Royal Oak OFFSHORE
DIVER CHRONOGRAPH [42MM]
オリジナルレイアウトに回帰した最新鋭
Ref.26703ST。2016年初出。オフショア ダイバーと同構造のケースに、クロノグラフを搭載したモデル。ブティック限定モデル。自動巻き(Cal.3124/3841)。59石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SS(直径42mm)。300m防水。280万円。
2010年にリリースされ、14年モデルで完成を見たオフショア ダイバー。慎重なオーデマ ピゲは、さらに2年かけて「オフショア・ダイバー クロノグラフ」を準備した。26703という〝若い〟リファレンスから推測するに、オーデマ ピゲは3針モデルと同時期にクロノグラフの商品化を考えていたのだろう。しかし同社は時間をかけてプロダクトを練り上げ、果たせるかな、非凡な完成度を与えることに成功した。
それを示すのが文字盤である。オーデマ ピゲはオフショアの文字盤で、さまざまな取り組みを行ってきた。オフショアの代名詞であるメガ・タペストリー模様は、2000年前後から使われるようになったものだ。しかし当初はエッジのゆるいものであり、表面に施された厚いラッカー仕上げが、その印象をいっそう強調した。しかしオーデマ ピゲは同じエンボス仕上げながらも、後にメガ・タペストリーの仕上げを刷新。加えて、可能な限り薄いメッキ(または薄い塗装)を施すようになった。現在のオフショアが、文字盤の繊細な下地を誇るようになった理由だ。
立体感と下地を改善できたら、次の課題は発色の改善だ。そこでオーデマ ピゲは、この新しいダイバー クロノに、定番のネイビーに加えて、オレンジ、グリーン、そしてイエローという難しい色味を与えてみせた。発色を改善するため、青以外の文字盤は色の出しやすいラッカー仕上げ。しかし下地の処理を殺しきらない塗膜の厚みは、オーデマ ピゲが文字盤にも熟達したという証しである。
個人的な好みを言うと、最も好ましい意匠と仕上げを持つオフショア ダイバー クロノ。確かに、普通のダイバーズクロノとしては極めて高価だし、モジュールクロノであることを考えればなおさらだ。しかし、この時計のパッケージングとディテールには、手に取るだけの説得力が十二分にある。