クロノスイスの「デルフィス」復活! 90年代のアイコニックなレギュレーターウォッチ

2024.08.20

クロノスイスが90年代に発表したアイコニックなレギュレーターウォッチ、「デルフィス」の復活が発表された。オリジナルモデルではケースサイズは直径38mmだったが新作では42mmと大きくなった。「デルフィス ドラキュラ」「デルフィス デューン」「デルフィス ホライズン」そして「デルフィス サブゼロ」の4種類のカラーバリエーションで展開される。なお、各限定50本の発売となる。


クロノスイス「デルフィス」に新作4モデルが登場。すべて世界限定50本!

 クロノスイスは、クォーツ時計が機械式時計からマーケットのシェアを奪っていた1983年、ドイツ人時計師ゲルト・リュディガー・ラングによってミュンヘンに設立されたブランドである。「最高品質のスイス製高級機械式時計への原点回帰」という視点を世界中に広めるため、失われつつあったスイス時計産業への敬意を込めて、ブランドを「クロノスイス」 と名付けた 。

 ラングがクロノスイスで発売した最初の時計は、月齢表示と透明なケースバックを採用した世界初のクロノグラフであり、ブランドが始まった当時から時計業界へ影響を与えてきた。さらに彼はクロノグラフのコレクターであり研究家であった背景から、歴史的なレギュレーターウォッチの持つ力を信じていた。

 レギュレーターとは文字盤に時・分・秒がそれぞれ独立表示されている時計のことを指す。一般的な時計は、中央に位置する軸に時、分、秒の3針が載せられているが、レギュレーターはそれぞれ別の場所に3針を配置している。この仕様は懐中時計の時代、時計師が時刻調整の際に、時・分・秒の取り違えミスをなくすために設計された機構であり、それ以降も壁掛け時計や置き時計に使用されていた。しかし、クォーツ主流の時代になってからは、大きくて古いシステムと認識されてしまっていた。

 1987年、ラングはこのレギュレーターを小型化し、腕時計にするというアイディアを実現した。腕時計としてレギュレーターを採用したという新しさと、レギュレーターという仕組み自体を復活させたことは時計業界に大きな影響を与え、クロノスイスのブランド名とともにレギュレーター腕時計は世界に知られることとなった。

「デルフィス」は、ラングが90年代に発表したレギュレーター時計である。ジャンピングアワーを採用し、時表示は12時位置の小窓で表示される。分表示にはレトログラード針を採用し、文字盤の上部に180度の弧を描くように配置されている。このふたつの機能を文字盤上部に配置すると、下部がやや空虚に見えてしまう。そのため、ラングは秒表示のサブダイアルをこのスペースに配置し、ユニークで新しいタイムピースを完成させたのだ。

 そんなアイコニックなデルフィスからインスピレーションを得た新作が登場した。「デルフィス ドラキュラ」「デルフィス デューン」「デルフィス ホライズン」そして「デルフィス サブゼロ」の4種だ。1990年代のオリジナルのデルフィスは直径38mmケースであったが、新作4本は42mmでの展開となる。

 心臓部にはラ・ジュー・ペレと共同開発をした、新しい自社製ムーブメントCal.C.6004が搭載され、デルフィスの特徴である複雑機構ジャンピングアワーとレトログラード式秒表示を継承する。もうひとつの特徴である、湾曲した文字盤とスモールセコンドにはハンドギヨシェを施し、その上にエナメルを7層にも塗り重ねている。

デルフィス ドラキュラ

クロノスイス「デルフィス ドラキュラ」Ref.CH-1421.1E-BKRE
自動巻き(Cal.6004)。37石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KRGケース(直径42mm、厚さ14.5mm)。10気圧防水。世界限定50本。予価797万5000円(税込み)。

 デルフィス ドラキュラは、吸血鬼神話のドラキュラ伯爵の物語にインスピレーションを受けている。7層にも塗り重ねたエナメルによって深みのある濃い赤色を実現し、この色味とマッチする18Kレッドゴールドのケースを採用。1本ごとにシリアルナンバーが刻印され、ドラキュラのテーマに沿って特別な棺型のボックスに収められているのも面白い。

デルフィス デューン

クロノスイス「デルフィス デューン」Ref.CH-1423T.1E-BKMA
自動巻き(Cal.6004)。37石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。チタンケース(直径42mm、厚さ14.5mm)。10気圧防水。世界限定50本。予価415万8000円(税込み)。

 神秘的な砂漠の普遍的な魅力にインスパイアされた、デルフィス デューンは、自然の美しさと静寂の真髄を表現している。18Kレッドゴールドのダイアルには、伝統的な技法であるハンドギヨシェ彫りが施され、その上に7層のエナメルを塗り重ねている。グレード5チタン製のケースと琥珀色の文字盤の組み合わせが優美なモデルだ。

デルフィス ホライズン

クロノスイス「デルフィス ホライズン」Ref.CH-1423T.1E-BKHB
自動巻き(Cal.6004)。37石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。チタンケース(直径42mm、厚さ14.5mm)。10気圧防水。世界限定50本。予価415万8000円(税込み)。

 デルフィス ホライズンは、18Kホワイトゴールド製の文字盤に曲線を描いたハンドギヨシェ装飾上に、スカイブルーのグラン・フーエナメルを7層も塗り重ねている。水平線のように鮮やかなブルーとグレード5チタン製のケースの組み合わせがエレガントな印象だ。

デルフィス サブゼロ

クロノスイス「デルフィス サブゼロ」Ref.CH-1426.1-BKSI
自動巻き(Cal.6004)。37石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径42mm、厚さ14.5mm)。10気圧防水。世界限定50本。予価353万1000円(税込み)。

 デルフィス サブゼロは、氷河の荘厳な美しさをテーマに、革新的な技術と洗練されたデザインを融合させた、まさに芸術的なタイムピースだ。径42mmのステンレススティールにブルーのCVDコーティングが施されたケース、氷河をほうふつとさせるダイアルにマッチする深淵なブルーのラバーベルトを合わせた、ブルーで統一された新鮮なモデルだ。

約100年前の手動旋盤機を使ってハンドギヨシェ技法を施している。

 クロノスイスはギヨシェ技法に信念を持ち続けている。熟練の職人による伝統的な手仕事で文字盤の中心から放射状の繊細な模様が刻まれるのだ。直線用と曲線用の2種類のギヨシェ機械を使い分けており、これらの機械の使い方については200年以上もマニュアルが存在せず、職人たちの長年の経験と知識で繊細なギヨシェ技法を継承してている。この技術を操る熟練の職人は世界でもごくわずかしかいない。

デルフィスの文字盤は曲面のため、均一にエナメルを塗るには高度な技術が必要だ。

 ギヨシェ模様の上に施されるエナメルの塗料の原料となる顔料にも妥協はしない。また、焼成という工程で、理想の色を出すまで半透明のエナメルを 7層にも重ねるという高い技術が必要となる。グラン・フー エナメルは、高温の熱で焼き上げるため一般的な技法よりはるかに美しい色の文字盤が完成するのだ。

 すべてのモデルはそれぞれ50本限定だ。なお、発売は今月8月を予定している。



Contact info: 栄光時計 Tel.03-3837-0783


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