2014年10月に庵野秀明が着用していたトキマの腕時計
次の写真は、1枚目から約2か月後の10月30日に撮られたものだ。東京国際映画祭の特別上映「庵野秀明の世界」が行われた際のものである。10月23日から8日間にわたる開催期間中、庵野秀明自身も頻繁に会場へ登場し、国内外の取材に応じた。ある日の東京国際映画祭の公式レポートにはこんな記録があった。“海外記者も注目したのが庵野さんの左腕で存在感を放っていた黒いゴツめのカッコいい腕時計。なんと、実はロボットが内蔵されていました!”。そこには得意げに腕時計をカメラへ向ける庵野の姿があった。
その腕時計とは、今や知る人ぞ知る「トキマ」の腕時計であった。
ロボット型クロックを内蔵した「トキマ」の腕時計
「トキマ」とは、1983年にポピー(現バンダイ)から発売された腕時計である。ネーミングの由来は「時間」の訓読みだ。腕時計の仕様は内部にロボットの手足や頭部を収納したものであり、これを取り外してトランスフォームさせるとロボット型クロックが現れるというものである。誕生当時は正式名称を「デジロボ トキマ」としており、赤、白、黄、黒や、メタリックな金銀などのカラーを揃えるプラスチック製のモデルを展開した。
時を経て、「トキマを合金製でよみがえらせよう!」と復刻プロジェクトを立ち上げたのが、元バンダイの専務である村上克司だ。村上は「超合金マジンガーZ」の発案者として「超合金の生みの親」「ロボット玩具デザインの第一人者」と呼ばれる人物である。その村上の思いを実現させたのが、当時村上の部下であり、後に東京でスカイ・ジェイというキャラクターグッズ制作会社を立ち上げた東聡氏だ。東氏は、スワロフスキーの瞳と、月日や時分秒のデジタル表示を腹部に備えるステンレススィール製のロボットを完成させ、新しい「トキマ」として31年ぶりに世へ送り出した。この復活で感慨に耽った村上克司ファン、そしてトキマファンも多かったはずだ。
トキマに関する貴重な情報は、東氏ご本人よりお聞きすることができました。東氏へこの場をお借りしてお礼を申し上げます。
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