カリテ フルリエ認定を取得したクロノメーター
L.U.C Qualité Fleurier

L.U.C カリテ フルリエ
カリテ フルリエの第4作目。1950年代のショパールに範を取ったケースに、極めて携帯精度の高いCal.96.09-Lを搭載する。自動巻き。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。18KRG(直径39mm、厚さ8.92 mm)。30m防水。世界限定300本。200万円。

 ショパール、ボヴェ、そしてパルミジャーニ・フルリエの3社が共同で設立した公式規格が「カリテ フルリエ」である。2001年6月5日に制定されたこの規格は、精度基準のC.O.S.C.を補う意味合いを持つ。そのため内容の多くは、日常生活にフォーカスしている。例えば、一日の動態精度を0から+5秒以内に収めるというもの。しかもテストにはゴルフのスイングや拍手などのシミュレーションも含まれるので、機械式時計には極めて過酷だ。取得を目指したメーカーは少なくないが、3社以外の時計は今のところ存在しない。カール-フレドリッヒ・ショイフレ氏が「これは極端に高いハードル」と漏らしたのも納得である。

 この規格に沿って製作されたモデルが本作である。2004年の初作との違いは、ケース素材と文字盤の色のみ。とはいえ、時計としての完成度は、1996年のLUC第一作に比べて大きく高まっている。

 その一例がケースである。先述のように、かつてLUCは、80年代風にケースサイドを太らせていた。対してこちらはサイドが薄い、現代風になっている。また自社で製造するケースの磨きも改善され、いっそう面が整った。

 搭載するムーブメントは、1.96の緩急針をトリオビスに改めた9.96(現96・09-L)。巻き上げヒゲでない点だけは惜しいが、それに併せて耐震装置の保持方法も変わった。カリテ フルリエを取得していることを考えれば、耐衝撃性と携帯精度は間違いなく良い。

 超高級機に比肩することを狙った96系のマイクロローター。この薄くて繊細なムーブメントがカリテ フルリエをパスすること自体信じられないが、しかしこれは事実なのである。現在、さまざまなメーカーが超高級機に実用性を持たせようと試みている。しかしこの時計ほど、エクストリームな環境に耐えられる超高級機は希である。

(左上)サイドの膨らみを抑えたケース。ケースの鍛造を得手とする、ショパールならではの造形だ。(右上)「カリテ フルリエ クロノメーター」と記された文字盤。ロゴが“Chopard”から、“L.U. CHOPARD”に変わった点は気になるが、相変わらず質は良い。敢えてダイヤカットで仕上げられたインデックスや針も、歪みのない面を見ればその良質さは分かるだろう。またロゴを中心に広がる放射模様も、かなり製造が難しいものだ。(中)ケース側面。16/1860/2に比べると若干厚いが、ケース厚は8.92mmに留まった。ケースサイドを下げ、一方でベゼルを高く盛り上げるという手法はやはり現代風である。(左下)搭載するムーブメントは、1.96を改良した96.09-L。基本設計と仕上げはほぼ同じだが、耐衝撃性の高いトリオビスレギュレーターを持つ。(右下)筋目仕上げの均一さに注目。さまざまな文字盤仕上げに取り組んできたショパールだが、近年は筋目仕上げと、鏡面を研ぎ上げたラッカー文字盤を採用するようになった。なお製造は、多くの超一流メーカーに文字盤を供給するサプライヤーによるもの。