時計として、実際のところ。
さて執筆者の個人的なスペックだが、56歳、女性。手首は約15.5㎝と男性よりも太いくらいか。しかし男性のように楕円な形状ではなく、まん丸である。
視認性は見やすいの一言。老眼でもハッキリ、くっきり、実にありがたい。大きめのローマ数字やブルースティールと白のコントラストというド定番の実力を思い知らされた。視認性の高さは内面無反射コーティングのおかげもあるだろう。針はすべてブルーで統一されているが、パワーリザーブインジケーター針、カレンダー針の上に時針や分針が乗っていてもしっかり読み取ることができる。老眼ともなると、インダイアルの数字が見えず、時計の機能を使い切れないということもあるのだが、こちらは文句なし、である。
ムーブメントはCal.6R27を搭載。手巻き付きの自動巻きで、センターセコンド、ハック機構が付く。振動数は2万8800振動/時(8振動)。パワーリザーブは約45時間である。なめらかさはダイアルのみならず、秒針の動きでも体感できる。その運針を見ていると「精度が高い」と感じさせる動きをしている。だが、個人的にはクロノグラフを長く愛用していたため、目の端で秒針が動いていることを捉えると、毎度「あ、クロノグラフ針が動いてる!」とビクついた。
リュウズ操作は軽すぎず、重すぎず、ちょうどいい塩梅。手巻き時の巻き上げ効率もよく、あっという間に45時間分が巻き上がってしまうので、もう少し遊んでいたいところだ。日付表示の送りはスピーディで、またリュウズはねじ込み式ではないため、すぐに合わせられるのは利点だろう。しかも10気圧防水(日常生活用強化防水)を確保しているのがありがたい。コロナ禍で手洗いやアルコール消毒の回数が増えたが、水を出したとき、アルコールを手のひらにシュッとした際に、「あ~ッ時計してた!」と焦ることになったが、そのたびに「大丈夫、10気圧」と安心することになったからだ。
リモートワークも増えるなか、毎日時計を着けないことも多くなった。そんなときねじ込み式リュウズだと合わせるのが億劫になることも起こりうる。今後、防水性能とリュウズの操作性は時計選びのポイントになるのではないかと考えた次第だ。
手で持った際の印象は「ちょっと重いか」である。リリースによればレザーストラップとバックル込みで102gとある。ちなみに牛乳石鹸はひとつ100g。とはいえ、装着すればその重さも気にならなくなる。持ったときの重さと装着したときの重さは比例しない。これは“時計あるある”だ。
ケース径40.6mmは数値よりもコンパクトな印象を受けたし、装着感もいいのだが、ケース厚14.1mmは男性でもボリュームがあるように思う。時計にとって1mmのサイズダウンですら大変なことは重々承知のうえで、できれば12mmくらいに収められればYシャツにも干渉しないのではないかと思うところだし、パートナーとのシェアウオッチになると期待できると感じた。
着けていると時計に目ざとい友人たちは「ダイアルの光り方が“なんか”違う」と口をそろえた。そう、有田焼だからと説明すると、「なるほど~」。焼き物特有の輝きはどこにあっても普通の時計とは違うのだろう。ほかに「いい時計感がある」というコメントもあり、セイコーの間違いない時計作りを表していると感じた。
この時計が届いてから20度を超える日が増えた。何度か「レザーよりSSブレスレットがいいなぁ」と感じた日もあった。また時計のサイズ感としても半袖の方が使いやすいとなれば「潜在的なブレスレット需要はある」と思っていたところ、今年1月にブレスレット仕様の限定モデルが登場(世界限定2000本/日本市場400本)していたことを遅ればせながら気付いた次第。じゃあ組み合わせればいいのでは? 定番モデルでブレスレット展開があれば(もちろんブレスレットのみを購入すればよいのだろうけれど)、雰囲気もスポーティになり、装着感も変わり、新たな魅力の創出ができる……と考えたところで、今回のインプレッションは終了。
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