「マリーン トゥールビヨン エクアシオン マルシャント 5887」は「マリーン」コレクションの技術を象徴する至宝であり、その表情はミステリアスなオーラに包まれている。今回、このタイムピースに搭載されるムーブメント、Cal.581 DPEを守るために、強固なプラチナのケースが選ばれた。
マリーン トゥールビヨン エクアシオン マルシャント 5887
自動巻き(Cal.581 DPE)。57石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。Pt950ケース(直径43.9mm、厚さ11.8mm)。100m防水。4079万9000円(税込み)。
傑出した機能と幻想的な面を併せ持つランニング・イクエーション・オブ・タイムは、一般市民の日常生活に欠かせない平均太陽時と、惑星の動きによって不規則に刻まれる真太陽時との差を表示する複雑機構だ。このランニング・イクエーション・オブ・タイムとパーペチュアル・カレンダー、トゥールビヨンをダークカラーの文字盤に組み合わせた、プラチナ製の「マリーン」が登場する。貴重な素材であるプラチナは耐久性に優れ、抜群の耐腐食性とタイムレスな輝きが特徴である。
王国海軍時計師、アブラアン-ルイ・ブレゲ
「マリーン」コレクションの起源は、アブラアン-ルイ・ブレゲに授与された栄誉ある称号に由来する。1775年に自身の名を冠した工房を創設したブレゲは、経度委員会のメンバーに任命された翌年の 1815 年 10 月 27 日、ルイ 18 世から王国海軍時計師を任ぜられる。この称号は、彼が 40 年以上にわたって成しえた革新的な進歩を称えるものであり、数学者でもあるジョゼフ=フランソワ・マリー神父や、フェルディナント・ベルトゥー、ジャン=アントワーヌ・レピーヌといった著名な時計技師たちのもとで学びながら得た科学的知識を駆使した功績によるものだ。こうして、天測航法や船団の位置を計算するのに不可欠な精密機器であるマリン・クロノメーターを設計することができたのだった。
3つの超複雑機構を搭載
メゾン創設当初から受け継がれる革新の精神が凝縮された、極めて技術的なモデルは、自動巻きムーブメント、Cal.581 DPEに3つの超複雑機構であるランニング・イクエーション・オブ・タイム、パーペチュアル・カレンダー、トゥールビヨンを搭載している。
ランニング・イクエーション・オブ・タイム
この複雑機構によって、日常生活で一般市民が使う時分を表す平均太陽時と、古代から使用されているも不規則な(日によって最大14分の遅れや16分の進みが生じる)真太陽時との差を、イクエーション・タイム・カムの形状をなぞる、フィンガーが情報を読み取り、均時差レバーを介して同時に表示することができる。このモデルでは蓄光のブレゲ針は平均太陽時を示し、ダイヤモンドでポリッシュと装飾が施された、ゴールド仕上げのリングをあしらった針は真太陽時を示す。その2本の分針によって均時差を瞬時に読み取ることができるのだ。
パーペチュアル・カレンダー
機械式カレンダーのように機能するこの複雑機構は、錨型のレトログラード針が文字盤上部の1から31まで目盛りが入った円弧状の表示を移動して日付を示し、10時30分位置と1時30分位置に開いたふたつの窓で曜日、月、閏年を表示する。これらの情報は、素早く確認できるように黒地に白で表示されている。
トゥールビヨン
アブラアン-ルイ・ブレゲが 1801年に特許を取得したこの機構は、当時懐中時計に収められていた機械式ムーブメントの動作に及ぼす重力の悪影響を相殺するために考案された。チタン製キャリッジとシリコン製ひげゼンマイ付きブレゲ テンプを備え、5時位置に取り付けられている。
完璧な彫刻が施されたCal.581 DPE
ケースバックからは、ウェーブ模様のプラチナ製ペリフェラルローターが手作業でエングレービングを施したCal.581 DPE を囲み、1752 年に就役した王国海軍の軍艦、ロイヤル・ルイ号のシルエットが浮かび上がる。また、香箱には羅針盤の装飾が施されている。
ギヨシェ彫りとエングレービングは、卓越した職人たちによって手作業で施される繊細な芸術だ。魂が込められたこのタイムピースは、他にはない特別な芸術作品を身につけるという、稀有な贅沢を提供している。
注目すべきディテール
最後にディティールを紹介しよう。