高級時計を毎日着用したい人にグランドセイコーがオススメな理由。「ヘリテージコレクション SBGH273」

2022.04.30

進化を続けながらも実用時計としてのツボは押さえている

 次は外装を見てみよう。素材はステンレススティール。ケースの基本スタイルは、たしかに1967年に発売されたグランドセイコー初の機械式自動巻きモデル「62GS」がベースだと分かるが、原型では自動巻きであることをアピールするため4時位置に移動されたリュウズが、このモデルではノーマルな3時位置に戻されている。そしてケース径が拡大され(36.3mmから40.0mm)、ラグの形状もより逞しいフォルムへとモディファイすることで、現代の時計シーンに見合ったものへ進化している。また、面の仕上げもヘアラインとポリッシュを巧みに使い分け、旧モデルと比べ、立体感が格段にアップしている。

 ここで実用時計として重要なポイントがある。それがラグの両側にあけられたバネ棒のピンを押すための「穴」だ。

ヘリテージコレクション SBGH273

SBGH273のダイアルデザインは二十四節気のひとつ、秋分をテーマにしたものだ。この時期の澄んだ夜空の色を連想させる深い藍色の文字盤に、秋分の満月のような金色のGSロゴと秒針を組み合わせる。

 昔も今も、この穴をエレガントではないとして、廃止するメーカーが少なくないが、ストラップを気軽に交換して楽しむには、特殊なストラップ交換システムを搭載していない限り、私としてはなくして欲しくない「穴」なのである。それがこのGSではしっかりと残されているのは単純にうれしい。

 ブレスレットはケースと同じくサテンとポリッシュを使い分けたステンレススティール製。バックルは両ボタンでロックを解除する片開き式だから、簡単操作で確実に装着できる。ただ、昔のブレスレットと違って無垢のSS材を削り出しているので時計全体が思った以上に重く感じる。私の手首に合わせてコマ調整をした状態で実測148g。夏場は汗をかくのでブレスレットで使いたいが、それ以外の季節はレザーストラップに換装して軽快に着用したいところだ。

 さらに欲を言えばブレスレットのデザインがやや単調。あまり奇をてらっても困るが、GSならではの個性を感じさせる独自のデザインが欲しいように思う。

ヘリテージコレクション SBGH273

グランドセイコー「ヘリテージコレクション SBGH273」
自動巻き(Cal.9S85)。37石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約55時間。SS(直径40mm、厚さ12.9mm)。10気圧防水。70万4000円(税込み)。

 そして最後になったが、このモデルの最大の特徴は、二十四節気の「秋分」のころに見られる、澄んだ夜空をイメージした深いブルーの文字盤である。この文字盤には実に微妙な模様が付けられているが、これは秋の夜空に浮かぶ雲を表現したものだという。

 実は私の誕生日は9月の秋分の日。そんなわけで、この美しいダークブルーの文字盤を持つSBGH273には特別なシンパシーを感じるのである。

Contact info: グランドセイコー専用ダイヤル Tel.0120-302-617


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