1975 Professional Diver’s
セイコーダイバーズウォッチの完成形にして、近代的なダイバーズウォッチに決定的な影響を与えたのが、1975年発表の通称「600mダイバー」であった。チタン製のワンピースケースに、セラミックス処理したチタン製の外胴の組み合わせは、プロユースに耐え得るだけの頑強さをもたらした。その復刻版にして、最新のスペックを備えたのが、2020年の「1000mダイバー」だ。
ハイスペックダイバーの復刻版。プロユースを前提に、質感の向上だけでなく、耐磁性能も大幅に改善された。自動巻き(Cal.8L35)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。エバーブリリアントスチール×Ti(プロテクター部はセラミックス)(直径52.4mm、厚さ17.2mm)。1000m飽和潜水用防水。世界限定1100本。セイコーウオッチサロン、セイコーグローバルブランドコアショップ限定モデル。45万円。8月8日発売予定。
今やセイコー製ダイバーズウォッチのアイコンとなった外胴。それを初めて採用したのが1975年の600mダイバーだった。以降、セイコーはこのモデルを進化させ続けたが今年、オリジナルの復刻版を追加した。それが「1975メカニカルダイバーズ復刻デザイン」モデルである。防水性能が1000mに向上したほか、4万A/mという高い耐磁性能を持つのが特徴だ。
200mダイバーおよび300mダイバーとは異なり、本作はベゼルにエバーブリリアントスチールを採用する。ケース素材は従来に同じチタン製。プロフェッショナル向けのツールとして作られた1000mダイバーは、何にもまして信頼性が重要だ。そのためセイコーは、あえて基本構成を変えなかったのである。
もっとも、ケースが軽いため、ムーブメントの外周には軟鉄製のインナーケースが加えられたほか、それ自体をラバーのOリングで支えて衝撃を吸収している。こういうプロ向けの配慮は、裏蓋の刻印にも見て取れる。200mダイバーはレーザー、300mダイバーと1000mダイバーはケースに負荷のかからないプレスで刻印が施されている。また、エバーブリリアントスチール製の回転ベゼルは、凝った一体成形だ。黒い部分は、切削した後IP処理を施し、印字を加工して抜いている。
他の復刻版と異なり、オリジナルの目指したハイスペックにさらに磨きをかけた1975メカニカルダイバーズ復刻デザインモデル。細部の作りは言うまでもなく高級時計のそれだ。しかし、スペックを一切妥協しないのもまた、セイコーダイバーズウォッチの伝統なのである。