ヴァシュロン・コンスタンタンが放つ歴史と風格。代表モデル7選紹介

主なコレクション

世界で一、二を争う歴史を有し、世界のエグゼクティブからも高い評価と厚い信頼を集めるヴァシュロン・コンスタンタンには、数種のコレクションが存在する。

独自のコンセプトと特徴を持った各コレクションについて、個別に解説していこう。

パトリモニー

ヴァシュロン・コンスタンタンが誇る極上のドレスウォッチ・コレクションに「パトリモニー」がある。多くの高級時計愛好家がパトリモニーを選ぶ理由はどこにあるのだろうか。

パトリモニーは250年を超える歴史を誇る同社の伝統を色濃く受け継いだ、正統派のコレクションだ。クラシカルなテイストの2針、3針のデザインであり、一切の無駄を排除した調和のとれたプロポーションが魅力だ。

シンプルさを追求したオーセンティックなデザインで、遠い過去から存在するコレクションであるかのようだ。しかし、初登場は2004年と新しく、伝統的なスタイルと最新技術が合わさったヴァシュロンらしいモデルといえる。

トラディショナル

手彫りのギヨシェ仕上げによる特別な意匠とスレートカラーの文字盤、そしてシークレットサインなどを盛り込んだコレクションが「トラディショナル」。

18世紀から脈々と受け継がれる、ジュネーブが誇る卓越した時計作りの伝統を、色鮮やかに体現する、まさにヴァシュロンが秘めた情熱を携えたコレクションである。

同コレクションに並ぶすべてのタイムピースに、時代を超越して継承されるクラフトマンシップが息づいている。

オーヴァーシーズ

高級時計製造の伝統を現代的なスタイルで表現する「オーヴァーシーズ」は、ヴァシュロン・コンスタンタンを代表するスポーツコレクション。シーンや服装を選ばない、カジュアルなスタイルにも着用できるデザインとなっている。

ブランドを象徴するマルタ十字の意匠を存分に取り込んだデザインも特徴的だ。ベゼルとブレスレットはマルタ十字をかたどったデザインとなっており、ブランドの精神性をしっかりと表現している。

一方で、スポーティーなデザインに見合うように、高い機能を備えていることも特筆だ。防水性や耐磁性に優れ、現代の時計を悩ませる磁気に対しても強い耐性を有している。

マルタ

近年、人気を高めているコレクションが、2000年に誕生した「マルタ」。その名が示すとおり、同社のトレードマークであるマルタ十字のイメージを最も強く反映したモデルといえるだろう。

同コレクションの最大の魅力は、コンテンポラリーなデザインとトラディショナルな技術が融合した点にある。トノー型の力強いケースフォルムが特徴で、流行にとらわれないエレガントなスタイルは、性別や年齢を問わず幅広い層からの支持を得ている。

ヒストリーク

ヴァシュロン・コンスタンタンは、多くの時計技師を集めて組織化したことで作業効率を高めることに成功した。これは、個人技師として営むことが常識だった当時としては画期的な生産システムだった。

ヴァシュロン・コンスタンタンの代表的なコレクションである「ヒストリーク」は、そうした大量生産を実現した時代の面影を感じさせる意味で、同社にとって需要な位置にある時計といえる。

往時の時計を彷彿とさせながらも、モダンにアレンジしたデザインを採用。現代の技術で製作することで、ヴァシュロン・コンスタンタンが辿ってきた歴史の重みを感じさせる時計に仕上がっている。

オーヴァーシーズのおすすめ

伝統に裏打ちされたデザインに、スポーティーで機能的、かつ現代的な雰囲気を融和させた「オーヴァーシーズ」は、ヴァシュロン・コンスタンタンの人気コレクションだ。

そのオーヴァーシーズの3モデルについて紹介していきたい。

オーヴァーシーズ・トゥールビヨン

「旅」と「世界に開かれた姿勢」、このふたつのテーマを大切にするヴァシュロン・コンスタンタンにおいて、初となる自動巻きモデルが登場した。

ステンレススティールケースと18Kピンクゴールドケースの2モデルがリリースされている「オーヴァーシーズ・トゥールビヨン」は、スタイリッシュなデザインでまとめられたスポーティーなルックスが魅力の一品だ。

インターチェンジャブル・ブレスレットとストラップによって変身できる点も特徴的で、オーヴァーシーズ・コレクションの最高峰に位置するモデルである。

オーヴァーシーズ・クロノグラフ

オーヴァーシーズ・コレクション初のモデルがデビューしたのは1996年のことだ。その3年後の1999年に「オーヴァーシーズ・クロノグラフ」が登場することとなる。

2016年にリニューアルした現行モデルは、新たにクロノグラフ・ムーブメントのCal.5200を搭載。コラムホイールと垂直カップリング・クラッチを採用することにより、実用性を格段に高めている。

一見するとハードエッジなデザインにも思えるが、緻密に計算され尽くしたフォルムにはエレガントさが漂い、シーンを選ばずに愛用できる逸品だ。

オーヴァーシーズ・デュアルタイム

「オーヴァーシーズ・デュアルタイム」は、高度な技術と実用性が一体となったモデルである。搭載される自社製ムーブメントは、同時に2カ所のタイムゾーンを読み取ることを可能にしている。

18Kピンクゴールドケースを採用したモデルは、ダークブラウンのミシシッピアリゲーターストラップと、同じくダークブラウンのラバーストラップを用意。インターチェンジャブル・システムによって簡単に付け替えられるため、着用するシーンや服装も広がる。

パトリモニーのおすすめ

パーフェクトなラウンドシェイプとムダを排した造形で、「パトリモニー」は限りなくシンプルで高貴な雰囲気を具現したコレクションだ。

長い歴史を有するヴァシュロン・コンスタンタンのコレクションの中でも、ひときわエレガントな空気をまとうパトリモニーのおすすめモデルを見ていこう。

パトリモニー・エクストラフラット・パーペチュアルカレンダー

パトリモニー・コレクションを代表するパーペチュアルカレンダーに、新たに加わったモデルが「パトリモニー・エクストラフラット・パーペチュアル・カレンダー」だ。

搭載されるのは、超薄型で知られる自動巻きの永久カレンダームーブメントCal.1120 QP。これによりケース厚はわずか8.96mmをマークし、優れた装着感が得られる。

シャンルヴェ・エナメルで装飾されたムーンフェイズディスクも、その魅力に華を添える。上品な輝きを放つブルーダイアルは夜空を想起させ、ムーンフェイズの意匠をより際立たせる。

パトリモニー・マニュアルワインディング

超薄型ケースは、ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史を今に伝えるスタイルだ。その伝統にさらに磨きをかけ、よりスリムなケースデザインとしたモデルが「パトリモニー・マニュアルワインディング」である。

手巻きの2針という極めてシンプルな時計でありながら、緻密に作り込まれたディテールによって、見事なまでの存在感を放っている。

ヒストリークのおすすめ

ヴァシュロン・コンスタンタンの創造性の原点を自ら見つめ直すことで誕生したコレクションが「ヒストリーク」である。

伝説的な時計作りをベースにしながらも、繊細な技術と大胆なデザインとの融合が実感できるヒストリーク・コレクションから、ふたつのモデルを紹介しよう。

ヒストリーク・トリプルカレンダー1942

ヒストリーク・コレクションに、コンプリートカレンダーを搭載したモデルが「ヒストリーク・トリプルカレンダー1942」である。

ヴィンテージの雰囲気が特徴的なこのモデルには、1940年代に生まれたアイコニックな時計が持つ、ミニマルで実用的なデザインが再現されている。

カレンダー機能に加え、クロウ型と呼ばれるラグやトリプル・ゴドロン装飾のラウンド型ケースなどの特徴を持つ。搭載される手巻きムーブメントCal.4400 QCはシースルーバックから眺められ、ヴァシュロン・コンスタンタンらしい繊細な仕上げが堪能できる。

ヒストリーク・アメリカン 1921

ダンディでシック、そして都会的なセンスを合わせ持つ時計が「ヒストリーク・アメリカン1921」。まさに、狂騒の20年代とエレガンスを象徴するアイコンだ。

同モデルには、ヴァシュロン・コンスタンタンの粋が凝縮されている。大胆なデザインと洗練された技術で一時代を築いた同ブランドらしさに満ちた時計だ。

クッション型のケースや斜めに配されたユニークな文字盤といった異形の個性は、1921年当時のアメリカの姿を現代に伝えてくれる。

ヴァシュロン・コンスタンタンの魅力を知る

伝統に裏打ちされた技術と性能、そして常に時代を塗り替える革新性を合わせ持った世界最高峰の時計ブランドがヴァシュロン・コンスタンタンである。

築き上げた地位に安住することなく、今もなお先鋭的であり続けるヴァシュロン・コンスタンタンは、現代にもその魅力を伝え続けている。