Royal Oak OFFSHORE
DIVER [42MM]
回転インナーベゼルを加えた高圧防水機
Ref.15710ST。2010年発表のRef.15703をシースルーバックに改めたダイバーズウォッチである。ISOに準拠したプロフェッショナル向けの時計だ。2014年初出。自動巻き(Cal.3120)。40石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS(直径42mm)。300m防水。190万円。
オーデマ ピゲというブランドは、まずは限定版で市場の反応と製品の完成度を確認し、その後にモデルを定番化する、というプロセスを好んできた。同社の定番モデルが、良好なセールスと高い信頼性を誇ってきた理由だ。オフショアも例外ではなく、実のところ、多くのレギュラーモデルは、限定版の発展型として生まれたものだった。好例がクロノグラフの44㎜モデルであり、2014年の「ロイヤル オーク オフショア・ダイバー」(Ref.15710)だろう。
多くの人はこれを純然たる新作と考えているが、原型は06年の「オフショア・スクーバ」(Ref.15701)にまでさかのぼる。これはブティックのみに少数製造された限定版だったが、回転インナーベゼルを加えたケースは純然たる新造品であり、インデックスとベゼルに採用されたオレンジ、青、そして赤という色味も新しい試みだった。搭載ムーブメントは、ジャガー・ルクルトの889をベースにした高精度なキャリバー2325。しかしスクーバという名称が示す通り、この野心的な限定モデルは、ISOに準拠したダイバーズウォッチではなかった。もっともオーデマ ピゲの慎重な姿勢を考えると、彼らはあえて第1作をスクーバに留めたと解釈すべきだろう。事実、同社はスクーバをベースとした本格的なダイバーズウォッチの「オフショア・ダイバー」を、その4年後に追加したのである。耐磁ケースを持つ点は従来に同じだが、自社製ムーブメントが採用され、ISOに準拠したダイバーズウォッチに進化した点が異なる。その後継機にあたるのが、14年のRef.15710である。見た目はほぼ同じだが、耐磁ケースを省くことで時計は軽くなり、装着感はいっそう向上した。
長い時間をかけてレギュラーモデルを作り込んでいくオーデマ ピゲ。本作の優れたまとまりもむべなるかな、だ。