クロノス日本版の編集部員が本当に好きで着用している時計を紹介。時計専門誌『Watch Global』で編集長を務める傍ら、フリーランスのライターとして『GQ』や『LEON』等で執筆もするクロノス日本版コントリビューティングエディターの鈴木裕之は、モリッツ・グロスマンとラルフ ローレンの2本を挙げた。
Text by Hiroyuki Suzuki
2022年12月29日公開記事
今でこそ『クロノス日本版』などという時計専門誌で時計ライターの真似事をさせていただいているが、筆者が出版業界に足を踏み入れたきっかけはバイク雑誌からであり、こちらの趣味だけは16歳から途切れることなく続いている。
筆者はなぜか旧車が好きで、往年のレーシングパーツを探し出してはレストアし、時には切った貼ったを繰り返して、それでも気に入らなければバラしてゼロからやり直す。だから1台が気に入ったカタチに仕上がるまでにとんでもない時間がかかる。
人生五十年などと言うが、ついにその大台を迎えてしまった今年(2022年)、バイク趣味のほうはいよいよ終活を始めることにした。と言っても所有車を処分するという話ではなく、人生の最後に乗るバイクを決めたということだ。
その車輌は自分の生まれ年と同じ年式だから、現状まともに走るかも分からず、気に入った仕上がりになるまでに、また15年とかかかってしまったら、もう跨がっていられるかも怪しい。いったい何が言いたいのか? 今年はそんなバイクをお迎えしてしまったから、新しい時計を買っていないのだよ。さて困った(笑)
筆者が普段使いにしている時計は、モリッツ・グロスマンの「ベヌー・ジャパンリミテッド」と、ラルフ ローレンの「RL オートモーティブ・クロノメーター 39MM」だ。特に大規模展示会などが少なかったここ数年は、ほとんどこの2本以外の時計を着用していない。
この2本は微妙にサイズ感も似ている(42mmと39mm)のだが、ストラップサイズはどちらも共通の20/18mmだ。ここからが小さなこだわりなのだが、筆者はこの2本にIWC「ポルトギーゼ」用のクロコダイルストラップを装着している。サントーニの質感も好きだが、それ以上にサイズ感がちょうど良いのだ。
なぜかこのストラップ、尾錠側がやけに短く、その分だけ剣先側が長い。すると腕に巻いた時に、尾錠がうまい具合に手首の外側にズレてくれる。これがデスクワークをする際にちょうど良いのだ。
あれ? そう言えばこの2本、いつ買ったんだっけ?? そろそろこいつらもオーバーホールしなきゃならんな……。
時計趣味の方々と話をすると「上がりの時計」というキラーワードがよく出てくるが、これを意訳すれば「これを買ったらその趣味を終わりにする」という自分(やご家族?)への言い訳、または決意表明なのだろう。
だけど筆者の思う「上がりの時計」とは、「最後の最後までワードローブに残っているであろう時計」であって、そうした意味ではこの2本のどちらかが有力株なんだろうな。だからまだまだ時計も買うし、バイクも買うよ! たぶん……。
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