ジャケ・ドローが、9つの異なる動きで竜を表現したユニークピース「インペリアル・ドラゴン・オートマトン レッドゴールド-キュプライト」を発売する。「ロード・オブ・ザ・リング」三部作のイラストレーター兼コンセプチュアル・アーティスト、ジョン・ハウ氏が協力した本作は、オートマトンウォッチを得意とするジャケ・ドローの熟練した技術を融合させ、ジャケ・ドローの歴史に敬意を表したクリエイティブな1本となっている。
自動巻き(Cal. Jaquet Droz 6150)。オートマタムーブメント78石。時分表示ムーブメント29石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約38時間。18Kレッドゴールドケース(直径43mm、厚さ16.96mm)。3気圧防水。要価格問い合わせ。
吉兆の象徴として崇められる聖なる生物へのオマージュ
ジャケ・ドローの歴史を辿ると、中国宮廷文化との関係が深いことがわかる。今からおよそ250年前にピエール-ジャケ・ドローは商工業の中心都市だったロンドンにふたつ目の工房を開設し、息子であるアンリ・ルイに経営を託していた。アンリ・ルイが担っていた責務の一部をジャン-フレデリック・レショーに託し、レショーはJames Cox London社との提携を進め、広東に同社の代理店があったことにより、ジャケ・ドローは極東市場への進出を可能にし、中国、インド、日本で数年間にわたり事業を展開してきた。
特に中国には10年間で600以上の作品を輸出し、置時計、嗅ぎタバコ入れ、懐中時計、オートマタといった作品で皇帝の乾隆帝や高級官吏を魅了していった。現在でも故宮博物館(紫禁城)には数多くのジャケ・ドローのオートマタや懐中時計が所蔵されている。当時から龍はジャケ・ドローが追及し続けてきたモチーフであるが、本作においては「ロード・オブ・ザ・リング」三部作のイラストレーター兼コンセプチュアル・アーティストであり、自身もジャケ・ドローの愛好家として知られるジョン・ハウ氏が協力している。
ジョン・ハウ氏はカナダ生まれでスイス在住である。30年以上前からヌーシャテルで暮らしている。ジャケ・ドローとのコラボレーションを行うメゾンからの呼びかけに即座に応じたというジョン・ハウ氏は初めて高級時計のメゾンからアプローチを受けたことに驚きながらも職人やアーティストたちと協力して作業を行っているそうだ。
本作「インペリアル・ドラゴン・オートマトン レッドゴールド-キュプライト」には新たな革新的なアプローチも加えられている。力強く、ユニークであり、モダンでもある時計として、ジャケ・ドローの歴史に敬意を表したクリエイティブな1本となっている。
生命力を象徴するキュプライト製文字盤
ダイアルはキュプライト製で鮮やかな赤色とレッドゴールド製のケースが力強さを感じさせる。背面に描かれるのは雨雲である。前を向いた二本の口髭、豊かな顎鬚、和らげられた牙の輪郭など、龍の描写には中国文化の要素が入っており、西洋のドラゴンとは明らかに別のものとして描かれている。鱗の一枚一枚は手作業で形づくられた後に彩色され、指や爪は写実的に描かれている。驚くべきはその細やかな動きである。冒頭に掲載した動画でも確認できるが、爬虫類の動き、神聖な存在としての神々しさを両立させていることに着目したい。
6時位置には龍が成功と豊穣を呼び込み、守護を与えて世界への扉を開くと言われているレッドジャスパー(赤碧玉)の宝珠を掴んでいる。レッドジャスパーはカルセドニー(石英の結晶)であるジャスパーの一種で、和名を「碧玉」という。緑色、黄色、褐色、白色などがあるが、区別するために赤色や赤褐色のものをレッドジャスパー(赤碧玉)と呼んでいる。特に、レッドジャスパーは地球の大地を象徴する石と言われており、古くから聖なる石として大切にされてきた。さらに、ジャケ・ドローの職人たちは透明なコーティングによりその宝珠に金粉を封じ込め、より尊い存在を創り出した。
6時位置と3時位置には文字盤に目立たない切れ込みが入れてあり、そこから9つの動作を可能にする19の部品の動きを垣間見ることができる。背のうねり、瞼や口の開閉、舌の動き、たてがみの上下運動、常に回転しているレッドジャスパー(赤碧玉)を掴む動作などである。これらは起動させる度に動きの順序が変わるため、常に新鮮な驚きを所有者に与えてくれるだろう。
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