2015年から、ステンレススティールとダマスカス鋼を融合させたケースを腕時計に採用したジンが、この度、グレード2 チタンとグレード5チタンをベース素材として使用した、チタンダマスカス製のケースの開発に成功した。
非常に難しい鍛造技術
100本限定の「モデル 1800 チタンダマスカス」は、マテリアルの科学と工学の分野におけるジンの幅広い専門知識をさらに証明するものだ。この時計の製作工程には大きな困難を伴う。チタンのグレード2とグレード5では、強度が大きく異なる。グレード2のピュアチタンは、強靭で高強度なグレード5チタンとは対照的に、より軽い流動性を持っているため、鍛造中に、グレート2のチタンは文字通り合金であるグレード5チタンの間に流れ出てしまう。そのため、完全に流出を防ぐためには特別な注意と高い職人技術が必要となる。さらに、ここで出る余分な素材は次の工程に進む前に、各鍛造工程後にすぐに取り除く必要がある。
表面のエッチング加工
ダマスカス模様は、製造工程の最終段階で表面をエッチングすることで見えるようになる。グレード2とグレード5のチタンは、酸によって様々な程度に溶解され、典型的な異なる柄を生み出す。チタンは化学薬品に非常に強いため、この工程も特に高い技術を要求される。
独特なデザインと外観
文字盤のダマスカス模様はケース全体に続き、完璧なひとつのユニットを形作っている。ジンのテギメント・テクノロジーにより、傷のつきにくいケースを実現できた。裏蓋、リュウズ、尾錠にもチタンダマスカスを使用し、調和のとれた時計の仕上がりになっている。
モデル 1800 チタンダマスカス
色違いのヌバック・ボアレザー製ストラップが付属する。耐磁性能は4800A/m(DIN8309準拠)だ。自動巻き(Cal.SW300-1)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。Tiケース(直径43mm、厚さ10.4mm)。10気圧防水(DIN8310準拠)。世界限定100本。予価258万5000円(税込み)。
この印象的な見た目は、手作業で施した光沢のあるブルーのアプライド・インデックスと見事に調和している。このチタンダマスカスという特別な素材の外観と非常に精巧に仕上げた文字盤の表面との組み合わせにより、光沢のあるブルーの時、分、秒針、ジンのロゴ、カレンダー窓、文字盤のインデックスがくっきりと浮かび上がる。加えて、インデックスだけでなく、文字盤もはっきりと強調されている。
文字盤と光沢のあるブルーのエレメントとのコントラストも、視認性を高めている。配色の微妙なニュアンスが印象的で、光沢のあるブルーのエレメントが見る角度によって変化する魅力的な色の戯れを表す。見る角度や光の入射角によって、ブルーが黒に近い色に見えることもあれば、シャープなコントラストを見せることもあり、色彩はさまざまに変化する。アプライド・インデックスと時分針には夜光塗料を塗布し、暗闇でも時刻は読み取りやすい。
注目のディテール
注目のディテールを紹介しよう。
複雑な製作工程
チタンダマスカスの伝統的な製作工程はとても複雑で、職人技と超近代的な製造工程のユニークな組み合わせを必要とする。基本の素材はグレード2とグレード5のチタンだ。製造工程では、このふたつの金属を重ね合わせ高熱により圧着する。その後この素材は鍛造工程(金属をたたいて圧力を加える)に進み、赤熱状態で半分に切断、ふたつのパーツを何度も重ね合わせる。この工程は鍛造(フォールディング)と呼ばれる。このようにして製造したチタンダマスカスは、素材のきめ細やかなテクスチャーを持つ特別な表面を生み出す。
この時計に携わる伝統あるBALBACHDAMASTは、卓越した職人技術を有する企業だ。スペシャリストたちは2000年以上の歴史を持つ鍛造製法の開発研究をし続けてきた。そこにはジンのケース専門メーカーSUG (ザクセン時計技術社グラスヒュッテ) が、高品質なチタンダマスカスのケース製造に携わっている。