カラトラバの選び方
「カラトラバ」には過去モデルの色違いまで含めれば膨大なバリエーションがある。しかし、ムーブメント、ラグ、ケース、ベゼルといった要素ごとに決まったパターンがあるため、見方を覚えればお気に入りの1本が見つけやすいはずだ。
ムーブメントの違いに着目
カラトラバは2針や3針、あるいは手巻きや自動巻きといった違いで、使用するムーブメントがパターン化されている。
たとえば手巻きの2針モデルならCal.215、手巻きの2針でスモールセコンド付きならCal.215 PSといった具合。自動巻きの3針モデルでデイト表示付きならCal.324 S Cを使用している。
また、レディスやダイアル装飾に注力したモデルなら、自動巻きかつ2針モデル用の超薄型ムーブメントCal.240を用いる。
ラグやケース素材を考える
カラトラバのラグの形状はおおむね3パターンに分類できる。Ref.96系統に見られるケース一体型、Ref.3919系統に見られる直線型、または曲面のケースバックから伸びるタイプだ。
オーソドックスなカラトラバを求めるならケース一体型、繊細なエレガンスを求めるなら直線型を選ぼう。
またケースの素材は、ホワイトゴールドやプラチナであればブラックやブルーのレザーストラップと相性が良い。
ローズゴールドやイエローゴールドはブラウンのレザーストラップと相性が良く、クラシックあるいはレトロな印象になる。
ベゼルのデザインもチェック
カラトラバをベゼルで見ればフラットかテーパード(傾斜付き)、またはラウンドタイプのモデルが多い。ストレートなベゼルは現代的でスタイリッシュな印象で、ラウンドベゼルはレトロで柔らかい印象だ。
装飾付きであれば、Ref.5119のようにステップドベゼルの下段がクル・ド・パリ装飾になったモデルや、ダイヤモンドをセッティングしたモデルもある。高級感という意味ではこちらに軍配が上がるだろう。
おすすめモデル
「カラトラバ」のモデル名(リファレンスナンバー)に含まれるローマ字は、ケースの素材を表している。Gはホワイトゴールド、Jはイエローゴールド、Pはプラチナ、Rはローズゴールドだ。
基本のホワイトゴールドモデルに絞ってカラトラバのおすすめ3モデルを紹介しよう。
5196G - カラトラバ 手巻
手巻き(Cal.215 PS)。18石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約44時間。18KWG(直径37mm)。3気圧防水。257万円(税別)。
Ref.3796の後継機にあたるRef.5196G-001はRef.96のデザインコードを踏襲しつつ、ケース直径を37mmに拡大したモデルだ。
Cal.215 PSを搭載した手巻きの3針モデルで、6時位置にはカラトラバ十字を思わせるスモールセコンドを配している。
ベゼル、ケースバックともにフラットで、ケース厚は7.68mmと非常に薄型だ。視認性も実用性も高く、Ref.96の正統進化形と言えるモデルである。
5227G - カラトラバ 自動巻
自動巻き(Cal.324 S C)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KWG(直径39mm)。3気圧防水。396万円(税別)。
Ref.5227G-010はホワイトゴールドケースにブラックラッカーダイアルが映える、デイト表示付きの自動巻き3針モデルだ。
ダイアルの仕上げも特徴のひとつだが、切削と磨きによる仕上げにも注目したい。ベゼルは外側ではなく内側に湾曲しており、ラグとケースの側面も同様。艶すら感じる滑らかな仕上がりは、すべて手作業によるものだ。
ケースバックは懐中時計のハンターケースを思わせる開閉式となっており、Cal.324 S Cが鑑賞できるようになっている。ケース径は39mm、ケース厚は9.24mmで、やや大ぶりなボディーは貫禄を漂わせる。
6006G - カラトラバ 自動巻
自動巻き(Cal.240 PS C)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ最大48時間。18KWG(直径39mm)。3気圧防水。生産終了。
2017年が初出のRef.6006G-001は、1991年発表のRef.5000、2005年発表のRef.6000を経て生まれたユニークなモデルだ。
Cal.240 PS Cを搭載し、4〜5時位置にスモールセコンド、センターに日付表示針があるという異例のメカニズムを備える。
Ref.6000からの大きな変更点は、時分針が中空のバトン型針、日付表示針の先端が三日月型からアロー型になったことだ。
さらにケースの直径は2mm大きい39mmとなり、視認性だけでなく存在感も高めた。また、ケース厚も8.86mmと十分に薄い、個性的なドレスウォッチである。
カラトラバの魅力に触れよう
「カラトラバ」は、ドレスウォッチだけでなくラウンド型腕時計すべての模範となるデザインを備えている。インデックスと針、ケースとラグという基本的構造の完成形を表現する傑作だ。
パテック フィリップの腕時計は発売年にかかわらず修理が可能であり、資産価値で見ても一級品である。カラトラバを基準とする視点を持つことで、腕時計のデザインや設計思想の本質に近付くだろう。
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