ワンオーナーの244TI.Iを購入しオーバーホール
コロナ禍で待つこと数カ月、ようやくオーストリアから244TIが届いた。価格が安かったからか、コンディションはまずまず。ねじ込み式のリュウズはバカになっていたし、チタン製の外装も傷んでいる。そしてトリチウムを塗布した針とインデックスも、経年変化でかなり劣化している。
このまま使っても面白そうだが、タフに使ってこそ244TI。完全に修復すると決めた。日本の代理店であるホッタに持ち込んだところ、もちろん修理は可能とのこと。リュウズのチューブは言うまでもなく、針や文字盤も新品があるという。
預けること1カ月、完全に復活した244TIは、かつて筆者が雑誌で見た、244TIそのものの姿を取り戻した。嬉しいのはチタンケースとブレスレットを再仕上げしてくれること(ケース5000円、ブレスレット5000円の仕上げ料はかかる)。244TIの採用する通称グレード2チタンは、理論上、再仕上げが難しいとされている。
しかし、ホッタはオリジナル同様のブラスト仕上げで、ケースを仕上げ直してくれるのである。針と文字盤、そして夜光塗料を施したインナーベゼルが新しくなったこともあり、気分は新品である。オーバーホールによって夜光はトリチウムからルミノバに置き換わったが、244TIは、枯れゆく味を楽しむ時計ではなく、使ってなんぼの実用機だ。むしろルミノバのほうがありがたい。
実用時計に求められる条件を余すことなく盛り込んだ244TIは、今なおジンの最高傑作だと思っている。しかしながら、あまりに玄人向けだったのか、日本以外ではあまり売れなかったようだ。ローター・シュミット曰く「94年から2006年にかけての生産数は1200本」。この素晴らしいコンセプトはそのままに、244TIの後継機をリリースしてほしいと思うのは、筆者だけだろうか?
244TIバイヤーズガイド
1994年から2006年まで製造された244TIに、大きな仕様違いはない
唯一の変更点がバックル。前期型は短く、後期型は長い。
244TIにはC.O.S.C.のクロノメーター証明書が付いている
もっとも、証明書付きで残っている個体は少ない。
244TIの純正ムーブメントには、リファレンス番号と製造番号が「244****」が刻まれている
完全なオリジナルを探している人は(仮にそういう人がいるならば、だが)、ムーブメントの刻印をチェックすること。
244TIの夜光塗料は、2001年にトリチウムからルミノバに変更されている
なお、現在ジンが提供している交換部品は、すべてルミノバが塗布されたものである。
Contact info: ホッタ Tel.03-6226-4715
https://www.webchronos.net/news/57134/
https://www.webchronos.net/iconic/49018/
https://www.webchronos.net/comic/39547/