PIAGET ALTIPLANO 38mm 900P
ワールドレコードを更新した〝最新の薄型〟
「ピアジェ アルティプラノ」38mm 900P
ケース厚わずか3.65mmの手巻き時計。輪列をオフセットさせて文字盤と同じ階層に置き、加えてケースバックを地板に見立てることでこの薄さを実現した。手巻き(Cal.900P)。20石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KWG(直径38mm)。2気圧防水。355万円。
ケース厚わずか3.65mmの手巻き時計。輪列をオフセットさせて文字盤と同じ階層に置き、加えてケースバックを地板に見立てることでこの薄さを実現した。手巻き(Cal.900P)。20石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KWG(直径38mm)。2気圧防水。355万円。
2014年に創業140周年を迎えたピアジェ。それを記念すべく発表されたのが、厚さわずか3.65ミリの「ピアジェ アルティプラノ」38㎜ 900Pである。最大の特徴は、薄型化のためムーブメントとケースバックを一体化させたこと。とはいえ、輪列を直接ケースバックに据え付けるのではなく、ムーブメントを3つのモジュールに分けて組み立て、それをケースに立て付けている。また文字盤を取り巻くように輪列をずらすことで、文字盤と輪列を同じレイヤーに置くことにも成功した。その結果、ムーブメントはいっそう薄くなった。輪列のオフセットはピアジェのいわばお家芸だが、ここまで徹底した例はない。
地板を兼ねるケースバックの厚みは、最大でも0.3㎜。剛性は期待できないが、ピアジェ曰く、裏側にリブ(枠)を設けケース全体で剛性を出すようにした、とのこと。また風防と針が接触しないよう、モジュールに分けられたムーブメントの縁が風防に当たる設計となっている。そのため風防が変形するような強い力がかかっても、針と風防は決して接触しない。こういった配慮により、設計者のヴァスコ・ベロー曰く「(第三者機関のテストである)クロノフィアブルをパスした」とのこと。つまり通常の時計と同じぐらいは頑強である、と考えていいだろう。
斬新な設計を持つアルティプラノ 38㎜ 900P。しかし筆者としては、その薄さ以上に、薄さと堅牢さを両立させた点を評価したい。ひょっとしたら、他社はこれよりもっと薄い時計を作れるかもしれない。しかしこれほど多様な要素を、高次元で実現した薄型時計は、他に存在しないだろう。ピアジェの力量を感じさせるアルティプラノ 38㎜ 900P。これは紛れもなく、21世紀を代表する傑作機になるだろう。
(左上)ベゼル部分。既存のアルティプラノに同じく、側面で上下に分かれる2ピースケースを持つ。近年のピアジェが2ピースケースを好む理由は、剛性を出しやすく、また防水性を確保しやすいためだろう。ラグの立ち上がりをさらに抑えたのは、薄さを強調するためか。ピアジェというメーカーは、デザイン面でも薄く見せるノウハウを備えていることが分かる。(右上)サテン仕上げの文字盤は、それ自体が日の裏輪列のモジュール押さえとなっている。ちなみに風防と針のクリアランスは、わずか0.19mm。外圧で風防が変形しても針に当たらないよう、文字盤の外側にリブ(枠)を設けて、風防と接触しやすくしている。つまり、針の前にリブに当たるため、風防と針が接触することはない。(中)ケース側面。基本的な形は既存のアルティプラノにまったく同じである。ケース厚はわずか3.65mm。現時点では最も薄い時計である。(左下)Cal.900Pの“モジュール構造”が分かる写真。巻き上げ部分から香箱、輪列までひとつの受けで覆われているように見えるが、右手の香箱部分のモジュールと、左手の輪列部分のモジュールは分割されている。それぞれのモジュールをプレアッセンブリーすることで、この薄型時計は、最終組み立て時にアガキ調整などをする必要がない。(右下)モジュールを据え付ける地板を兼ねるケースバック。極めて薄いが、幾重にもリブを張り巡らせることで、通常の時計と同等の耐衝撃性を得ている。
ピアジェ「アルティプラノ アルティメートコンセプト」厚さ2ミリへの挑戦、ついに市販化へ
https://www.webchronos.net/features/43504/
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2020年 ピアジェの新作時計
https://www.webchronos.net/2020-new-watches/45300/
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