ブライトリングのDNAを現代的に再構築した万能モデル、「スーパーオーシャン オートマチック 42」をレビュー

2023.10.29

ノンストレスな着用感が魅力の優等生

 それでは実際に着用してみよう。結論からすれば、本作は非常に軽快な装用感を持ったモデルであった。そう感じさせたのは、主に3つの点が優れているからだ。まずは、ラグを切り詰めたコンパクトなケース、次に可動域が大きく程よい硬さのラバーストラップ、そして、腕周りぴったりに合わせられるクラスプの微調整機構である。

ブライトリング ケース ラグ

ラグのエッジに施されたポリッシュが、ケースに立体感を与えている。大きなリュウズは操作性に優れるだけではなく、リューズガード下部が裏蓋に向かって傾斜をかけられているため、引き出しやすい。

 これらについては、先述した内容と重複するため、ひとつひとつに詳しく触れることは割愛するが、大事なのはケースからストラップまでが、楕円形の手首に見事に沿うようになっているということだ。ラグを切り詰めることによって、ケースは腕上にきちんと収まる。ストラップの付け根の可動域が大きければ、ケースが少し動いても、それに合わせてストラップも動き、ケースと腕が極端に離れてしまうことはない。

 思い立ったらすぐに腕周りの長さを調整できるため、いつでも最適なサイズで着用することができる。がっしりとしたクラスプと硬さのあるストラップは、ケースを支えたり重量バランスを保ったりすることにも役立っている。更に付け加えるとすれば、肌に直接当たる裏蓋がサテン仕上げとなっていることも、優れた着け心地に寄与しているだろう。

微調整機能 ブライトリング

クラスプには、最大15mmまでの微調整機構が備わっている。季節や体調、体形の変化に合わせて簡単に調整できる。クラスプの加工精度も高く、ガタつきや不意に微調整機構が作動してしまうようなことはなかった。

 使用してみて想像以上に好感を持ったのは、特徴的な分針である。大きなポインターの付いた針を持つ時計は、そう珍しくはない。一例として、チューダーのスノーフレイク針があるが、それらの多くはポインターが時針に付いている。従って、本作を着用するまでは、“大きなポインターが付いている針=時針”という先入観を拭いきれないのではないかと懸念していた。ところが、実際には時針と分針を見間違えるようなことはなかったばかりか、瞬時に時刻を読み取ることができた。これは、時針と分針の長さに明確な差があり、分針がきっちりとミニッツマーカーまで届いているためだろう。

 ねじ込み式リュウズの操作性にも触れておきたい。ほとんどのダイバーズウォッチがそうであるように、本作のリュウズは大径で非常に掴みやすい。これはケースにねじ込む際にも、時刻調整をする際にも、高い操作性をもたらしてくれる。一方で、厚みに関しては比較的薄く作られており、手首を曲げた際に手の甲を痛めるようなことはなかった。加えて、リュウズガードが裏蓋に向かって斜めにえぐれた形状となっているため、リュウズを引き出す際に、爪を引っかけやすくなっている。リュウズのポジションは、ねじ込んだ状態を除けば、ねじ込みを解除した巻上げ用と、そこから一段引き出した時刻調整用のふたつ。ノンデイト仕様のため、日付調整用のポジションはオミットされている。


新時代のブライトリングを感じさせる、洗練されたスポーツウォッチ

 総評として、本作は幅広いシーンで使いやすいスポーツウォッチであると感じた。完全なるツールウォッチとして仕立てるのであれば、ダイアルは艶消しにすべきだろうし、ケースはサテン仕上げに統一してしまえばいい。クラスプは二重ロック式にして、逆回転防止ベゼルのクリックをもっと硬くした方が、万が一の誤作動も少ないだろう。しかし本作がそのような仕様を与えられていないのは、「スーパーオーシャン」の他モデルにその役を任せているからではないだろうか。従来型の「スーパーオーシャン オートマチック 42」は500m防水を誇り、本作の46mmモデルでは、独自のロック機構を備えた両方向回転ベゼルを搭載している。

ケースバック スーパーオーシャン オートマチック 42

裏蓋はソリッドバック仕様。肌に直接触れる部分にはサテン仕上げが施されており、さらりとした着用感をもたらしている。裏蓋自体が薄く作られているため、時計の重心が低く、着用時の安定感も高い。

 装着感と高級時計らしい審美性を追及した結果、本作はレジャーシーンだけではなく、スーツ着用時でも違和感なく合わせられるモデルに仕上がった。むせ返るような男くささが特徴であり魅力でもあった、従来のブライトリングと比較して中庸的になったと捉えることもできるだろう。しかし、そこにはヘリテージピースから受け継がれてきた由緒正しきデザインと、“プロフェッショナル向けの計器”を作り続けてきたブランドとしての信頼性が、確かに息づいている。

Contact info:ブライトリング・ジャパン Tel.0120-105-707


【2022年 新作】1960年代の名作を現代的に昇華した、ブライトリング「スーパーオーシャン」の新コレクションが登場

https://www.webchronos.net/news/82098/
着用テストで分かった、ブライトリング「クロノマット B01 42」が日常使いに向く3つの理由

https://www.webchronos.net/features/80016/
新型「ナビタイマー」をタッチ&フィール。全く別物になったブライトリングのアイコン

https://www.webchronos.net/features/77723/