ジャガー・ルクルトの代表コレクションとは?
ジャガー・ルクルトのヴィンテージモデルおよび現行モデルには、メゾンの技術的な変遷を表現するアイコニックなモデルをベースにした「コレクタブルズ」「レベルソ」「ポラリス」「ランデヴー」「マスター・ウルトラスリム」「マスター・コントロール」「デュオメトル」「マスター・グランド・トラディション」「アトモス」「キャリバー101」「ハイブリス・メカニカ」という11のコレクションがある。そのうちひとつは、永久ムーブメントを搭載した置時計のアトモスだ。
ここでは、定番コレクションの中から7つを紹介しよう。
レベルソ
手巻き(Cal.822)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(縦45.6×横27.4mm、厚さ8.5mm)。3気圧防水。154万円(税込み)。
「レベルソ(Reverso)」はラテン語で「反転する」ことを意味する。ジャガー・ルクルトが開発した数あるメカニズムの中でも、反転ケースは特に印象的かつ実用的だ。
すべてのモデルに反転ケースを採用したレベルソ コレクションは、人気のコレクションでもあり、またブランドの看板コレクションでもある。
レクタンギュラーケースは上品だが、ベゼルを持たないことで風防が傷つきやすいのが難点だ。
レベルソでは時間確認が不必要な間はケースバックを表面とすることで、風防をダメージから守ったり、違った顔立ちを楽しんだりすることができる。
ポラリス
自動巻き(Cal.868)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KPGケース(直径42mm、厚さ11.97mm)。10気圧防水。765万6000円(税込み)。
1968年に発売された「メモボックス・ポラリス」は、ダイバーに音で浮上すべき時間を教えるアラーム機能「ボイス・オブ・メモリー」を備えたダイバーズモデルであった。
「ポラリス」は、この特徴的なタイムピースに着想を得たコレクションである。
本コレクションでは、ダイバーズウォッチらしく100m、200m、あるいは300mの防水機能を持ち、夜光塗料やドーム型の風防によって視認性が高い。
ポラリスにとってアイコンデザインである回転式インナーベゼルは、モデルによって異なる機能を持つことにも注目しよう。スポーツ性能の高いジャガー・ルクルトを求めるならおすすめのコレクションだ。
マスター・コントロール
自動巻き(Cal.899AC)。32石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径40mm、厚さ8.78mm)。5気圧防水。139万9200円(税込み)。
ミニマリズムを極めたラウンドケースの「マスター」シリーズには、「マスター・ウルトラスリム」「マスター・コントロール」「マスター・グランド・トラディション」の3つのコレクションがある。中でもマスター・コントロールは、1992年に1000時間コントロールを初めて採用したモデルを記念したコレクションだ。
3針モデルからトリプルカレンダーモデル、アラーム機能を備えた「メモボックス」やジャガー・ルクルトが“究極のトラベルウォッチ”と称する「ジオグラフィーク」など、同ブランドにとって主力コレクションのひとつであることから、多彩なバリエーションが展開されている。
掲載写真は、ベーシックな3針モデル。サンレイ仕上げが施されたシルバーグレーのダイアルはシンプルながらも洗練されており、ジャケットの袖口から、さりげなく存在感を放ってくれる。
マスター・ウルトラスリム
手巻き(Cal.896)。32石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約43時間。18KPGケース(直径39mm、厚さ8.1mm)。5気圧防水。301万4000円(税込み)。
「マスター・コントロール」の品質と当時のデザインコードを守りつつ、1907年に発表した世界最薄の懐中時計用ムーブメントの流れをくむのがマスター・ウルトラスリムである。現行ラインの最薄モデルは、ケース厚7.8mmという驚異的な薄さだ。
優美なラウンドケースにドーフィン針、細身のトライアングル型のインデックスなど、ドレッシーな意匠を備えており、オーセンティックなドレスウォッチのスタイルとなっている。
本コレクションにも、3針モデルやムーンフェイズ搭載モデル、パワーリザーブ表示とポインターデイトを備えたモデルなどがラインナップ。ダイアルカラーや素材もバリエーションを持つので、ぜひ自分に合った1本を見つけてほしい。
コレクタブルズ
「コレクタブルズ」は、ジャガー・ルクルトが「ジャガー・ルクルトの歴史を築いたモデルの中でも最も切望されているタイムピースを精選し」、時計蒐集家や愛好家に、それらのモデルを提供する機会を設けたプログラムだ。本プログラムの第1弾にはジャガー・ルクルトが製造してきた17本のモデルが選出されたが、このモデルの中に1958年に登場した「ジオフィジック」が含まれる。
自動巻き(Cal.478 BWS.br)。17石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径35mm)。
ジオフィジックはジャガー・ルクルト創業125周年を前にして、社内で記念時計のコレクションについて話し合われた際に提案されたモデルのひとつであり、“防水性、耐磁性を備え、あらゆる挑戦に耐える正確な時計”であった。まさにその時、1957年7月1日から58年12月31日までは「国際地球観測年」であり、67の国々の科学者たちがこのイベントに参加した。そんな彼らのための時計が58年に発表された「ジオフィジック・クロノメーター」なのである。
ムーブメントは、45年に発表されたCal.478にストップセコンド機能、巻き上げヒゲのヒゲゼンマイ、そして高い指示精度を有するスワンネック型の緩急針が与えられたCal.P478BWSbrを搭載。さらに600ガウスの耐磁性能を持つケースと見やすい白文字盤を持つこのアイコニックな時計は、これまでジャガー・ルクルトが発表してきた中でも、極めて重要なコレクションといえる。
なお、2015年に、このジオフィジックの名前を受け継ぐ「ジオフィジック トゥルー セコンド」が登場。計時の高精度を象徴するように、1秒ずつ秒針がジャンプする「トゥルーセコンド」を採用していおり、計測機器としてのニーズに応えようとした開発努力を感じさせる。同じく15年に登場した「ジオフィジック ユニバーサルタイム」では、リュウズひとつで容易に操作できるワールドタイムを搭載。過酷な条件にも耐えるモデルという、ジオフィジックの誕生当時のコンセプトを表現している。
デュオメトル
手巻き(Cal.388)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。18KPGケース(直径44mm、厚さ14.7mm)。3気圧防水。要価格問い合わせ。
「デュオメトル」コレクションのモデルはふたつの香箱と輪列を持ち、時刻表示の基本的な調整機能とその他の機能をそれぞれ独立して管理する。
写真の「デュオメトル・ヘリオトゥールビヨン・パーペチュアル」は、本コレクションに2024年に加わった最新作で、新たに開発されたCal.388を搭載。3つの軸上で回転するヘリオトゥールビヨンおよびパーペチュアルカレンダーを備えており、ダイアル9時位置からのぞくシリンダー形ヒゲゼンマイと3つのチタン製ケージは必見だ。また、このパーペチュアルカレンダーは時刻を戻す操作を行なっても、カレンダー機構に影響を与えない。さらに、安定した精度と約46時間のパワーリザーブを有している。
デュオメトルは、ジャガー・ルクルトの高度なウォッチメイキングのノウハウと革新性を感じられるコレクションといえる。
ハイブリス・メカニカ
手巻き(Cal.185)。97石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。18KWGケース(縦51.2×横31mm、厚さ15.15mm)。3気圧防水。世界限定10本。135万ユーロ。
「ハイブリス・メカニカ」は、ジャガー・ルクルトが培った技術の粋を結集して作られるグランド・コンプリケーションのみを取りそろえたコレクションである。
レベルソ、マスター、デュオメトルなどをベースとして設計しており、フライングトゥールビヨンやジャイロトゥールビヨン、あるいは地球の自転運動を模擬したスフェロトゥールビヨンの駆動が鑑賞可能だ。
ギヨシェ彫り、エングレービング、グラン・フー・エナメルなど装飾面でも卓越した技術を表現しており、そのモデルの多くは本数限定である。
「レベルソ」の主なモデル
ジャガー・ルクルトのコレクションの中で、特に装飾が控えめで着用シーンを選ばないのはレベルソとマスターだ。
レベルソのモデルのすべては反転式ケースを採用しており、ケースの上下には「ゴドロン装飾」を施すことで一見すると反転式とは気づかない。ここでは、機能的にシンプルなものから順に3モデルを紹介しよう。
レベルソ・クラシック・ミディアム・スモールセコンド
手巻き(Cal.822)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(縦42.9×横25.5mm、厚さ7.46mm)。3気圧防水。150万4800円(税込み)。
「レベルソ・クラシック・ミディアム・スモールセコンド」は、アールデコ様式の幾何学的なデザインやアラビアインデックスを採用した、1930年代風のクラシックなレベルソだ。
ギヨシェ彫りと垂直方向のブラッシュ仕上げ、精緻なエングレービングによるダイアルの縁取りなど、細部まで作り込まれた装飾が楽しめる。
反転させたケースバックには、ユーザーの好みのシークレットエングレービングを施すことも可能だ。
6時方向にはミディアムサイズのスモールセコンドを配し、ケースの横幅は25.5mmとサイズ感もミディアムである。
レベルソ・クラシック・ラージ・デュオ・スモールセコンド
手巻き(Cal.854A)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(縦47×横28.3mm、厚さ10.34mm)。3気圧防水。194万4800円(税込み)。
「レベルソ・クラシック・ラージ・デュオ・スモールセコンド」は、一見するとスモールセコンドとケースサイズを一回り大きくしたレベルソ・クラシック・ミディアム・スモールセコンドだ。
ケースを反転すると、24時間表示のもうひとつのダイアルが現れる。つまり両面ダイアルのレベルソであり、またGMTモデルでもあるのだ。
メカニカルな雰囲気を漂わせない上品なGMTモデルとして、これ以上ない選択といえるかもしれない。
ふたつのダイアルをひとつのムーブメントで駆動させるという、ジャガー・ルクルト独自の技術力の高さも楽しめるモデルだ。
レベルソ・トリビュート デュオ・カレンダー
手巻き(Cal.853)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。18KPGケース(縦49.4×横29.9mm、厚さ10.9mm)。3気圧防水。429万円(税込み)。
「レベルソ・トリビュート デュオ・カレンダー」は、ピンクゴールド製のハイエンドな両面ダイアル式レベルソである。上記の2モデルとは異なり現代的なデザインが特徴的で、高級機らしく機能的により複雑だ。
表面のダイアルには12時方向の曜日・月表示と6時位置の日付表示で囲われたムーンフェイズ、裏面のダイアルには第2時間表示とデイアンドナイト表示という、トラベルウォッチに必要な機能がそろっている。
小型のレクタンギュラーケースに豊富なトラベル機能を持たせ、かつ手元を上品に飾ることができる、ジャガー・ルクルトだからこそ実現可能な傑作といえるだろう。
「マスター」シリーズの主なモデル
ジャガー・ルクルトのコレクションの中で、レベルソは例外的にレクタンギュラーケースを採用しているが、その他はおおむねラウンドケースである。
マスターはオーソドックスなラウンドケースを採用しており、装飾的にも無駄がなく、日常的な着用を想定するなら使い勝手がよい。ここでは、1000時間コントロールをクリアしたマスターから3モデルを紹介しよう。
マスター・コントロール・カレンダー
自動巻き(Cal.866)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径40mm、厚さ10.95mm)。5気圧防水。212万800円(税込み)。
「マスター・コントロール・カレンダー」は、日付、月、曜日を表示させるトリプルカレンダー、ムーンフェイズを備えたモデルだ。
日付表示はセンターに設けられた針によって、ダイアル外周のスケールを指し示すポインターデイト式となっており、さらに、6時位置に差し掛かる15日から16日は間隔が置かれており、この部分をジャンプすることで、ポインターデイトがスモールセコンドおよびムーンフェイズ表示の邪魔をしない仕様となっている。
サンレイ仕上げのダイアルにはブルースティールの秒針や赤の差し色がよく映え、視認性も高い。ケース径は袖口や関節を邪魔しにくい40mmとなっており、ビジネスシーンでの心強い味方となるだろう。
マスター・ウルトラスリム・ムーン
自動巻き(Cal.925)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39mm、厚さ9.3mm)。5気圧防水。173万3600円(税込み)。
「マスター・ウルトラスリム・ムーン」は、「月」をコンセプトにした薄型モデルのマスターだ。6時位置のデイトサークルに囲まれたムーンフェイズは、ムーンカラーのダイアルとステンレススティール製のケースによく調和する。
ピンクゴールド製のケースも選択でき、こちらはムーンフェイズ内の月の色と時分針やインデックスと相まって、優美な印象を醸し出す。
いずれも非常に統一感のある無駄のないデザインであり、ミニマルかつエレガントである。主張を抑えた感性に訴えかけるビジネスウォッチ、あるいはドレスウォッチとしておすすめの1本だ。
ジャガー・ルクルトのサポート
ジャガー・ルクルトの腕時計は精度や耐久性の信頼性が高いとはいえ、定期的なケアやオーバーホールは必要である。
ここでは、ジャガー・ルクルトの特徴的な「国際保証」サービスと、オーナーになるなら定期的な依頼が不可欠な「コンプリートサービス」について紹介しよう。
ジャガー・ルクルト ケア プログラム
ジャガー・ルクルトの腕時計は「国際保証」に対応したモデルなら最長8年までの延長が可能だ。製造上の不具合であれば、どのような部品であっても無料での修理が受けられる。
保証期間の延長を受ける場合には、公式サイトの「ケアプログラム」から国際保証カードに記載されているシリアルナンバーを入力するかQRコードをスキャンしよう。
国際保証に登録すれば、店舗での機能性チェックが受けられ、オンラインで時計職人から特別な情報を得ることもできる。
2年保証のコンプリートサービス
ジャガー・ルクルトの「コンプリートサービス」では、腕時計の完全分解と洗浄、古い部品の交換や注油、組み立て後の品質チェックといった工程を踏む。この工程には4~6週間を要し、検査終了日から2年間の保証が受けられる。
コンプリートサービスを受けるには、ブティックか販売店、あるいは公式サイトに記載のフォームからメール、または電話で依頼しよう。
ジャガー・ルクルトで大人の手元に
ムーブメントの機能性や信頼性に裏打ちされたジャガー・ルクルトの上質なデザインは、豪華さやメカニズムを不必要に主張することなく、スマートかつ上品に手元を演出することが可能だ。
ビジネスシーンとの相性がよく、日常生活を彩るには最適な選択といえるだろう。ジャガー・ルクルトの腕時計で、できる大人の手元を演出してみてはいかがだろうか。
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