2階:よりラグジュアリーな空間で堪能する高級時計の世界
1階がショーケースに並べられた各コレクションを見て、時計選びを楽しむ空間とするならば、2階はより腰を据えてヴァシュロン・コンスタンタンの世界観を堪能する、ラウンジのような役割だ。ソファーやカウンターテーブルの席に腰をかけ、談笑しながらゆっくりと時計を見る。そんな2階には時計の展示こそ少ないが、顧客を飽きさせないための工夫が随所に見られる。
まずは時計師が常駐するウォッチメイキングベンチ。こちらではポリッシュ等大掛かりな機材が必要な作業を除くほぼすべてのオーバーホール作業や修理に対応できるという。時計の調子が悪い場合、同店に持ち込んで症状をブティックスタッフに伝えれば、その場で時計師が確認、また実際に作業を請け負う時計師の言葉をスタッフ経由で聞くことができ、よりスムーズに修理を進めることができるという。
また、簡易の防水チェックや磁気帯びチェックといったクイックサービスも行う。これら作業の様子は、時計師が使用する電子顕微鏡に内蔵されたカメラによって作業台のタブレット端末もしくはカウンターテーブル前のモニターに映し出されるため、この映像目的でブティックに来店したいと思う顧客も決して少なくないだろう。
そして、2階でも独自のアプローチで時計が展示される。デットリンディスプレイを導入していることもそのひとつだ。これはディスプレイに時計をセットすると、埋め込まれた複数のミラーによって、ムーブメントも同時に見せるというものだ。都度ショーケースから出してもらわなくてもムーブメントを堪能できるこの方式は、同店に限らず今後、高級時計店で増えていくかもしれない。
なお、展示・販売される時計は現行品だけではない。2階ではヴァシュロン・コンスタンタンのヘリテージ部門によって厳選、修復されたタイムピースを取り扱う「レ・コレクショナー」が日本の店舗として初めて常設されたのだ。これまで企画展的に、1年間で1~2回のみ来日していたレ・コレクショナーだが、今後は常に8本の時計がここに置かれる。ただし、レ・コレクショナーはもちろん一点物のため、売れ行き次第では、8本すべてが販売中の商品とはならない可能性が高いとのこと。
ちなみに同店で購入できるのは時計だけではない。ストラップのオーダーが可能なのだ。オーダーに際しては革の種類と糸の色、そして縫い方を指定することができる。その選択肢は多様で、例えば糸は写真のように31のバリエーションが用意される。このストラップオーダーサービスだが、現在対応しているのは世界中でも同店とニューヨークのブティックの2店舗のみだ。
旗艦店としての在り方
このように豊富な在庫はもちろん、これまでの店舗では導入してこなかったような新しい試みを積極的に取り組む姿は、まさに旗艦店と呼ぶにふさわしい。そして、同店が旗艦店として、本店でしか味わえないヴァシュロン・コンスタンタンの世界を広く顧客に提供できる場となれば、その他のブティック、専門店はより独自の視点でブランドの世界観を伝える売り場作りが可能となる。
ヴァシュロン・コンスタンタン 銀座本店のオープンは、ひとつの時計店としての充実度もさることながら、銀座エリアのヴァシュロン・コンスタンタン取り扱い店全てを活性化させるきっかけとなるはずだ。
Contact info: ヴァシュロン・コンスタンタン Tel.0120-63-1755