革新的なオイル封入式時計のタイムマジック、レッセンス新作モデル「Type 3 BB2」

2024.09.08

レッセンスは「Type 3 B」の後継機である「Type 3 BB2」を9月中に発売予定だ。文字盤上にはインダイアルが並ぶが、文字盤とケースの間に封入されたオイルがそれらの溝を埋め、まるで1枚の文字盤の中でくるくるとインダイアルが回転するように見える、不思議な腕時計だ。そのほか、ベローシステムやROCSなどレッセンスの技術に関しても説明しよう。

レッセンス「 Type 3 BB2 」

レッセンス「Type 3 BB2」
「Type 3 BB2」は、プロダクトデザインにおけるアカデミー賞とも言える、レッドドット・デザイン賞 2024 で「ベスト・オブ・ザ・ベスト」を受賞した。自動巻き(Cal.ROCS3:Ressence Orbital Convex System/モジュール cal.2824-2)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約36時間。Tiケース(直径44mm、厚さ15mm)。1気圧防水。672万3200円(税込み)。


レッセンス「Type 3 BB2」

 ベルギーの時計メーカー、レッセンスは、世界初のオイル封入式機械式腕時計をモノクロームで表現した新作モデル「Type 3 BB2」を2024 年9月より発売する。「Type 3 B」の進化を継承した今回の新作Type 3 BB2は、超ミニマルな外観をさらに際立たせており、オイルとダークな色合いの組み合わせがディスクの間の薄い空間を見えなくし、見る者の感覚を錯覚させ、文字盤が動くたびに驚きが起こる。

力強いグラフィックアピール

レッセンス「 Type 3 BB2 」

 レッセンス独自のリュウズフリーケースと、エッジからエッジまでがガラス張りのType 3 BB2は、時計の前面と背面の両方に光沢のあるサファイアクリスタルを、ケースはマット仕上げのブラック DLC コーティングされたチタン製ケース(グレード 5)を採用した。インパクトのあるフェイスデザインにするために、インジケーターは白とライトグレーそして原色のタッチがアクセントだ。黒い文字盤とケースとの美しいコントラストを際立たせた。滑らかな黒い小石を思い起こさせる人間工学的なフォルムは、大胆で魅惑的なデザインである。

オイル封入式時計 ~視認性の向上~

レッセンス「 Type 3 BB2 」

 機械式時計の現状に挑戦し続けるレッセンスは、時の表現を越えたデザインと革新的な技術を搭載した「Type 3」で史上初のオイル封入式機械式時計として時計業界を驚かせ、2013 年のジュネーブ時計グランプリでは Horological Revelation賞を受賞した。オイルによる視覚効果、高い視認性という特長を備えている。

オイルによる視覚効果

 分針、時針、日付、曜日、温度計などがセットされた文字盤とドーム型サファイアクリスタル風防の間にオイルを満たすことで生じる目の錯覚を利用した視覚効果と流れるような流動性を表現した。

高い視認性

レッセンス「 Type 3 BB2 」

 搭載する自社開発(特許取得済み)の ROCS ユニット(レッセンス オービタル・コンベックス・システム)により、軌道に乗って互いを追いかけるように常に文字盤が動き続けることが可能となり、オイルによって光が屈折して見える文字盤上の情報は、まるで 1 枚の絵に描かれたように表示され高い視認性を実現した。そして照明条件に関係なく読み取りやすい、グレード A のスーパールミノバ®を塗布している。

ベローシステム

 オイルは高い視認性を提供する一方で温度変化の影響を受けやすいのが難点だが、温度変化によるオイルの膨張や収縮を補正するために、レッセンスはベローシステムを開発した。これは自己平衡型の圧力バランスシステムで、均等な圧力を維持し、性能への悪影響を防ぐ効果がある。このベローシステムは、ダイヤルの温度計でグラフィカルに表現されている。

ROCS(レッセンス オービタル・コンベックス・システム)

 同ユニットは、軌道に乗って互いを追いかけるように常に文字盤が動き続けることを可能にする機構で、その最大の目的は、時刻をより効果的な方法で伝えることにある。情報は、一枚の紙に書かれたかのように、すべて一つの面に表示され、より高い視認性を実現した。針や文字盤が層状に重ねられることで、段差のある視界が作り出される従来の時計とは根本的に異なっている。

 215個のパーツで構成される ROCSに組み込まれた歯車は、自動巻きムーブメントの分表示の情報を基準にして、時、曜日、そして日付を計算する。ROCSの製作にあたり、レッセンスの製作チームが直面した課題の1つは、粘性のある液体の中で脱進機を正常に振動させることだった。彼等は斬新的な創意工夫を凝らし、機械の部屋とオイルが封入された部屋を分けて配置した、ふたつのチャンバー・システムを設計。下部のチャンバーはカスタマイズされた自動巻きムーブメントが占め、上部のチャンバーは密閉された空間で、3.57ml のオイルにROCSのディスプレイユニットが浸かっている状態になっている。

 2つのチャンバー・システムは、時計のムーブメントと ROCSの間に直接の繋がりが無いことを意味する。そこで、この構造に適した手法として、磁気によるトランスミッションを用いて、モジュール同士をコネクトしている。マイクロサイズの磁石をオイルが封入された上部のチャンバーと、水分の無い下部のチャンバーに複数配置し、それぞれが引き合う力を利用している。

 直感的な動きと視認性、そしてシンプルな美しさを誇る「Type 3 BB2」は、レッセンスの提唱する 21 世紀の時計づくりの哲学を見事に体現する、時計製造の世界で他に類を見ない時を超越したタイムピースである。

レッセンス「 Type 3 BB2 」



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