歴史遺産を革新するマリーン
数ある高級時計のメゾンの中でも、高度なメカニズムから凝ったデザインに至るまで、すべてがストーリー性に富み、含蓄豊かなのがブレゲである。かつてのブレゲと海洋との歴史的な関係をストーリーの軸にして1990年に誕生したコレクションの「マリーン」もそのひとつ。2004年にはスポーティールックが際立つ第2世代へと生まれ変わり、さらに2018年にはそのフルモデルチェンジを敢行した。絶えず「マリーン」を次なる航海へと導くのは、歴史遺産を生かしながらも、革新に挑み続けるブレゲの探求心に他ならない。
2020年は、トゥールビヨンを筆頭に、永久カレンダーと連動して常時均時差を表示するランニング・イクエーションなどの複雑機構を搭載して2017年に発表された「5887」(左ページ)にスレートグレーダイアルの新モデルを追加。ブリッジに彫金を施し、フランス海軍の旗艦「ロワイヤル・ルイ」を描く。ペリフェラルローターによる超薄型自動巻き(Cal.581DPE)搭載。57石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。18KRG(直径43.9mm、厚さ11.75mm)。10気圧防水。2328万円。
Marine Tourbillon Équation Marchante 5887
創業者アブラアン-ルイ・ブレゲの発明によるトゥールビヨンをはじめ、フランス海軍時計師に任命された歴史背景をからめながらメゾンの遺産を未来へと永続させるべく開発された超大作が、2017年発表の「マリーン トゥールビヨン エクアシオン マルシャント 5887」である。第3世代となる「マリーン」コレクションはここから始まる。
現在手に入る複雑時計の中でブレゲの神髄を最も堪能できるモデルといえば、2017年に初めて発表された「マリーン トゥールビヨン エクアシオンマルシャント 5887」に違いない。あらゆる要素がアブラアン-ルイ・ブレゲに由来する真正ブレゲであるのと同時に、すべてにブレゲの最先端が見て取れるからだ。まずアブラアン-ルイ・ブレゲが発明したトゥールビヨン機構は、キャリッジの駆動方法を改良してムーブメントの薄型化に貢献し、トゥールビヨンに重ねて視覚化された均時差表示を司るカムは、歴史的な超複雑時計「マリー・アントワネット」に組み込まれた機構に通じる。この均時差表示を永久カレンダーと連動させ、年間を通じて正確な均時差を追求したのもアブラアン-ルイ・ブレゲだ。そして、このモデルの均時差表示には常時動き続ける専用の分針を設けて真太陽時が瞬時に読み取れる革新的なランニング・イクエーションも取り入れられた。
時計を駆動するキャリバー581DPEは、ペリフェラルローターを採用する超薄型自動巻きで、トゥールビヨンでは比較的珍しい毎時2万8800振動のハイビートで時を刻み、約80時間というロングパワーリザーブを実現。また、シリコン素材を用いた脱進機やヒゲゼンマイなど、ブレゲの先端技術が惜しみなく投入され、機械式でハイテクを極める傑出したムーブメントである。
伝統の革新は外装にも発揮され、ダイアルを彩る波をイメージした新しいパターンのギヨシェ彫りや、力強いセンターラグとケースバンドの太いフルート装飾などは新世代「マリーン」のデザイン・コードになった。外観が進化しても一貫してブレゲ・スタイルを保つのは絶妙だ。
Contact info: ブレゲ ブティック銀座 ☎03-6254-7211
https://www.webchronos.net/features/50632/
https://www.webchronos.net/features/40274/
https://www.webchronos.net/features/37041/