オリスが10年間で送り出した環境保護活動支援モデルを一挙紹介

2017年：シュモクザメの個体数激減に警鐘を鳴らす「ハンマーヘッド リミテッド エディション」

「グレートバリアリーフ リミテッドエディションⅡ」の発表から約2年後、絶滅の危機に瀕する海洋生物を救うミッションを掲げるオリスは、新たなモデルを発表した。

　自然保護の国際組合によれば、多くのサメが40年以内に絶滅する可能性を有していると言われており、特にシュモクザメは過去30年で個体数が約90%も激減しているという。非営利団体である「Pelagios Kakunja」と、オリスのアンバサダーでプロフェッショナルダイバーのジェローム・デラフォス氏はこの問題に警鐘を鳴らしてきた。

　オリスはシュモクザメ（ハンマーヘッドシャーク）を保護するための活動資金を募るため、「ハンマーヘッド リミテッドエディション」を2000本発売。この売り上げの一部が、サメを追跡する発信機をハンマーヘッドシャークの体に装着するための資金に充てられる。これにより、絶滅保護につながる新たなデータを得ることができるだろう。

　本作はアクイスの第2世代モデルをベースとし、サメをイメージさせるグレーのダイアルに青い秒針が際立つカラーリングになっている。ケースバックには立体的なハンマーヘッドシャークを描いたエンボス加工が施され、限定2000本の証しであるシリアルナンバーが刻まれている。

　2017年にもオリスは、フロリダを本拠地とする非営利団体「スタグホーン レストレーション ファンデーション」とのパートナーシップを結んだ。この団体は世界規模でサンゴ礁の保護を行っており、15年には2万株を超えるサンゴを植えるなどの環境再生に努めたり、環境保護について学ぶダイビングプログラムを開催したりする。それらは全てボランティアの手によって行われているのだ。

　オリスはサンゴ礁の保護を支援するために「スタグホーン レストレーション リミテッドエディション」を2000本発売し、売上金の一部を寄付した。アクイスをベースにした本作は、海底を想起させる深いブルーのダイアルに、鮮やかなオレンジカラーの秒針や曜日表示、回転ベゼルのスケールが目を引く独自のカラーリングだ。

　また、このモデルが入れられるボックスの素材には、再生可能な藻類が使用されている。できる限り今ある資源を無駄にせず、地球環境を第一に考えたオリスだからこその配慮である。

2018年：環境配慮への変革を訴える「ソース オブ ライフ リミテッドエディション」

　2018年には3本の環境保護モデルを発表したが、はじめに登場したのが「ソース オブ ライフ リミテッドエディション」だ。これは人類を潤し、繁栄させ、生命をつないでいく上で欠かせない存在である「水」にフォーカスした1本で、世界中で起こっている水質汚染に対するメッセージが込められている。

　人間の環境への配慮不足や廃棄物に対する怠慢などに対し、何らかの変革を訴える本作。オリスの拠点であるスイス・ヘルシュタインの近郊を流れる「ライン川」の水をイメージした、明るいライトブルーのダイアルが特徴で、レギュラーモデルのアクイスデイトとは少し異なる雰囲気を放つ。また、ケースバックにはライン川の広域マップとシリアルナンバーが刻印され、特別感も十分に味わえる。

限定本数の2343という数字は、ライン川の源流であるトマセ湖の標高にちなんだものだ。

　続いて2本目は、ヴィンテージなデザインが特徴のダイバーズウォッチ「ダイバーズ65」に、画期的なストラップが付けられたモデルが発表された。

　このストラップは100%リサイクルされた再生ポリマーで作られており、海上や海岸に無数に存在するペットボトルやビニール袋などの海洋ゴミが姿を変えたものだ。r-Radyarn®︎と名付けられた素材は、新たに天然の資源を加工する必要がないため、二酸化炭素の排出を大幅に低減するメリットがあるのだ。

　そして3本目は、メキシコ沖に浮かぶ絶海の孤島「クリッパートン島」とその周囲の海を守るためのプログラムを支援する「クリッパートン リミテッドエディション」。島周辺の海域に生息するサンゴの復元や、絶滅の危機にある生物の保護を支援するこの限定モデルの一番の特徴はダイアルだろう。中心から外側にかけてグラデーションを効かせたライトブルーは、まるでクリッパートン島を取り囲む海のようだ。