グランドセイコーが2022年に発表した限定モデル14本をまとめて紹介

銀座をテーマとした銀座限定モデル「SBGH297」

「メカニカルハイビート36000 銀座限定2022モデル SBGH297」は銀座をテーマとしたモデルだ。銀座は、各国の有名ブランド日本旗艦店が立ち並ぶ世界有数のショッピングスポットである。また、セイコー創業の地であり、現在も「グランドセイコーブティックフラッグシップ和光」やセイコーウォッチ本社を構えるなど、セイコーにとってゆかりの深い街である。

　銀座名物のひとつが、週末の正午から夕方にかけて開催される歩行者天国での賑わいだ。本作は、そんな昼さがりの銀座の高揚感を想起させる開放的なスカイブルーをダイアルに採用している。また、テクスチャーとして個性的な通りが交錯する銀座の街を模した「銀座グリッドパターン」を採用した。

　ムーブメントは「グランドセイコースタジオ 雫石」で組み上げられた10振動のメカニカルキャリバー9S85を搭載する。伝統を守りながら進化を続ける銀座の在り様と、セイコーの技術の熟成と革新の歴史を象徴する3万6000振動のハイビートムーブメントに、共通点が感じられる組み合わせだ。

　SBGH297は銀座の5店舗でのみ販売され、限定数は260本だったが、すでに完売している。

グランドセイコーのスポーツモデルにラインナップされた限定品

　2022年は、グランドセイコーのクロノグラフモデル登場15周年であり、GMTモデル登場20周年でもある。これを記念したモデルもラインナップされた。

特別調整制度キャリバー9R96を搭載したクロノグラフの限定モデル「SBGC249」

「エボリューション 9 コレクション スプリングドライブ クロノグラフ GMT グランドセイコークロノグラフ 15周年記念限定モデル SBGC249」は、グランドセイコーのクロノグラフ登場15周年を祝う記念モデルだ。このモデルのための特別なダイアル及びベゼルカラーは、時を司る“宇宙の輝き”を表現した深みのあるブルーとなる。

　搭載されるキャリバー9R96は、キャリバー9R86をベースに平均月差±10秒まで調整された特別精度品である。SBGC249のGMT針はゴールドカラーに彩られ、華やかさがプラスされている。本作は世界限定700本である。

雪面の幻想的な模様を表現した「SBGC247」と「SBGE275」

　グランドセイコーのブランドフィロソフィーである「THE NATURE OF TIME」をテーマとして、風によって雪面に生み出される「シュカブラ」（雪紋とも呼ばれる）をダイアル上に表現した限定モデルも発表された。

　シュカブラは「信州 時の匠工房」にほど近い北アルプスで見られる自然現象で、雪面が風によって削り取られて生まれるものであるが、風向きや強さによって削られ方が変わるため多彩な表情が表れることが特徴である。

　グランドセイコーで雪を取り上げたデザインといえば「雪白」が有名であるが、この2モデルのダイアルには荒々しい風の跡をかたどった異なる表現が用いられた。

「スポーツコレクション グランドセイコー クロノグラフ 15周年記念限定モデルSBGC247」はシュカブラを表現した、グランドセイコーのクロノグラフ登場15周年を記念するモデルで、自動巻きスプリングドライブクロノグラフムーブメントの特別調整精度品であるキャリバー9R96を搭載する。本作は世界限定700本である。

　グランドセイコー「スポーツコレクション グランドセイコー GMT 20周年記念限定モデル SBGE275」は、シュカブラを表現した、グランドセイコーのGMTモデル登場20周年を記念するモデルで、自動巻きスプリングドライブムーブメントの特別調整精度品であるキャリバー9R16を搭載する。

　ベースはキャリバー9R66であり、キャリバー9R16は平均月差±10秒にまで調整されている。また、この特別なムーブメントのために、自動巻きローターには18Kイエローゴールド製メダリオンがあしらわれている。本作は世界限定1500本（うち国内500本）である。

ホワイトライオンをモチーフとしたメンズジュエリーウォッチ「SBGD209」

「スプリングドライブ 8デイズ ジュエリーウォッチ SBGD209」は、近年のグランドセイコーが注力するメンズ向けジュエリーウォッチである。そのモチーフは、1960年の初代グランドセイコーの誕生以来、ブランドのシンボルとしてきた「獅子」の中でも、圧倒的な存在感を放つ「ホワイトライオン」だ。

　プラチナ製ケースは、ホワイトライオンの神々しく威厳のある白い毛並を想起させるキャンバスとなっており、ダイアルにはダイヤモンドとブラックスピネルを配置して分目盛りとしている。現在のセイコースタイルを確立した44GSを思わせるケースシェイプのSBGD209は、ケースのかん足にもダイヤモンドをセットし、獅子の研ぎ澄まされた爪の美しい輝きを表現している。

　ムーブメントは、マイクロアーティスト工房が手掛けるキャリバー9R01で、その仕上がりはすでに高い評価を得ている。ケースバックから覗くムーブメントデザインも独自性があり、スプリングドライブ誕生の地から霊峰富士山を望む情景が描かれている。本作は世界限定5本（うち国内3本）である。

さまざまなアニバーサリーを祝った2022年の限定モデルたち

　2022年はグランドセイコーや、セイコーと関わりの深い和光などの多くのアニバーサリーが重なった1年であった。それを記念した限定モデルが種々ラインナップされたことで、店頭を賑わせた充実した年だったと言えるだろう。

　そして、2022年は、KodoがGPHG2022にてクロノメトリー賞を受賞した年としてグランドセイコーの歴史に刻まれることだろう。この受賞は、セイコーが時計の機構学に関する深い知見を備え、その知見を具体化する技術を持ち、優れた仕上げを施して完成品としてまとめあげる技能を有していることが世界的に認められたと言える。末筆ながら栄誉ある賞の受賞に祝意を表し、2023年の更なる躍進に期待することにしよう。