モリッツ・グロスマンが、ドイツの現代画家マックス・フリントロップとのコラボレーションにより、全世界でわずか16本の限定モデルを発表した。アトリエの床に幾重にも積み重ねられた絵の具の層から取り出されたインクの膜を文字盤として用いた、アートと時計製造の融合を体現するタイムピースである。
マックス・フリントロップとの共演により、モリッツ・グロスマンが芸術性の極みに挑む

2025年4月、モリッツ・グロスマンは現代アーティスト、マックス・フリントロップと協業し、特別なアートピースを発表した。滴り落ちた絵の具の層をそのまま文字盤に転写した唯一無二のコレクション「アートエディション マックス・フリントロップ」は、18Kローズゴールドおよびステンレススティールのケースを用いた、世界限定16本の希少なリミテッドモデルである。
一瞬を封じ込めた芸術作品を、機械式時計の文字盤に
ドイツ・デュッセルドルフを拠点とするマックス・フリントロップは、1982年オーバーハウゼン生まれ。デュッセルドルフ芸術アカデミーにてアルベルト・ウールンに師事し、抽象表現主義の系譜に連なる作品を数多く手掛けてきた。彼が探求するのは、混沌の中に宿る秩序、そして光と時間の可視化である。
彼のアトリエの床に幾重にも積み重ねられた絵の具の層。それは、キャンバスから滴り落ちた色彩の堆積であり、創作行為の痕跡そのもの。今回のコレクションでは、その最上層の薄膜を丁寧に剥がし、時計の文字盤として再構築している。一枚一枚が異なる表情をもつ文字盤は、フリントロップ自身の手によって仕上げられたアート作品である。
この極めて繊細な作業には、インク層を割らず、かつ表面を傷つけることなく平滑に整え、精密な接着を行う必要があった。完成した16枚の文字盤はいずれも唯一無二の存在であり、アートとしての純度と、時計としての完成度を両立している。
フリントロップは本作について「床の塊から切り離されたインクの層は非常に薄く、文字盤に貼られることで月面のような質感をもたらす。そこにはアートが追求してきた形而上学的な問いが宿っている」と語っている。
時間を刻む芸術品としての機械式時計
フリントロップが絵画に託した時間の概念は、モリッツ・グロスマンが機械式時計によって探求してきたテーマでもある。CEOであるクリスティーネ・フッターは、テンプの律動を「時間という抽象概念を物理的に可視化する装置」と捉え、芸術と精密工学の接点としてこのプロジェクトを実現させた。

搭載されるのは、自社製Cal.100.1。2/3プレート構造を採用し、幅広のリブ模様、グロスマン製テンプ、ストップセコンド機能などを備える本機は、クラフツマンシップの粋を尽くしたムーブメントである。裏蓋には「Unique Piece」の刻印が施され、各モデルが唯一無二の存在であることを示している。

すべてユニークピースのため、文字盤の柄はそれぞれの腕時計ごとにことなる。手巻き(Cal.100.1)。20石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約42時間。ステンレススティールケース(直径41.0mm、厚さ11.35mm)。世界限定8本。803万円(税込み)。
ケース素材は18Kローズゴールドとステンレススティールの2種。それぞれ8本ずつ、計16本が限定製作される。各文字盤の個性に最もふさわしいカラーのクーズーストラップがあつらえられており、完成度の高い1本に仕上がっている。

すべてユニークピースのため、文字盤の柄はそれぞれの腕時計ごとにことなる。手巻き(Cal.100.1)。20石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約42時間。18Kローズゴールドケース(直径41.0mm、厚さ11.35mm)。世界限定8本。1100万円(税込み)。