複雑機構の熟練した技術で強い存在感を放っているジャガー・ルクルトは、その 100 年以上の歴史を通して、複数のタイムゾーンを同時に表示できるモデルをはじめとする様々なタイムピースを制作してきた。キャリバー948 は、ユニバーサルタイムをユニークかつ芸術的に表現しており、ワールドタイム表示と 24 時間でダイヤルが一回転するフライングトゥールビヨンが組み合わされており、地球の自転と太陽を周回する軌道を想起させる。2024 年、グランド・メゾンはマスター・グランド・トラディション・キャリバー948 を新たに解釈し、自然の色を称え、マニュファクチュールのメティエ・ラール™工房の技術力を披露するグリーンエナメルダイヤルを備えたモデルを発表した。18K ピンクゴールド製ケースに収められたこのモデルは 20 本の限定生産である。
マスター・グランド・トラディション・キャリバー948
自動巻き(cal.948)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KPGケース(直径43mm、厚さ14.13mm)。5気圧防水。世界限定20本。価格は要問合せ。
世界のタイムゾーン
1884 年の国際子午線会議にて、ロンドンのグリニッジ天文台(経度 0°)を世界の時刻の基点とすることが決められた。また、24 の主要タイムゾーンの各ゾーンは経度 15 度ごとに定義された。世界の一日はグリニッジ子午線の真夜中に始まり、真夜中に終わることになり、各地域の時刻はグリニッジからどれくらい東側または西側に位置するかで求められる。そのため、グリニッジ標準時(GMT)、AM(子午線前)、PM(子午線後)という呼称が用いられるのである。
代々受け継がれる卓越した工芸技術
文字通り「隆起した土地」と訳されるシャンルヴェは、およそ 2500 年前に起源を持つ古代の高貴なエナメル加工である。まず熟練した職人が、目的のイメージの輪郭と一致するように貴金属の表面にくぼみを彫っていく。次に、これらのくぼみは元の表面と同じ高さになるまで複数のエナメル層で満たされる。各層はそれぞれ高温で焼成されてから次の層が注がれる。人々を引き付ける魅力と洗練性を添えるため、エナメル職人は、透明なエナメルと不透明なエナメルを組み合わせて明るい色や暗い色の領域を生み出し、大陸の様々な風景を想起させる。キャリバー948 のダイヤルは、エナメルを 10 層塗り重ねる必要があり、エナメル加工だけで 20 時間以上の作業を要している。
15 回塗り重ねるラッカー仕上げ
ラッカー仕上げは、装飾を施す表面に手作業で何層にも塗り重ねるため、長時間におよび、正確さが求められる職人技を駆使した工程だ。まず透明のニスを塗布し、その後にカラーの層を塗り重ねていく。その後、半透明のラッカーを 15 回塗り重ね、ダイヤルに濃さや深みを加える。塗り重ねる度に正確に管理された乾燥工程を経てディスクを研磨すれば、ラッカー仕上げは完了となる。これにより、光が集まり、色彩の豊かさが増幅するのだ。
類稀な精度という芸術で表現される時間の世界
直径わずか 25.5mm のマスター・グランド・トラディション・キャリバー948 の多層ダイヤルは、優れた細密画である。ワールドタイマーの伝統に従い、ダイヤルの中央には、北極点から見た世界地図が配されている。大陸の輪郭は 18K ゴールドの薄いプレートから切り出されたもので、シャンルヴェ・エナメルで装飾が施されている。この地図は、従来の平坦なイメージとは異なり、北半球の経度と緯度を示すピンクゴールドのドーム型スケルトン上に配されたメインダイヤルのプレートの上に浮かび上がっている。レーザーカッティングの精度が生みだした傑作であるこの複雑で精巧なドーム型構造は、ダイヤルに明るさと深みを与え、時間計測の奥深さと複雑さをさりげなく表現する。
従来のあらゆるワールドタイマーと同様、各タイムゾーンは都市名で表されており、中央のダイヤルを囲むグリーンのオパーリン仕上げリングに配置されている。都市リングの外側には、2 つの固定式同心リングが配され、内側のリングは 24 時間を表示し、植字されたレクタンギュラーのインデックスとレーザー刻印された数字が配されている。外側のリングには、ダークグリーンラッカー仕上げの背景にレーザーで刻印されたミニッツトラックが配され、地図と海の色を引き立てる。
地図の片方に位置する円形の窓にはフライングトゥールビヨンが配され、海の上を漂うように浮かぶトゥールビヨンは、60 秒間かけて一回転する。トゥールビヨンは 24 時間でダイヤルを一回転するため、地球の自転のようにドーム型の地図が都市リングと共に回転する。そして、都市リングの都市名の近くにあるマーカーが常に各都市の正確な時刻を表示する。
卓越したキャリバーのためのエレガントなケース
簡単に操作できるデザイン
ジャガー・ルクルトは、キャリバー948 を製作した際、初めてワールドタイムコンプリケーションをフライングトゥールビヨンと組み合わせた。さらに、ジャガー・ルクルトが特許を取得したユニバーサルトゥールビヨンは、平均太陽日の長さである 24 時間でダイヤルが一回転する。388 個の部品で構成される自動巻ムーブメントは、ジャガー・ルクルトの専門技術を見事に表現しており、マニュファクチュール内で考案、設計され、すべて自社で製造されている。
その複雑さにもかかわらず、キャリバー948 は簡単に操作できるようにデザインされている。時刻をリューズで設定すると、世界中のすべてのタイムゾーンが同期される。新しい目的地に到着したら、ローカルタイムを同じリューズで設定する。この操作では、時針のみが 1 時間単位で前後にジャンプしながら動き、分と秒は正確に動き続けるのだ。
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