギヨシェを施し、ブレゲの文字盤装飾技術が堪能できるモデル。
湾曲したダイアルとは対照的に6時位置のスモールセコンドは平面に仕上げたことで、絶妙な立体感を生み出している。
また、ダイアルの形状に合わせてインデックスには伸びやかな膨らみを持たせており、自然と中央に視線が向くデザインに。ケースはホワイトゴールドかローズゴールドの2色から選べる。
ヘリテージ 5497
手巻き(Cal.187H)。21石。1万8000振動/時。パワーリザーブ50時間。18KRG(縦42mm×横35mm)。30m防水。1385万円(税別)。
「ヘリテージ トゥールビヨン 5497」は現行のヘリテージの中で唯一のトゥールビヨン搭載モデル。ダイアル外周を彫り込むことでインデックスを浮き立たせ、さらにギヨシェ装飾を施すことで立体感を強めている。
トゥールビヨンは60秒で1回転し、ブルースティール秒針を組み合わせることでスモールセコンドとしても機能している。トゥールビヨンの周囲のみトランスパレントになっており、駆動する様子を両面から鑑賞可能だ。
ケースはプラチナとローズゴールドの2種類で、レザーストラップをラインナップしている
ヘリテージ5400
自動巻き(Cal.550/1)。47石。2万1600振動/時。パワーリザーブ52時間。18KRG(縦42mm×横35mm)。30m防水。466万円(税別)。
「ヘリテージ 5400」は、現行ヘリテージのなかで唯一のクロノグラフ搭載モデル。ダイアルは5410と5497を組み合わせたようなデザインで、5種類のギヨシェ装飾を施している。
3時方向には30分積算計、9時方向には12時間積算計を配置し、それぞれのギヨシェ装飾が連携しているかのような(?)細工も秀逸だ。
6時方向のスモールセコンドと中央のクロノグラフ針は、ブレゲ針を採用した時分針に合わせてオープンワークのモチーフを用い、デザインの統一性を図っている。ケースはローズゴールドとホワイトゴールドの2色を用意している。
タイプ XXのおすすめ
アブラアン-ルイ・ブレゲの5代目の孫ルイ-シャルル・ブレゲは、1911年に航空機メーカー「ブレゲ」を創業し、現在でもルイ-シャルルはフランス航空界のパイオニアとして歴史に名を刻む存在だ。
ルイ-シャルル・ブレゲの登場により、ここから時計メゾンとしてのブレゲは航空航法用クロノグラフの開発に着手。1950年代にフランス空軍の要請により誕生したのがパイロットウォッチ「タイプ XX」だ。
ここでは、XX(トゥエンティ)シリーズから代表的な3モデルを紹介する。
タイプ XXI 3817
自動巻き(Cal.584 Q/2)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ48時間。SS(直径42mm)。100m防水。150万円(税別)。
「タイプ XXI 3817」は、大ぶりなアラビア数字インデックスが目を引く、フライバック・クロノグラフ搭載モデルだ。
センター針による60分積算計とクロノグラフ秒針に加え、ダイアルの3時位置には24時間表示のデイアンドナイト・インジケーター、6時位置に12時間積算計、9時位置にスモールセコンドをそれぞれ配置した。
スポーティなデザインや視認性を重視した設計であり、10気圧防水を実現している点でも実用性が高いといえるだろう。
タイプ XXII 3880
自動巻き(Cal.589 F)。28石。7万2000振動/時。パワーリザーブ40時間。SS(直径44mm)。100m防水。218万円(税別)。
「タイプ XXII 3880」は、タイプ XXI以上に計器としての性能を高めたフライバック・クロノグラフ搭載モデルだ。
センターのクロノグラフ秒針は30秒で1回転するようになり、60分積算計の分針と同時作動。9時方向のスモールセコンドも30秒で1周し、時間計測の精度を一層高めた。これは、10Hz(7万2000振動/時)で作動する超高速脱進機の採用によるもの。
ケースはローズゴールドとステンレススティールの2種類で、それぞれカーフストラップとブレスレットを用意している。
タイプ XXII 3810
自動巻き(Cal.584Q/1)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ45時間。Ti(直径42mm)。100m防水。167万円(税別)。
「タイプ 3810」は、第1世代のタイプ XXのデザインを想起させるモデルだ。
機能面では同系のムーブメントを採用するタイプ XXI 3817と大きな違いはないが、クラシカルでエレガントな雰囲気が漂う。
ケースはステンレススティール、チタン、ローズゴールド(限定モデル。販売終了)の3種類で、ダイアルはブラック。均整のとれたフェイスであり、オンオフを問わず、幅広いシーンでの着用に向く。
https://www.webchronos.net/features/42163/
ブレゲで手元を魅せる
ブレゲの腕時計は、ダイアルの精緻なギヨシェ装飾やコインエッジといったディテールによって、洗練された造形美を持つ。
しかも、複雑機構搭載モデルであってもメカニカルになりすぎず、その佇まいは実にエレガントだ。
機械式時計の歴史における偉大な発明家であったアブラアン-ルイ・ブレゲのエッセンスを引き継ぐブレゲの時計を身につけ、ぜひオンリーワンの魅力を体感してほしい。
Contact info:ブレゲ ブティック銀座 Tel.03-6254-7211